書きかけ小説


 「今日もみんなありがとう!」

 管制室に響く元気な声に周りにいたサーヴァント達は喜んでいた。
 ここストームボーダーには人類最後のマスター【藤丸立香】とファースト・サーヴァントであるマシュ・キリエライトにマスターの呼び掛けに答えたサーヴァント達、更に人理継続保障機関フェニス・カルデアのスタッフ数名といつの間にかカルデアに住み着いていたフォウ君そして後に加わった何名かを乗せストームボーダーは空を進んでいた。
 最初こそ焼却された人類史を救う為に戦っていたがそこから様々な事が起こり今は白紙してしまった人類史を救う為に行動していた。
 そんな日の午後の昼下がり、藤丸立香はサーヴァント達を強くする為に素材や種火を回収するためにサーヴァント達を連れて周回していた。
 その内の1騎である岡田以蔵はこの後何をするか考えていた。部屋に戻るか或いは同じアサシンクラスで、酒を飲むか話かシュミレーションに行くのがいいか考えていた。

 (さてどうしたもんかぜよ)

 考え込んでいたら藤丸立香が勢いよく目の前に駆け込んできて嬉しそうに喋りだした。

 「以蔵さん!今日もかっこよかったよ!凄いよねエネミーをばったばったと斬り伏せて!」

 「ほにほになんちゃあないぜよわしは剣の天才じゃきのう」

 そう言う以蔵の顔は嬉しそうに笑っていた。この岡田以蔵、人型特効であり人と判断すれば何であろうと斬り伏せる事が出来る。ただし水着BBあれは駄目だ。他にも何人か人型と判断する事が出来ないがそこは置いておく。
 そんな風に会話をしていると管制室の扉が開いた。

 「あっいた。以蔵さん」
 「いたか。クソ雑魚ナメクジ」
 「げっ……」

 そこには同郷で、裏切り者で、自分を置いて行った男、坂本龍馬がいた傍らには宝具であるお竜さんが浮いていた。
 ここに呼ばれた当初は会えばこちらが突っ掛かりお竜が煽りそれに乗って刀に手を掛け。間に龍馬が入って落ち着かせようとする光景が度々目撃されていたが、最近では吠えるだけで刀に手を掛けることは無くなっていた。それでも龍馬に向かって吠える姿は何度か目撃された。

 「なんのようぜよ龍馬」

 マスターがいる手前吠える様に食って掛からなかった自分を褒めてほしいと内心思いながら、目の前に居るこの男はいったい何しに来たのか警戒した。

 「うんそんなに警戒しないで以蔵さん、ただ今晩一緒に酒を飲もうと誘いに来たんだ」

 いつもの笑顔を顔に張り付けて坂本龍馬は笑う。そんな笑顔に吐き気がするがそんなことを言ったところでこいつは聞きやしないしマスターを困らすだけだと知っているから以蔵は黙る。

 「ふんっ誰がおまんなんかと……」
 「おっこいつ龍馬の誘いを断るのか、ならお竜さんが相手になるぞ」
 「駄目だよお竜さん」

 シュッシュッと音がする様に腕を動かすお竜に龍馬は止めに入る。
 そんな二人を見ていたら何をするのもめんどくさくなった以蔵は部屋に戻るために歩きだした。

 「ますたーわしもう部屋にもどるきになんかあったらよんどうせ」
 「あっ、うんわかったよ以蔵さん」

 以蔵が出て行った後、残った龍馬は困った顔をしながら帽子を掴んだ。

 「まだまだ以蔵さんと仲良くなるには時間がかかるね」
 「まあ帝都の時より大分仲良くなったと思いますけど……」
 「ははそうだね……」

 あの時は斬られるやらなんやらと色々とあったなと思いながらどうすればもっと仲良くなれるかと龍馬は以蔵が出て行った扉を見ていた。

──────────────────────

 管制室を出て行った以蔵は龍馬の事を考えていた。
 甘えたの末っ子で、自分の方が年下なのに《以蔵さん、以蔵さん!》と長男だった以蔵に付いて来る。昔は本当にただ楽しかった。今じゃ龍馬は抑止の守護者になり昔より更に駆け出していた。自分ではもうどうすることも出来ないほどに遠く遠く離れてしまった。生きていた時代でも自分より先に歩いて行ってしまった龍馬の背にはもうその手は届くことは無い。そもそも自分はその手を血で汚している。ただの人斬り、仲間を売って斬首された、ただの人殺し、そんな自分は龍馬の横に居ることは絶対に無いし、あり得ない、いつかはこの戦いが終わりまたサーヴァント達が座に帰る時自分はこれまでの事を記録として認識し、あいつはまた別の戦いや人助けに身を投じる。そんなことを考えながらふと足を止め窓の外を眺めた。
 何もない青い空どこまでも続く澄んだ青空、それはまるであの日最後に見た青空のようで──ここまで考えて以蔵は頭をふった。

 「……なにを考えてるんじゃわしは……」

 だいぶ変な事を考えていたと思い直し、部屋へと足を進めた。部屋に戻って昼寝でもすればさっきの事は忘れるだろうと考えた以蔵は部屋へと速足になる。そして部屋の前まで来てとっとと寝ようと部屋の扉を開けて中に入った。そこには物は少ないが寝るのには困らない自分の部屋が───なかった。

 「………はっ………?」

 驚いて周りを見渡す。目の前に広がる光景に頭が追い付いてこなかった。本来目の前にあるのは1部屋にベットや少ない物や家具が置かれた光景の筈、こんな綺麗な庭先や大きな瓦屋根の屋敷やら向こうの方にも、もう1棟建物がそんな広い空間な訳がなかった。慌てて後ろを振り返ったがそこには入ってきた扉はなかった。

 「嘘じゃ……」

 再び前を向くがその光景は変わらない。いったい自分に何が起こり何が起こっているのか頭を使って考える事が苦手な以蔵には解らなかった。

 (まさか特異点がか、いやそれじゃったら出てくう時に言われるはずちやそれとも今起こったことじゃが……ああくそわからんちや!)

 なんとか答えを出そうと考えるが考えれば考える程分からなくなる。そしてどんどん不安になってくると頭にさっきあった男の顔が浮かんだ。

 (……龍馬……)

 どうすればいいか途方にくれていると目の前の屋敷から1匹の動物が姿を表した。

 (?…あれは…きつね……?)

 ふわふわの見た目にきつねの耳や尻尾が揺れ動く。そして目の前までやってくるとそのきつねは一礼して───喋りだした。

 「すみません突然の事に困惑していると思いますがこちらの話を聞いてもらえませんでしょうか?」

 「き、きつねがしゃべっちょる……」

 目の前のきつねは流暢に喋ってる事に頭がついていかなかった。

 「はい、わたくしこんのすけと言います。ひとまずここではなんですので向こうにある本丸にてお話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」

 「お、おん……」

 「ではこちらへ」

 きつねことこんのすけは再び動きだし今度は出て来た建物へと向かった。以蔵は混乱する頭のままこんのすけの後に続いた。
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