番外編
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※ラギー視点
※夢主女バレ後
※夢主はほぼ名前だけしか出てこない
────────────────────
授業が終わって、パニーくんと一緒に教室を出て廊下を歩いてる時だったんス。
反対側からグリムくんを連れた監督生くんが歩いて来たら、その手に持っている物を見た瞬間、「忘れ物したから先行ってて」と逃げるように来た道を走って行ってしまった。
「また逃げられたんだゾ」
走り去るパニーくんの背を見ながらグリムくんがそう言って、手にゴーストカメラを持った監督生くんは困ったような顔をしていた。
「逃げられるって、パニーくんにスか?」
不思議なこともあるもんだ、と首を傾げる。
パニーくんは、監督生くんとグリムくんをめちゃくちゃ気に入ってて普段なら構い倒すのに。
だけど、あの逃げ方はまるでフロイドくんにでも出会した時のよう。
「ラギー先輩こんにちは」
「そうなんだゾ!」
きちんと挨拶をしてきた監督生くんの足元で、少し怒った様子でグリムくんは腰に両手を当てていた。
「オレ様達はパニーの写真を撮らなきゃいけないのに、あいつカメラを見るとすぐ逃げるんだ」
あー、監督生くん達は学園長に記録係を押し付けら……任されてるんだっけ?
「んー、パニーくんもああ見えてイグニハイド寮生スからね」
イグニハイド寮の生徒は、写真に撮られるの嫌う奴らが多い。
「それでも、他のイグニハイド寮生は1枚くらいは写真に写ってるんだゾ!!」
「端っこの方とかだけどね。でも、パニー先輩だけは本当にどこにも写ってなくて。だから昨日、これで写真を撮らせて欲しいって頼みにいったんですけど、ゴーストカメラを掲げた瞬間、脱兎のごとく逃げ出して行って……」
「確かに、オレは1年の付き合いになるけど、パニーくんが写真撮ってるとことか見たことねーな 」
「なになに?なんの話し?」
廊下で話ていたオレらの元に、スマホを片手にしたケイトさんが近づいてきた。
「パニーが写真を撮らせてくれねーケチな奴って話だゾ」
「パニーくん?あー、撮らせてくんないよね〜。妖精連れてるなんてマジカメ映えしそうだし、オレも何回かお願いしたんだけど逃げられちゃって」
ケイトさんがそう言えば、監督生くんが、ああ!と大きな声を上げた。
「もしかして、ニックが写るからダメなのかな」
「あー、それはありえそうスね。パニーくんはニックくん命だし」
ニックくんに手を出そうとした生徒がパニーくんに容赦なくボコられているのをよく見るし。
「フフ、残念。不正解だよ」
オレでも、監督生くんやグリムくんでも、ケイトさんでもない低い声が、真後ろから聞こえて、思わず振り返りながら距離を取る。
「うおっ、ルークさん!?」
気付かぬうちに背後を取られていた。
足音も気配もしなかったんスけど、この人ホントなんなんスか?
監督生くんは、ルーク先輩こんにちはとまたも呑気に挨拶を交わしている。
「ルークくんはパニーくんがカメラから逃げる理由知ってるの?」
ケイトさんが聞けばルークさんは、ああ、と頷いた。
「しかし、トリックスターが知らないのは驚いたよ」
「え?自分ですか?」
言われた監督生くんは首を傾げている。
「ムシュー・マジカメ、監督生くんの事をそのスマホで撮ってみてごらん」
ふふっと、笑いながらルークさんはケイトさんの手の中のスマホを指さした。
「監督生ちゃんを撮ったらわかるの?どういうこと?」
首を傾げながらもケイトさんは、監督生くんにカメラを向けた。
「そんじゃ、撮るねー。3、2、1──ハイ、撮れたけど……?」
ケイトさんは写真の撮れたスマホの画面をじっと見つめた。
「うーん?監督生ちゃん分かる?」
そう言って、ケイトさんが監督生くんにスマホを向ければ、監督生くんは、あっ!と声を上げた。
横から覗き込んで画面を見てみるが、オレにはよく分かんなかった。
「何か分かったんっすか?」
「あー……えっと、多分写真だと魔法の効果が反映されないんだと……」
「魔法の効果?」
「トリックスターにパニーくんが、ユニーク魔法をかけているのは、もう周知の事実だろう?その魔法の効果さ」
監督生くんが女であることを隠すために、パニーが魔法をかけていると言うのは確かに聞いた。そして、パニーくん自身も女で、同じ魔法をかけて誤魔化していると言うのも聞いた。
「えっ、じゃあ、カメラを通すと女の子の姿が映るってこと!?」
ケイトさんが、食い入るようにスマホの画像を見返した。
「た、確かにいつもより女の子に見える……!」
「あは、は……。自分はそこまで元と変わらないんでパッと見じゃ気づきにくいですよね……。でも、パニー先輩は、そのだいぶスタイルいいので、写真に撮られると、1発で女性だとバレるんじゃないですかね」
「なるほど……けど、前にパニーくんにカメラを向けた時は何も違いがなかったと思うけど……?」
「ノンノン、正確にはカメラ越しに見た時は変わらないのさ」
違うよ、とルークさんが訂正するように言う。
「パニーくんの魔法は、見ている者の視界を惑わせている術。カメラのレンズ越しでは、私たちの意識があるから私たちの目に映っている魔法に掛けられたパニーくんやトリックスターの姿にしか見えないのさ。だけど、カメラには魔法の効果が効かないから、シャッターを切った瞬間、ありのままの姿が映し出される、と言うわけだね」
「はあ、なるほど。それじゃあ中々気づかないはずっすね」
まあ、カメラ向けられただけで女とバレるんなら、1年のうちにバレててもおかしくないっスもんね。
でも、まあ、中々面白い話を聞けたな。
ニヤリ、とラギーは口角を吊り上げるのだった。
「お、いたいた、ジャックくん」
数日後、ラギーはサバナクロー寮の談話室にいた銀の狼の耳を見つけて声をかける。
振り返った彼は、うっす、と頭を下げた。
「ラギー先輩、なんか用ですか」
「用っていうか……ジャックくん、パニーくんの激レア写真買わないっすか?」
「は……?」
ジャックくんは怪訝そうな顔をして眉をひそめた。
「いやぁ、だって、ジャックくんはパニーくんの事好きだし、写真の1枚や2枚、欲しいかなって」
「なっ…………」
険しい顔をしていたジャックくんの顔が、みるみると赤く変わっていく。
「俺は、その…………。いや、写真なら自分で頼んで撮らせてもらいます。だいたいその写真、パニー先輩に許可もらって売ってんスか?」
ぶんぶんと頭を振ったあと、キリリと表情を固くしたジャックくんはそう言ってのける。相変わらず真面目だなあ。
まあ、ここまではある程度想定内っスね。
「いや、もらってないっすよ」
そもそも写真自体撮らせてくれないんすよ。
今回は、レオナさんから連絡が来たと言ってスマホを弄るフリをして、こっそりと撮った写真だ。
まあ、オレ相手だとパニーくんが警戒しないから出来た芸当っすよね。
「んじゃあ、尚更要らねえ」
「ふぅん、でもいいんスかねぇ。珍しい女の子の姿のパニーくんの写真っすよ?」
「なっ……!」
ピンッ!とジャックくんの耳と尻尾が縦に伸びる。
女バレしても尚、パニーくんはあのアンバランスな胸筋ムキムキ男の姿で過ごしてるから、女の姿なのは激レアだ。
女の姿のパニーくんともなれば流石のジャックくんも見たいんじゃないっスかねぇ〜。
「ま、ジャックくんが買わなくても他の奴に売りつけるだけなんで〜」
「他、だと……!?」
「そうッスよ。男子校なんで、オカズに困ってる男子も沢山いるし、女の子の写真なんていくらでも売れそうっすね」
ウシシ、と意地悪く笑えば、ジャックくんの金の目がギロリとこちらを睨んだ。
「オカズだと……!んな事絶対させねえ……!!」
「と、言うことは?」
「くっ……、その写真、俺が買います」
「毎度あり!」
計画通りと、ラギーは今日1番の笑みを浮かべるのであった。
※夢主女バレ後
※夢主はほぼ名前だけしか出てこない
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授業が終わって、パニーくんと一緒に教室を出て廊下を歩いてる時だったんス。
反対側からグリムくんを連れた監督生くんが歩いて来たら、その手に持っている物を見た瞬間、「忘れ物したから先行ってて」と逃げるように来た道を走って行ってしまった。
「また逃げられたんだゾ」
走り去るパニーくんの背を見ながらグリムくんがそう言って、手にゴーストカメラを持った監督生くんは困ったような顔をしていた。
「逃げられるって、パニーくんにスか?」
不思議なこともあるもんだ、と首を傾げる。
パニーくんは、監督生くんとグリムくんをめちゃくちゃ気に入ってて普段なら構い倒すのに。
だけど、あの逃げ方はまるでフロイドくんにでも出会した時のよう。
「ラギー先輩こんにちは」
「そうなんだゾ!」
きちんと挨拶をしてきた監督生くんの足元で、少し怒った様子でグリムくんは腰に両手を当てていた。
「オレ様達はパニーの写真を撮らなきゃいけないのに、あいつカメラを見るとすぐ逃げるんだ」
あー、監督生くん達は学園長に記録係を押し付けら……任されてるんだっけ?
「んー、パニーくんもああ見えてイグニハイド寮生スからね」
イグニハイド寮の生徒は、写真に撮られるの嫌う奴らが多い。
「それでも、他のイグニハイド寮生は1枚くらいは写真に写ってるんだゾ!!」
「端っこの方とかだけどね。でも、パニー先輩だけは本当にどこにも写ってなくて。だから昨日、これで写真を撮らせて欲しいって頼みにいったんですけど、ゴーストカメラを掲げた瞬間、脱兎のごとく逃げ出して行って……」
「確かに、オレは1年の付き合いになるけど、パニーくんが写真撮ってるとことか見たことねーな 」
「なになに?なんの話し?」
廊下で話ていたオレらの元に、スマホを片手にしたケイトさんが近づいてきた。
「パニーが写真を撮らせてくれねーケチな奴って話だゾ」
「パニーくん?あー、撮らせてくんないよね〜。妖精連れてるなんてマジカメ映えしそうだし、オレも何回かお願いしたんだけど逃げられちゃって」
ケイトさんがそう言えば、監督生くんが、ああ!と大きな声を上げた。
「もしかして、ニックが写るからダメなのかな」
「あー、それはありえそうスね。パニーくんはニックくん命だし」
ニックくんに手を出そうとした生徒がパニーくんに容赦なくボコられているのをよく見るし。
「フフ、残念。不正解だよ」
オレでも、監督生くんやグリムくんでも、ケイトさんでもない低い声が、真後ろから聞こえて、思わず振り返りながら距離を取る。
「うおっ、ルークさん!?」
気付かぬうちに背後を取られていた。
足音も気配もしなかったんスけど、この人ホントなんなんスか?
監督生くんは、ルーク先輩こんにちはとまたも呑気に挨拶を交わしている。
「ルークくんはパニーくんがカメラから逃げる理由知ってるの?」
ケイトさんが聞けばルークさんは、ああ、と頷いた。
「しかし、トリックスターが知らないのは驚いたよ」
「え?自分ですか?」
言われた監督生くんは首を傾げている。
「ムシュー・マジカメ、監督生くんの事をそのスマホで撮ってみてごらん」
ふふっと、笑いながらルークさんはケイトさんの手の中のスマホを指さした。
「監督生ちゃんを撮ったらわかるの?どういうこと?」
首を傾げながらもケイトさんは、監督生くんにカメラを向けた。
「そんじゃ、撮るねー。3、2、1──ハイ、撮れたけど……?」
ケイトさんは写真の撮れたスマホの画面をじっと見つめた。
「うーん?監督生ちゃん分かる?」
そう言って、ケイトさんが監督生くんにスマホを向ければ、監督生くんは、あっ!と声を上げた。
横から覗き込んで画面を見てみるが、オレにはよく分かんなかった。
「何か分かったんっすか?」
「あー……えっと、多分写真だと魔法の効果が反映されないんだと……」
「魔法の効果?」
「トリックスターにパニーくんが、ユニーク魔法をかけているのは、もう周知の事実だろう?その魔法の効果さ」
監督生くんが女であることを隠すために、パニーが魔法をかけていると言うのは確かに聞いた。そして、パニーくん自身も女で、同じ魔法をかけて誤魔化していると言うのも聞いた。
「えっ、じゃあ、カメラを通すと女の子の姿が映るってこと!?」
ケイトさんが、食い入るようにスマホの画像を見返した。
「た、確かにいつもより女の子に見える……!」
「あは、は……。自分はそこまで元と変わらないんでパッと見じゃ気づきにくいですよね……。でも、パニー先輩は、そのだいぶスタイルいいので、写真に撮られると、1発で女性だとバレるんじゃないですかね」
「なるほど……けど、前にパニーくんにカメラを向けた時は何も違いがなかったと思うけど……?」
「ノンノン、正確にはカメラ越しに見た時は変わらないのさ」
違うよ、とルークさんが訂正するように言う。
「パニーくんの魔法は、見ている者の視界を惑わせている術。カメラのレンズ越しでは、私たちの意識があるから私たちの目に映っている魔法に掛けられたパニーくんやトリックスターの姿にしか見えないのさ。だけど、カメラには魔法の効果が効かないから、シャッターを切った瞬間、ありのままの姿が映し出される、と言うわけだね」
「はあ、なるほど。それじゃあ中々気づかないはずっすね」
まあ、カメラ向けられただけで女とバレるんなら、1年のうちにバレててもおかしくないっスもんね。
でも、まあ、中々面白い話を聞けたな。
ニヤリ、とラギーは口角を吊り上げるのだった。
「お、いたいた、ジャックくん」
数日後、ラギーはサバナクロー寮の談話室にいた銀の狼の耳を見つけて声をかける。
振り返った彼は、うっす、と頭を下げた。
「ラギー先輩、なんか用ですか」
「用っていうか……ジャックくん、パニーくんの激レア写真買わないっすか?」
「は……?」
ジャックくんは怪訝そうな顔をして眉をひそめた。
「いやぁ、だって、ジャックくんはパニーくんの事好きだし、写真の1枚や2枚、欲しいかなって」
「なっ…………」
険しい顔をしていたジャックくんの顔が、みるみると赤く変わっていく。
「俺は、その…………。いや、写真なら自分で頼んで撮らせてもらいます。だいたいその写真、パニー先輩に許可もらって売ってんスか?」
ぶんぶんと頭を振ったあと、キリリと表情を固くしたジャックくんはそう言ってのける。相変わらず真面目だなあ。
まあ、ここまではある程度想定内っスね。
「いや、もらってないっすよ」
そもそも写真自体撮らせてくれないんすよ。
今回は、レオナさんから連絡が来たと言ってスマホを弄るフリをして、こっそりと撮った写真だ。
まあ、オレ相手だとパニーくんが警戒しないから出来た芸当っすよね。
「んじゃあ、尚更要らねえ」
「ふぅん、でもいいんスかねぇ。珍しい女の子の姿のパニーくんの写真っすよ?」
「なっ……!」
ピンッ!とジャックくんの耳と尻尾が縦に伸びる。
女バレしても尚、パニーくんはあのアンバランスな胸筋ムキムキ男の姿で過ごしてるから、女の姿なのは激レアだ。
女の姿のパニーくんともなれば流石のジャックくんも見たいんじゃないっスかねぇ〜。
「ま、ジャックくんが買わなくても他の奴に売りつけるだけなんで〜」
「他、だと……!?」
「そうッスよ。男子校なんで、オカズに困ってる男子も沢山いるし、女の子の写真なんていくらでも売れそうっすね」
ウシシ、と意地悪く笑えば、ジャックくんの金の目がギロリとこちらを睨んだ。
「オカズだと……!んな事絶対させねえ……!!」
「と、言うことは?」
「くっ……、その写真、俺が買います」
「毎度あり!」
計画通りと、ラギーは今日1番の笑みを浮かべるのであった。
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