プロローグ
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他の少年達のあとに続き、不思議な鏡の中を通ってイグニハイド寮という所に着いた。
いくつかの骸骨が階段の周りを囲んでいて、3つ首の犬の像があって、灯りは青い炎で、なんというか死者が来るような所の雰囲気を醸し出していた。
建物の外観はコロシアムのようだったのだが、中に入ると全体的に青く何だか近未来的な構造だった。
「……なんだここ凄」
ぽやー、と建物の構造に見とれた。
見た事のない機械が沢山ある。
凄い。何れ
「あれ、君1年生?」
「ちょ、ちょっとオルト…!?何話しかけて……」
後から高い子供の声と、ボソボソとした男の声がして振り返った。
「えっと……。あれ?」
あんなに沢山いたみんな何処行った……?
「この時間、1年生は寮長が寮案内をしている筈だけど。どうして君はここに居るの?」
「この時間ならもう奥の案内に行っただろうから誰にも会わないと思ったのに………」
白い不思議な格好と、青く炎のように燃えた髪をした子供がふよふよと浮いたまま近づいてきた。……精霊の類だろうか?
後ろのボソボソ喋っていた男もこの子供と同じ青い炎の髪をしていて、子供と違い、彼は青いライダースーツのような服を着ている。
「あー、えーっと、多分置いて行かれて……。凄いな、と思って構造に見とれていたので」
「えぇ……寮に見とれて、寮案内置いていかれるとか……何この子ポン?」
ボソボソと男が喋りながら、可哀想なものを見るような目で見てきた。しかし目が合うと男は、ヒッと威名をあげて目を逸らした。
「あの、すみません。私良く分かってないんですが、ここってなんなんですか?」
「ここって?イグニハイド寮の談話室だよ」
男の子の方は男の方とちがって目を見てハキハキと答えてくれる。
「あーいえ、そういう事ではなくてですね。ここがイグニハイド寮って所は分かったんですけど……。なんだっけあの鴉の仮面の人が何とかかんとかって……」
「確か、ナイトレイブンカレッジとか言ってませんでしたか?」
ニックがフードの中からひょこっと顔を覗かせて、そう答えた。
「「うわあ」」
青い炎の髪の2人は声を揃えてそう声を上げた。ただ、男の子の方は、感嘆のような驚き声で、男の方はビックリしたと言うような驚き声だった。
「な、何それ妖精?なんで妖精さんなんか連れてるの……えっ、新入生やば……」
「えっ、この子は私の
「鏡精?初めて聞く生命体だ。妖精族の一種なのかな?」
「いや、妖精というか、私の
「へえ。もしかして、そういうユニーク魔法?」
「ユニーク魔法?」
また知らん言葉が出てきたと首を傾げる。
「いやいや、ナイトレイブンカレッジに入学式しておいてユニーク魔法を知らんとかー、ないっすわー」
ナイナイと手を横に振りながら、少し早口で男がそう言う。
「いや、そもそもそのナイトブンブンなんとかが分からんのですが」
そう言えば、信じられないと言うような顔をして2人に見つめられた。
「なにこれ、新入生ジョーク?」
「……でも、兄さん。彼女、冗談や嘘を言っているようではないよ?心拍数や、瞳孔の開き形、目の動かし方も至って正常」
「ほー、じゃあ彼女は本当に知らないって………。ん?オルト。今なんて言った?」
なるほど、子供の方はオルトという名で、男の方は彼の兄なのか。どおりでよく似ている。
「心拍数や、瞳孔の開き形、目の動かし方も至って正常」
「いや、その前」
「彼女、冗談や嘘を言っているようではないよ?」
「そうそこ!彼女って、オルト何処か調子悪い?」
「ううん。どこも異常はないよ?」
「それじゃあなんで、彼女、なんて呼び方……」
「だって、まだ新入生さんの名前を知らないし」
ねえ、とオルトくんはこちらを見てきた。
「あ、はい。パニー・ペイジです。こっちは
「パニー・ペイジさんとニックだね。うん、インプットしたよ。僕はオルト・シュラウドで、こっちは兄さんのイデア・シュラウド。よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
オルトくんが差し出してきた手を握る。
随分とひんやりとした手だなぁ。
「ええ……、なんで僕の話置いて、仲睦まじく握手会なんかしちゃってんの」
「あ、ごめんね兄さん。兄さんだって新入生さんと握手会したいよね」
「違っ。そうじゃなくて、なんで彼女なんで呼んで……ここ、男子校!」
そう言って、お兄さんの方は、ひっくり返したような声を張り上げた。
「そういえばおかしいね、パニー・ペイジさんは女性なのに」
「は!?」
「えっ、てかここ男子校なんですか!?」
なんか学校なんだろうなってのは、入学式だの、1年生だの新入生だの言う言葉で察してたけど、ええ、男子校!?確かにあの場にいた子達みんな男子だった気がする。
「は、本物の女子……!?無理無理無理無理、今まで拙者女子と喋ってたってこと!?」
なんかよく分からないが、パニックを起こした様子のお兄さんの方が、元々あった距離から更に後ろに離れた。
「ごめんね、兄さんは照れ屋なんだ」
「うん?」
照れ屋とは違うような気がするけど。
「でも、どうして女の人がこの学校に入学してるんだろう?」
「いや、そもそも入学希望した覚えもないんだけど……」
「じゃあ、どうやってここに来たの?」
「え、えーと、任務中に急に光魔の鏡が現れて、それから出た手に触れたら虚無に引きずり込まれて、そしたら黒い馬車があって………そこからの記憶がなくてですね……」
「……光魔の鏡ってのは良くわからないけど、黒き馬車に乗ったんなら正規ルートじゃん……」
離れたところからお兄さんがそう呟く。
「ええ?でもここ男子校なんですよね。なんで女の私が選ばれて……」
「不思議だよね。闇の鏡が間違えるなんて……」
生まれてこの方、私はずっと女性だ。ふたなりだとか、LGBTだったりするわけではない。
ただ、普通の人と違うとするならば……、チラリと私の顔の傍を漂う彼を見た。
「もしかして、
「どういう事?」
本来、
しかし、
それ故、私が
だからか、私の
「…そして、鏡士と分身体である
ダラダラと語る私の話を2人は黙って聞いていた。
「確かに、理にかなった仮説ではありますな」
「そうだね。ところでさっきの説明にあった
「え?うん、うちは代々鏡士の家系だよ。まあ、オーデンセじゃ、鏡士の家系なんてそこらじゅうにあるし珍しくもないけど」
「オーデンセ?また、知らない単語だ。パニー・ペイジさんと話すと新しいことが知れて新鮮だよ」
ワクワクとした様子でオルトくんがそう告げるが………。
「え、オーデンセを知らない?ティル・ナ・ノーグに住んでてそんな訳……」
「ティル・ナ・ノーグ?」
こてん、とオルトくんは首を傾げる。
お兄さんの方を見れば、彼は怪訝そうな顔をしていた。
「……あの、ここの地名は?」
「ここナイトレイブンカレッジがあるのは賢者の島だよ」
「賢者の島……」
知らない地名だ。
「……1つ嫌な仮説が立ったんですけど」
「拙者も……」
ぼそり、とお兄さんも呟く。
「この世界って、名前とかありますか?」
「ここはツイステッドワンダーランドだよ」
オルトくんの答えに頭を抱えた。
別世界なんて聞いてないよ。