0章 勇者のお供に異世界の騎士はいかがですか?
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『……うるさい』
人の話し声に、多くの足音、機械音、警報音、それらが気になってニジュウは目を覚ます。
『大体なんで、こんな簡素な村で機械音や警報音が……』
ウィウンウィウンと鳴り響くその音に、あれ、とガンガンとする頭で考える。
どう見てもファンタジーな、森の中にある辺境の小さな村で、機械音?警報音?
私のいた世界じゃあるまいし……。
そう思った瞬間、ズキンと割れるような痛みが頭を襲った。
『そう……ここは、異世界、で…………』
《繰り返します───衛星管理棟で原因不明の爆発が発生。構成員は全員、直ちに現場に向かってください》
スピーカーから聞こえてくる館内放送。
『うぅ、私は……』
「ニジュウ!」
やけにハッキリとしたクリアな声に名を呼ばれて、ハッと顔を上げる。
「良かった。無事だったんだな!村のみんなはどこに行ったんだ?」
慌てた様子のくろなかが駆けて来て、矢継ぎ早にそう聞いてきた。
『……みんな?』
キョロキョロと辺りを見渡せば、いつも家の前に立っている村の人の姿がない。
『私も今起きたばかりで…………。でも、人の声は向こうからする』
そう行って、村の東側を指さした。
「村の外って事か?」
『うん。ずっと人の声が聞こえる』
どうしてだろうか。あの声がスピーカーからの音だと思ってから、村の景色がいつもと違って見える。
村の建物ってこんなに平べったかったっけ?
『うぅ、』
痛む頭を押さえれば、くろなかが大丈夫か?と肩を支えた。
「俺が様子を見てくるから、ニジュウはここで隠れてろ」
『ううん。私も行くよ。これでも私、きしだし。村に何か起きたのなら、戦わなきゃ』
痛む頭を振るって、背中のホルダーに刺していた女神様から頂いた騎士の剣を抜いて手に取る。
「そうか。無理はするなよ」
そう言った、ゆうしゃくろなかを先頭に、我々は東側にある村の出口へ向かって歩きだす。
その道中だった。
「女の子とおじいさんが!」
くろなかの声を聞いて先を見れば、草場の影に女の子とおじさんが横向きになっていた。
「2人とも大丈夫か!なあ、おい!」
くろなかが呼びかけるが、へんじがない。
『……音が、しない……。っ、!?』
いや、そもそも彼らは前から話し声所か呼吸音さえ聞こえていなかったような……。
ズキンズキンと頭が疼いて蹲る。
「酷い、誰がこんな事を……!」
くろなかがギュッと拳を握ってこちらを振り返る。
「ニジュウ、立てるか?」
『……大丈夫。行こう』
剣を支えに立ち上がって、再び歩き出したくろなかと共に先にかけられた階段へと進んでいく。
「せんし!」
階段を登りきった先に、頭に茶色いバンダナを巻いた男の姿が見え、くろなかと共に一気に駆け寄る。
「よかった……!お前は無事だったんだな!」
『くろなか!』
私はせんしが見ていた方を向いて剣を構える。
青い髪の男と、銀の髪の男がそこには居た。
彼らはなんというか、くろなかやせんしの姿よりも随分とクリアに見えて…………。
『んん??』
「ん……?こいつらは、誰だ?初めてみる顔だけど……」
「こいつらは まおうの てした!むらの みんなの かたきだ!」
「なんだって……!?よくも、村のみんなを……!」
くろなかが憤ってゆうしゃの剣を抜けば、青い髪の男がくろなかの顔をまじまじと見た。
「ん?君はもしかして……」
この声……。やっぱり、今日ずっと外から聞こえていた声のひとつだ。
「……カズキ」
銀髪の方が青髪をそう呼んだ。
『この声、どこかで…………ッ!』
ツキンと頭に痛みが走る。
「ああ。預かった写真と同じだ。彼はおそらくツキちゃん達の……」
「なんの話をしてるんだ?お前たちはいったい──」
くろなかが男達を睨めば、青髪の男はくろなかに近づいた。
「まあ落ち着きなよ。僕達は、君を助けにきたんだ」
「助けにきただって……?人殺しがなにを言ってるんだ!!この人達は……ついさっきまで村で平和に暮らしてたんだぞっ!!」
「……待て。話が噛み合っていないようだ」
銀髪の方が、青髪の方にそう声をかければ彼は、ふむ、と言ったように顎に指を置いた。
「洗脳……かな。あの男の性格なら、そのくらいやっていても不思議じゃない」
『……洗脳?』
「なんだ……?こいつらさっきから何を言ってるんだ……?」
「まどわされるな ゆうしゃ くろなか!いせかいのきし ニジュウよ こいつらは くろなかを つれさるきだ!ともに まもるぞ!」
そうだ。先程も戦士はこいつらを魔王の手下だと言っていた。
『くろなか、下がって』
彼の前に出て、私は剣の切っ先を男達へ向ける。
「やれやれ、僕はさっき落ち着きなって言ったはずだけど。もう忘れちゃったの?お猿さんでももう少し賢いと思うけど」
こちらを苛立たせたいのか、皮肉を言ってくる青髪を睨む。
「まあ、そのままでもいいや。話を聞いてくれる?黒中曜くん」
くろなか よう。
青髪の男は、ゆうしゃ くろなかにそう呼びかけた。
「くろなか……よう?」
なにを言ってるんだ?と言うように、ゆうしゃく ろなかは彼を見つめた。
「あれ……予想はハズレかな。それとも記憶まで消されているのか……」
青髪の男はそう呟いて考え込む。
「ニジュウ こいつらは みんなの かたきだ!やるぞ!」
戦士がファイティングポーズを取るが、やるしかないのか?
青髪の男は、くろなかと話をしたいようだが……。
「なにをしているんだ! みんなの かたきだぞ!」
戦う意志を見せない私に向かって戦士が叫ぶ。
『そう、だけど……』
「……少し黙っていろ」
そう言って銀髪の男が動いた、と思った瞬間自分も動いていた。
戦士と男の間に割って入り、男が振り上げた拳を剣で受け止めた。
銀髪の男が驚いた様に隠れていない右目を見開く。
その目を見た瞬間だった。
目の前の男の姿が、同じような銀の短い髪で銀の目の少年の姿にぼんやりと重なった。
「へぇ、Qの攻撃を防ぐんだ」
『うっ、』
キーンと酷い頭痛に襲われる。
痛みに剣を手放し、両手で頭を押さえてその場に蹲る。
「ニジュウ!」
『いやだ……』
痛い、痛い、痛い。怖い。恐い。
ぶわっと、冷や汗が手で震えが止まらなくなる。
「ニジュウ!ニジュウ!大丈夫か!」
「なにを しているんだ! たたかうんだ!ニジュウよ!」
戦う?そう、私は戦わないと。
戦って、お父様に認めてもらわないと。
『1番じゃないと……』
痛む頭を押さえたまま立ち上がろうと上を向いた。
『ひっ……』
無表情の銀の目が私を見下ろしていた。
また、先程と同じように怖いという感情に全身が支配される。
『ああああああああぁぁぁ!!!』
恐怖を振り払う様に叫びながら、拳を振り上げた。
その手は銀髪の男に簡単に止められてしまった。
手首を掴まれ、吊り上げるようにされる。
『あ、ああ………』
目の奥がチカチカと揺れ、先程と同じ短い髪の少年の姿がフラッシュバックする。
「ニジュウ……!」
『……、いや、折らないで……!XBが出来なくなったら、私……!』
気がついたらそう、口から出ていた。
XBが何かもわからないけれど。
「…………」
「チッ つかえねぇな」
そう後ろから聞こえた。
「せんし?なにを言って……」
「………。やはり、貴様は黙っていろ」
そう言って銀髪の男は私の手を離して、気がついたら後ろの戦士を殴り飛ばしていた。
私はあの戦う姿を知っている。私はあれに………。
グラグラと視界が揺れる。
ああ、また……
ニジュウと叫ぶ心配そうなくろなかの声を聞きながら、私はまたも意識を飛ばすのだった。
