0章 勇者のお供に異世界の騎士はいかがですか?
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さあ、今日も楽しくプレーしよう。
そんな声で目が覚める。
瞳を開ければ目の前には女神像があった。
「めざめよ いせかいのきし ニジュウよ」
『もう起きています。女神様』
ピコピコと頭に音が鳴り響く中、聞こえてきた声に対して目の前の石像に返事を返した。
「……そうですか。よろしい。では あなたに ……おや?」
女神さまの言葉に、なんだ、と後ろを振り返れば右側が白と左側が黒の髪色の青い服をきた少年が真っ直ぐ歩いてやってきた。
「よくぞ もどりました。ゆうしゃ くろなかよ」
女神像の真ん前に勇者が立ち、私は自然とひとつ横にスライドして避ける。
「えっと……いらないんですか……?」
「……なにかいいましたか? それでは つぎの しじを つたえます。よく きくのですよ」
「やくそうは、いらないんですか?せっかく買ってきたのに」
勇者くろなかがそう聞けば、女神は何故か黙って少し待ったあと動かない口を開いた。
「いせかいのきし ニジュウよ。ゆうしゃ くろなかが あなたのために かってきてくれました。うけとりなさい」
どことなく圧のあるその言葉に素直に頷いて、勇者くろなかからやくそうを受け取った。
ニジュウは やくそうを てにいれた!
脳裏に変な音が流れた気がした。
『ありがとう ゆうしゃ くろなか。でも女神様。やくそうって、頭痛にも効果があるのですか?』
「そうだよな。やくそうってHPを回復するものであって……」
女神様は先程、私のためと仰ったが、私がここに来てからいつも悩まされているのは、今も鳴り響いている子のキーンって耳鳴りとピコピコと聞こえる謎の音とそれからくる頭痛だ。
「ずつうで たいりょくも けずれて いることでしょう?」
『え、でも、私ここに来てからほとんど寝てばかりだし……』
耳鳴りや頭痛が酷すぎてほとんど寝ているから体力か削れるなんて事はない。
「しつもんには はい か いいえ で こたえるものですよ」
また、有無を言わせない圧がきて、大人しく、はい、と返事をする。
「よろしい。では ふたりに つぎの しじを つたえます。つりばしを わたった さきにある ツボの なかを しらべてください。みちを ふさいでいた おおきないわは こわしておきましょう」
女神様がそう言うと先の吊り橋の上を塞いでいた大岩がひとりでに砕け散った。
なんと!おおきないわは くだけちった!
またピコピコと頭の中に音が響き渡った。いや、それとは別になにかサイレンの様な音が……。
「…………」
「さあ いきなさい!ゆうしゃくろなかと いせかいのきしニジュウよ!!」
女神様の圧に負け、ゆうしゃくろなかを先頭に私達は下にある吊り橋を渡りまずは村に入る。
先程からサイレンの音が鳴り響いて聴こえるのだが、ゆうしゃくろなかの様子は至って普通だし、村にいる女の子やおじいさんも、のどかな村で生活しているいつもと変わらない様子。
「ニジュウ?また、いつもの耳鳴りか?」
『うん。なんだろう、今日はいつもよりやけにうるさく聞こえて……』
「女神様は異世界から来た弊害だって言ってたけど、大変だな」
ゆうしゃくろなかの言葉に、うん、と頷きながら、片耳を手で押さえる。少しは和らぐかな、と思ったけど全然効果はなかった。
私は1年ほど前にこの世界に落ちてきた。
記憶をなくしニジュウという名前しか覚えていなかった私に女神様は異世界から来たのだと告げた。
落ちてきた、と先程言ったが、ゆうしゃくろなかの話では、本当にこの空から落っこちてきたらしい。
そしてその時、私を受け止めてくれたのがくろなかだった。
この村の古くからの言い伝えで、いせかいのきしを受け止める者こそが、この世界を救うゆうしゃである、とあったらしく、ここでくろなか自身も自分が勇者であると知ったらしい。
くろなかの話では彼も私より更に1年も前、記憶喪失でこの村の前で倒れていたらしい。
似た境遇だからか、くろなかはとても親身になってくれた。
記憶喪失だから私が騎士だなんて実感がわかないが、この1年、くろなかと共に女神様から与えられる試練を行ってきた。いつか現れる魔王の討伐へ向かうために。
キーンと強い耳鳴りがして頭痛を誘う。
『う………』
「本当に具合悪そうだな。ニジュウはおじいさんの家で休んでなよ」
『え?でも……』
「ツボを調べるだけだし、俺一人で十分だろ。女神様も具合の悪い奴に無理は言わないだろうし」
確かにこの1年、私の耳鳴りが酷い時は、女神様は今日は休みなさいと言ってくれていた。
『そう、だね……。じゃあお言葉に甘えて』
「ああ。じゃあ俺はツボを調べてくる」
そう言って、村の左側にある吊り橋へくろなかが歩いていくのを見送って、村の中の民家へ向かう。
「おかえり ニジュウよ。いやはや まさか ワシが ひろった くろなかが ゆうしゃで そらからおちてきた おぬしが いせかいのきし だったとはのぉ」
『おじいちゃん、その話何回目……』
キーン、と酷くなる音と頭の痛みに、私の視界はそのままブラックアウトするのだった。
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