シスロディア
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メザイ224に戻って村人達に話を聴けば、ジルファはやはり蛇の目たちによって首府であるシスロデンに連れていかれたようだ。
先程助けた男から、早く行ってひとりでも多くの蛇の目たちを殺してくれと頼まれた。
親も兄弟も、家族が連れて行かれ誰ひとりとして帰って来なかったらしいし、今回自分もとなればそう願うのも仕方がない。
私だって、彼と出会わなければ、私の家族を村の人を殺したクルザンド王統国兵を皆殺しにして欲しいと思っていただろうし。
この村に長いをしても通報されるだけなので、早々に村を出て、ルディールの森に入った。
リンウェル曰くこの森で狼のズーグルに仲間達がやられ、ひとりでカナグリアまで来ることになったらしい。
レナのせいで日が昇らずシスロディアはずっと夜だとリンウェルが言っていたのだが、暗いのと雪が吹雪いているのと、あちこちにズーグルがいるしで、いくら魔法が使えるからといってもよく女の子1人でこの森を抜けられたものだと関心した。
もうすぐ森を抜けれそう、というところで巨大な狼が群れを率いて襲ってきた。
「あっ!」
「巨大な狼!?じゃあこいつが!」
シオンが銃を構え牽制する横でアルフェンがリンウェルを庇うように前に立つ。
「下がってろ、リンウェル!」
「駄目だよ、私も戦う!」
そう言ってリンウェルは本を広げた。
『いいね、頼りにしてるよ!』
私もタクトを構え、自身のテルクェスを呼び出して身を守るように旋回させる。
「通させてもらうぞ!」
「大きくていい的よ」
アルフェンが飛び出し、シオンが援護するように発砲する。
「あいつの速さを甘く見ないで!」
リンウェルの言うように巨大な狼─ファングリッターは凄い速さで移動してアルフェンに飛びついている。
『堅固たる守りを、シールド!』
私は詠唱中でもテルクェスでガードが出来るが、リンウェルは無防備になる。相手の動きがあれだけ素早いなら回避もままならないだろうと、彼女に防御の術をかける。
「劫焔の咆哮──バーンストライク!」
リンウェルが火の魔法で周りにいるアイスウルフを薙ぎ払いアルフェンがファングリッターと戦いやすいようにする。
「光ってるとこが弱点だよ!」
1度出会っているからこそ、把握しているそれをリンウェルはアルフェンに伝える。
ファングリッターの右肩の当たりが赤く光っている。
過去に受けた傷から星霊力が漏れだしているのかもしれない。
「飛燕刃!」
アルフェンが光っている所を切りつければファングリッターは呻き声を上げた。
「炎よ、巻き込め!」
追い打ちをかけるようにシオンは爆弾を投げて、それを銃で撃って被弾させる。
私が住んでた星では、雪の降る地域に住まうモンスターは氷や水に耐性があるものが多く、また火属性や雷属性に弱い。ここも恐らくそうだろうから、海属性の私とは相性が悪い。
いや、逆に相手の氷攻撃に私も耐性があるか。
『多少長い詠唱でも耐えれるかな〜。─水天の境を見失いし、』
よし!と意気込んで詠唱を開始すれば、目の前のファングリッターはアルフェンが弱点ばかりを攻撃してくるのが嫌なのか、彼から距離を取り私とシオンの方へ氷塊を飛ばして来たあと、リンウェルの方に狙いを定め飛びかかった。
私は氷塊をテルクェスで受け止め、シオンは綺麗に回避した。
リンウェルは詠唱していた魔法をチャージし本に閉じ込め、身を守った。
軽い彼女の身体はファングリッターの攻撃で後ろに飛ばされたが、致命傷はないようだ。
先程シェルターを掛けておいてよかった。
『──業深きものよ、汝が罰を示さん! トラクタービーム!』
下から現れた光が敵を空中へと持ち上げて、光が消えると共にファングリッターを落下させた。
落下する時に倒れたファングリッターの体に、アルフェンがフラムエッジを振るった。
そこに合わせてリンウェルが地水風の星霊術を放つ。
「精霊力を!」
「叩き込む!」
フラムエッジの炎も合わさり、4属性の攻撃を一度に喰らったファングリッターは、体表を覆う氷が砕けると共に叫び声を上げ、精霊力に還って行った。
「…………はあ………はあ」
荒い呼吸のリンウェルは、消えるファングリッターを見送って、胸元でグッと拳を握った。
「リンウェル?」
どうしたと言うようにアルフェンが聞けば、リンウェルはなんでもないと言い、息を整えて道案内のため歩き始めるのだった。
『敵討ちのあとくらい、素直に喜んだっていいのにねぇ』
いや、最初にコイツとあった時は魔法が使えることを黙っていたのだろうから、見捨てた罪悪感から喜べないのか。
今回倒せたからこそ、自分があの時魔法を使ってれば……って。
子供が背負うには重いね
私は保身が悪いことだとは思えないし。