【 鉄仮面とヴィアベル 】

『てっちゃん、てっつん、仮面くん』

「さっきから何をブツブツ言ってるんだ？」

『うん？ああ、君のあだ名を考えてるんだよ』

「あだ名って……」

『仲良くなるにはあだ名が必要！って、ノーマ……えっーと、知り合いが言っててね』

「知り合い…？アンタの言う水の民とやらか？」

『ううん。彼女は陸の民だったよ』

「陸の民……、俺たちダナと似たような人種、だと言っていたな」

『うん。けど、陸の民もそうだけど陸地でしか生活出来ないって不便な生き物だねぇ』

「俺たちからすれば、水の中でも息が出来て生活できる方がおかしいんだけどな。アンタは髪が光るし爪も光るし星霊術も使うしでレナの奴らに似てるけど、レナが水の中でも息ができるってのは聞いた事ないからやっぱり違うんだな」

『生態としては似通っているのはレナの方だけど、虐げられてきた歴史を見れば君らダナに近しい存在だよ、水の民は』

「虐げられてきた歴史、か……」

『っと！暗い話はやめやめ！そもそも君と仲良くなるためのあだ名を考えてる最中なんだった！』

「あだ名も何も、本名が分からないから付けられた"鉄仮面"ってのがもうあだ名みたいなもんだしな…」

『そっか……。そうだね。あだ名は君の本名が分かってからにするよ』

「そうしてくれ」