シスロディア
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メザイ224へ足を踏み入れ、騒ぎの様子を伺う。
やはり、蛇の目と呼ばれる者たちが、人々を無理やり連行しようとしているようだった。
「そこのお前、反抗的態度は予備罪が適用される!」
また誰が密告したのか、と呟いただけの男に、蛇の目の男の1人が銃口を向けた。
「お、俺はなにも……ひっ!」
否定の言葉さえ許さないと言ったように、蛇の目は容赦なく引き金を引いたが、その弾丸は別方向から飛んできた弾丸に相殺された。
「なっ!?」
「やめろ!」
シオンの弾丸に相手が驚いた隙にアルフェンが飛び出して、男と蛇の目の間に入った。
我々も無論アルフェンの後に続く。
「《石付き》の分際で
蛇の目たちの銃口が一斉に我々へ向けられる。
「炎の剣を使うには村人たちが近すぎる。だがこの敵の数なら……ジルファ?」
相手は3人と狼のようなズーグル1匹、我々も4人。いけるだろうと踏んでアルフェンがジルファに指示を仰ごうとして彼を見た。
ジルファは敵の前だというのに何故だが戦闘態勢では無い。それどころか、魂が抜けたように、一点を見つめていた。
その視線の先にいたのは他の蛇の目たちと同じ黒い隊服を着た10代くらいの少年。
「………。お前……ロウか?」
掻き上げた前髪の左側から垂れたピンクのメッシュが特徴的な少年はジルファと同じ碧の目をしていた。
『……知り合い?』
「何をしてるの、戦うんじゃなかったの?」
そうだ。アルフェンとジルファが戦うと言うから私とシオンは着いてきたというのに。
「生きていたんだな」
そう言ってジルファは少年に1歩歩み寄った。
「今更、何の用だ」
とても冷たい返事だった。声も向けられる視線も。
「……シスロディアは不穏分子の存在を認めない」
「ロウ……!」
「お前たちを拘束する!」
そう言って少年はジルファに殴りかかった。
いつものジルファならこのくらい簡単に避けれる。だけど彼は避けずに、殴られた。
「ジルファ、どうしたんだ、ジルファ!」
無防備なジルファのフォローに周りたいが、他の蛇の目達がそれぞれ襲ってきた。
『くっ、』
ブレスを詠唱するのに飛んでくる銃弾が厄介で、自分の身を守るのにテルクェスを使うので精一杯だ。
「銃使いは私ひとりで十分よ」
そう言ってシオンが私を狙っていた蛇の目の一人を撃ち倒した。
『ありがと!お礼に──荒れ狂う流れよ! スプラッシュ!』
シオンの方へ向かっていたズーグルを水圧押し潰す。
もう1人の銃使いはアルフェンが叩き斬っていた。
「ぐっ……!」
ジルファは自身と同じような拳1つで戦う少年にタコ殴りにされている。
「ジルファ!捕まるつもりか!」
「望み通りにしてやるよ!」
「そういうわけにはいかない!」
アルフェンが2人の間に割って入り少年の拳を剣で受け止めた後、そのまま大きく振って少年を後ろに後退させた。
「ち……!」
悔しそうな顔をして少年はアルフェンを睨んだ。
「どうしたんだジルファ、なぜ戦わない!?あの兵隊、知っているのか?」
「手を出すな」
アルフェンの質問には答えを言わずジルファは彼を押しのけ前へ出た。
「!?何を言って……」
「頼む」
「……償いのつもりかよ」
そう言って少年は拳を固く握り、怒りのままの拳をシルファの顔面にぶつけた。
「いつもそうやって!全部分かったような顔して!」
そう叫びながら殴り続けてくる少年の拳をジルファはやはり避けない。
「ジルファ!」
よろけたジルファに、更に拳がぶつけられる。助けようと我々は武器を少年に向ける。
「手を出すな!!」
「だけど……」
「
ああ、やっぱり。
アルフェンとシオンは驚いたようだけど、私は何となくそうじゃないかと思っていた。
「へえ、今頃思い出したのかよ。……ふざけやがって。見たくもねぇその面を吹き飛ばしてやる」
怒りで目を大きく開いた少年は、はああああと拳に闘気を溜める。
ジルファは覚悟を決めたように瞳を閉じた。
「くたばれ!」
「だめ!」
その叫び声と共に光の塊が飛んできて、少年を吹き飛ばした。
「ぐっ……かはっ、……」
光の飛んできた方を振り返れば左手に本を構え右手を突き出した状態のリンウェルがそこに立っていた。
「リンウェル、今のは……」
リンウェルは、あっ…、とやってしまったというような顔をした。
ブレス……いや、星霊術だっけ。この世界ではレナにしか使えないのではなかったか?
「ロウ……!」
ジルファは倒れた息子の方へ歩み寄って行く。
『待って、ジルファ!』
多くの足音が聞こえてきた。
「気をつけろ、奴らは武装しているぞ!」
銃を持った蛇の目たちがぞろぞろと現れる。
『数が多いね……』
「敵の援軍だわ!炎の剣を使いなさい!」
「無理だ、村の人たちを巻き込んでしまう。 一旦退こう!」
「──ああもう!」
アルフェンの案に仕方ないわね、と言うようにシオンは身を翻す。
『リンちゃん、行こう』
私とリンウェルもシオンに続く。
「ジルファ!」
アルフェンが呼ぶが、ジルファは振り向かない。
「お前たちだけで行け」
「!だが……!!」
「あいつを残してはいけない」
そう言ってジルファは息子の方へ行く。
『あの子を回収して逃げるのは無理よ!』
吹っ飛んだ彼は、蛇の目たちが来た側にいる。
あれを拾うなら戦わなければ無理だが、相手の数が数だ。
「アルフェン!早くなさい!」
シオンが叫ぶ。
「俺たちの戦いはどうするんだ!皆あんたを当てにして……」
「……すまん」
「………!!」
『アルフェン!』
戻って彼の腕を引く。
「くそっ!」
仕方ない、と言うようにアルフェンは身を翻し走り出した。
ジルファを置いて、我々はその場を離れるのであった。
贖罪のつもりか
息子に殴られ続けたのも。そして、今その彼を守るように拳を握ったのも……。