オルブス・カラグリア
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鉄仮面の熱意を受け止めたドクが、時節を待てと言った先程の言葉を撤回し、お前の剣に命を預けると、見送ってくれ3人はウルベゼクへと帰ってきた。
『あ、ジルファ』
外に居た大柄の男を見つけて声をかける。
「戻ってきたか。皆持っている、早く入れ」
「なにも聞かないのか?」
飛び出すように出ていった鉄仮面が自らそう尋ねる。
「お前の様子を見れば分かるさ」
「そうか……」
『まあね。襲われてると聞いた途端、飛び出して行くような子が素直に戻ってきたんだから』
そんな子は問題が解決しないと戻ってこないだろうし。
ね?とジルファを見上げれば、彼は小さく頷いた。
「……ジルファ、ひとつ聞かせてくれ。もし炎の剣がなかったとしても、俺を誘ったか?」
「誘うな」
ジルファは即答だった。
「それはなぜだ?」
「俺たちみたいにレナに抗おうなんて馬鹿は多くない。そんな心根を持った若人を見つけたら逃がす訳ないだろ」
なるほどね。
まあ、そもそも恐怖支配のせいで反乱を起こそうとする人間なんて殆ど居ないから、人手もないし、炎の剣があろうとなかろうと仲間は欲しいよね。
「……それに今はもういなくなっちまった奴に、お前はどこか似ていてな」
そう呟いたジルファは、少し寂しそうであった。
「そいつにしてやれなかったことをお前にすることで、俺自身伝っているのかもな……」
いなくなった、か……。亡くなったかつての仲間とかだろうか。
「……嫌なら言えよ」
「嫌なんてことはないさ。おかげで俺はここにいるんだ」
「そうか……。さあ、中に入れ」
「ああ」
ジルファに誘われるがまま中に入れば、紅の鴉のみんなが建物の中に集まっていた。
「─時が来た。狙うはこの国の
皆の中心でジルファがそう宣言した。
「腐ってもレナの領将だ。正面からでは、全力で挑んでもビエゾの元に、たどり着くどころか、城の門さえ突破できないだろう。だが俺たちは切り札を得た」
そう言ってジルファは、鉄仮面とシオン、そして私を見た。
「この切り札を我々は確実にビエゾの喉元に届かせなければならん。そこで全戦力をいくつかの部隊に分ける」
「全力で挑んでも勝目ないって言った傍から?各個撃破されてしまうぞ」
紅の鴉の中では頭脳派であるネアズが疑問ぶつける。
「これは全部囮だ。切の札を送り込むためのな。囮部隊は城のあちこちで暴れて敵の注意を引きつけるのが役目だ。だが本物に見せかける必要がある。俺とヴィアベルも囮に加わる」
おっと、私もか。
さっきの視線から、てっきり鉄仮面達と共に切り札扱いされてると思ってたんだけど。
「ジルファとヴィアベルも?けどそれじゃビエゾには……」
ガナルが困惑した様子でジルファを見つめる。
「鉄仮面。お前には誰の助けもなく、シオンとただふたり、あのビエゾの元にたどり着いて炎の剣を叩き込んでもらわなきゃならん」
「おいまさか、ふたりだけで送り込む気か?ひとりはレナだぞ!?」
驚いたようにネアズが声を上げ、他の紅の鴉たちも心配そうに鉄仮面とシオンを見た。
まあ、裏切りを予想するよねえ。だけど、ジルファはそんな事微塵も思っていないようだ。
「これは誰にとっても分の悪い賭けだ。分けてもすべてを託ことになる、お前たちふたりの危険が一番大きい。だからこそ今一度、問っておきたい 今なら拒むこともできる」
「……拒めばどうなる?」
「どうもならん。この話がなしになるだけだ」
「そして俺は奴隷に戻る」
「お前がそれを望むならな」
「……望まない」
だろうね。だから今、鉄仮面はここにいるんだから。
「ならどうする、お前はどうしたい」
「俺は……俺は戦いたい」
「何のためにだ。何のためにお前は戦う」
今一度、確認するようにジルファが問う。
「……俺たちダナが、俺たちを虐げるやつらの言いなりにならないため。やつらの都合で死なないためだ」
ハッキリとそう言う鉄仮面を見て、少し羨ましく思う。
私は、ただ、見殺しにするとこしか出来なかったから。
「……奴隷じゃなくなるため!生きるため!自由に生きるためだ!!」
「よく言った。今こそ俺たちの望みをお前に託そう。お前が諦めない限り、きっと壁は壊せるだろう」
鉄仮面の答えに満足したようにそうジルファは言った後、お前はどうだ?とシオンを見た。
「私の肚はとっくに決まっているわ。早く始めたら?」
シオンは相変わらずの塩対応だ。
ふむ、とジルファは一息吐いた後、紅の鴉のみんなに向き直った。
「よし、願わくはこの戦いが300年続いたレナ支配終焉の
作戦開始!
ジルファがそう高らかに宣言するのであった。