オルブス・カラグリア
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ギルド駐屯地に出るといつもより装甲兵の数が少ないように見える。
……各地で虐殺が起こってるとジルファが言っていたからそのせいだろう。
線路沿いを少し進んだ先で、ズーグルと装甲兵2人と戦っている鉄仮面を見つけた。よかった、追いついた。
少し離れたまま、詠唱を始める。
『蒼き命を湛し母よ───、』
「貴女……!」
私の方を見てシオンは驚いた顔をしている。
『破断し清烈なる産声を上げよ!アクアレイザー!』
術が発動し、激流が一直線にレナ兵の1人を押し流す。
「なっ!?」
「マグナレイ!」
突然の事に驚いていたもう1人の兵士をシオンが、どこから取り出したのか長銃を構え光線を打ち出し落とした。
「シオン!?それにアンタは……!」
「鉄仮面!前!」
「っと!」
飛び込んで来たズーグルを鉄仮面が切り伏せて、片が付いた。
「ふぅ……。助かった。けど、なんで……」
「別に、勝手に死なれでもしたら困るってだけよ」
ふん、と顔を逸らした彼女に、はあ、と反応に困ったような声を鉄仮面は漏らした。
『モスガルに行くんでしょ?私たちも着いてくよ』
「…ちょっと。鉄仮面を連れ戻してくるって話じゃなかったの?」
『いや連れて帰って来いとは言われたけど、モスガルを救ってくるなとは言われてないよ?』
「貴女ねぇ、それは屁理屈っていうんだけど」
『屁理屈も理屈の内さ。それに止めたって君は行くんでしょ?』
鉄仮面を見れば彼は、ああ、と頷いた。
「こうしてる暇も惜しい。引き止めに来たんなら悪いが俺は行くぞ」
そう行って鉄仮面は駆け出した。
『ほらね?』
「……わかったわよ。行けばいいんでしょう」
よし、と頷いて鉄仮面の後を追うように私も走り出せば、その後ろをシオンもちゃんと着いてくる。
「ところでアンタは……、列車の上でも会ったよな?紅の鴉の一員か?」
『うーん。利害の一致の為、協力関係にある感じかな』
そう言えば、鉄仮面は首を傾げた。
「そもそも貴女何者なの?……レナにしては見た事のない服装だし、それに何より……」
じっ、とシオンはこちらを見つめてきた。
「そう言えば、アンタも星霊術を使ってたな。レナ人、なのか?」
『ううん。違うよ?』
「レナではないでしょう。だって光ってたのは目じゃなくて髪と爪だったわ」
「何が違うんだ?俺たちダナからすれば、目でも髪でも身体の1部が光り輝くなんてありえないんだが……」
「髪や爪が光るレナなんて聞いた事がないわよ。けれど、そうなればダナでもないでしょう?」
『あー、私ダナでもレナでもない、他の星の住人だからね』
そう答えれば、2人はぽかんと口を開けた。
「どっちでもないってそんな………」
「他の星……!?」
『そう。私は私の星の名前を知らないけど…、えっと、種族名で言えば私は水の民だね』
「「水の民……?」」
当然だが2人して聞いたことがないという反応をする。
「他の星とか水の民って、どういうことなんだ!?」
「レナとダナ以外に、他の星があるだなんて話聞いたことないわ」
『そっか、やっぱりレナ人でも知らないか……』
はあ……星への帰り方は簡単に分かりそうもないなぁ。
『
さあ、とシオンは首を振る。
「
へぇ、レナって王政なのか。王しか知らないってのはありそうだなぁ。
『ねぇ、シオン。レナに行くにはどうしたらいいの?』
「どうして私が貴女にそんなことを教えないといけないの」
おっと、そう来るか。
『
そう簡単には行かないか。
『やっぱり自分で調べるしかないかあ……』
「そもそもダナに来れたんだら自分の船を使えばいいじゃない」
『船?船で行けるの?』
そう聞けば、シオンはしまったというような顔をした。
そうか確かに、私たちの星に陸の民達がきたのも空から船に乗って降りてきた……それがあの遺跡船だ。
この世界にも、遺跡船のようなものがあるって事かな……。それならわざわざレナに渡らなくても、ダナから私の星に帰ることが出来るかもしれない。
「お前はなんでダナに来たんだ?」
『用も何もないよ。気がついたら黒いモヤみたいなのに飲み込まれてこの世界に飛ばされただけよ』
「黒いモヤ……?飛ばされて来たって……」
『まあ、恐らくは私の誠名が関係してるんだろうけど……』
「まことな?」
鉄仮面が首を傾げる。
『ヴィアベル・ゼクスウェン。それが私の名前なんだけど、ゼクスウェンってのは水の民の言葉で冥界に飛ぶって意味なの』
「苗字ではないの?」
『うーん、苗字の変わりのようなものね。陸の民たちは家族で同じ苗字を名乗るけど水の民は親、兄弟とも別の誠名を付けられるわ』
「陸の民?」
『あー、私ら水の民からしたら君らでいうダナ人から見たレナ人ような種族のことだね』
「別の星に2つの種族……話が大きすぎてわけが分からない。レナを倒すの事でも精一杯だって言うのに、他の星だなんて……」
まあ、そうだろうね。
『とりあえず私は自分の星に帰りたくて、帰る技術を持ってそうなレナに行きたい。けれど、レナの人達がそう簡単に話を聞いてくれそうにもないから紅の鴉のみんなに協力して
「……自分の星に帰りたい……っ、」
『どうしたの?』
鉄仮面は急に足を止めた。
「あ、いや……今何か思い出せそうな……」
『思い出す?』
「ああ、俺は過去の記憶がないんだ。知っていることは自分が奴隷であることぐらいで……名前も分からない」
記憶喪失って事か。奴隷としてレナ人にひどい仕打ちを受けて、記憶が飛んだのかも……可哀想に。
『でも、今思い出せそうだったんでしょ?私の話が何か引っかかりになったのかな……』
「貴方の突拍子もない話が、彼の記憶を刺激した?」
「分からないが……」
『そっか。早く何か思い出せるといいね』
プライミング
思い出していい記憶かはわからないけれど。