オルブス・カラグリア
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茨の少女と鉄仮面を拠点に運んだ後、怪我の治療を終えた私は、みんなの治療を行ったティルザから頼まれ拠点の外に薬草取りに出ていた。
この植物の育ちにくいカラグリアで薬草が自生するのはズーグルの多い危険な場所。そういうわけで適任な私が採取に出向いて、明け方帰ってきたわけだが……。
『…………、』
ジオーネ廃坑道の前で、鼻を掠めた金属の焼けたような匂いとその中に混じる、異様な焦げ臭さ。
坑道前の開けた地面には広く焼け焦げた後が残っている。
『何があったの……』
人気のしない廃坑道の中に、そっと忍び足で入りゆっくりと進んでいく。
『っ、』
坑道の中は、いくつもの死体が転がっていた。
多くの紅の鴉の人たち、そしてレナの装甲兵たちが少し。
『私が居ない間に襲撃されたってこと………?』
ジルファやネアズたちは……!?
駆け出して坑道内を隅々まで見て回る。
幸いな事か、ジルファ、ネアズ、ガナル、ティルザの遺体は見当たらない。けれど、外の異様な焼け焦げた匂い………。レナ人は術を使うと言っていたし、火の術で死体も残らぬほど焼かれた可能性も………。
想像してぶるりと身震いする。
いやいや、大丈夫。きっとジルファたちなら逃げ出せてる……はず……。
ネアズが教えてくれた、何かあった時は別の拠点に避難。私が知る別の拠点は以前ガナルと行ったウルベゼク。
そっちにきっと、いるはず……。
ウルベゼクまでの道をただひたすらに走った。
枯れた大地に引かれた線路を封鎖するように閉じられたその門を開く。
灰が降る中、ここの人たちは変わらず枯れた大地を耕している。
「あ、お姉さん!」
『キミは………』
以前金平糖をあげた子供の1人が、駆け寄ってきた。
「ガナルがね、お姉さんが来たら伝えてって!」
その言葉を聞いて直ぐにしゃがんで子供に耳を貸す。良かったガナルは生きてる。
「あのね、こないだ教えた家で待ってる、だって!」
『こないだ……、ああ、分かった。ありがとうね』
よしよしと子供の頭を撫でて立ち上がる。
家とは、噴水の先の右側の階段を登った所にある紅の鴉の隠れ家。
この間、ガナルと来た時に教えてもらったその家に向かい足を踏み入れた。
「ヴィアベル!」
扉も何も無いその建物の入口に入るなり、赤毛の青年が声を上げた。
『ガナル…!それにティルザも……よかった……』
ガナルの横にはベリーショートの銀髪の女性がいた。
「ヴィアベル、貴方も無事でよかったわ」
「ヴィアベルだって!?」
「そいつ入れて大丈夫なのか!?」
「また襲われるんじゃ……!」
ティルザの後ろから建物内にいた他の紅の鴉の人たちが声を上げた。
「お前らまだヴィアベル疑ってんのかよ!?」
ぽかんとする私に代わってガナルが皆にそう言う。
………たぶん、私が拠点を離れてから襲われたから、私がレナの装甲兵を呼び込んだと彼らは思っているのだろう。
まあ、元々よそ者の私を信頼できるわけないか。
「お前たちは馬鹿か」
後ろからそんな声がして、振り返ると短い黒髪の男が立っていた。
『ネアズ!』
良かった、彼も無事だった。ってことは1番屈強なジルファは無事だろう。
「こいつが、俺たちを裏切ったんなら、廃坑道襲撃と同時に此処も襲われてるだろ。別の拠点を知ってるのに伝えない理由はないだろう」
「それは……」
確かに、とネアズに論破されて皆押し黙った。
「悪いなヴィアベル」
彼らではなくネアズが謝る。
『いや、いいよ。他種族が信用出来ない気持ちは分からんでもないからね。それより、これ薬草、採れるだけ採ってきたけど……』
カバンに入れた薬草を取り出して、ティルザに渡す。
「ありがとう。助かるわ。襲撃で怪我した人が多いから早速役に立つわ」
『そっか。ところでジルファは?』
「ああ、無事だぜ。今はビエゾに挑むための準備をしてる」
『え、もう、挑む気なの?』
「向こうも混乱してる今がチャンスなんだとよ」
襲撃されて混乱してるのはこっちの方なんじゃ………?
「まあ、そういうわけで忙しいから、手伝えヴィアベル」
『えっ、』
ガシッとネアズに首根っこを掴まれた。
『えぇええええええ』
私、昨日寝ずに薬草採取して今戻ってきたんですけど!?
がんばって、とティルザが手を振られる仲ネアズに引っ張られて建物の外に出る。
『休憩なしとか酷い』
「あの空気じゃ休むに休めんだろ」
まあね、ガナルとティルザ以外は私の事疑ったからね。
『はあ……、で。何したらいいの』
「お前にはみんなに配る水筒の準備をしてもらいたい」
『なるほど、あの火山のお城の中に行くんだもんね』
「正直水分補給する暇はないかもしれないが、周囲の火消しに使えるだろからな」
まあ、水の手筈なら私以上の適任者はいないだろう。
『りょうか〜「くそっ!」…い?』
怒ったようなそんな男の声が聞こえた。
「ちょっと、何処へ行く気!」
次に聞こえたのは女の声。
「決まってる!モスガルだ!」
その言葉と共に目の前を鉄の仮面を付けた男が走り去っていく。
…すっかり忘れてたけど、そうだ鉄仮面くん紅の鴉で拾ったんだったな。
「行ったところで……」
彼を追いかけてそう言ったのは、赤いドレスのような衣装を着たピンクいろの長い髪の女。………茨の少女だ。
「うるさい!」
男は1度立ち止まり振り返ってそう叫んだ後そのまま走り去っていく。
『何事……?』
そう声をかければ茨の少女は、ピクっと驚いたように肩を揺らした。
「貴女……、」
「やれやれ、参ったな」
女の子たちが来た方から、白髪混じりの短い髪の男が歩いてきた。
『ジルファ!』
「!…ヴィアベル!無事だったか」
『そっちもね。で、今の何事?』
「…ああ、
『……ん?
「本来ならな。今は、そこのお嬢さんが持ってる」
そう言ってジルファは茨の少女を指した。
『は……?えっ!?』
待って、もしかして、彼女が追われてた理由って………。
少女の方を見れば、ふん、と顔を顔を逸らされた。
「悪いがヴィアベル。鉄仮面を連れ戻して来てくれ。あいつとこのシオン。2人がビエゾ攻略の鍵となる。勝手に1人で行って死なれては作戦が全ておしまいだ」
あの鉄仮面の子が鍵??
列車の上で戦ってるのを見た感じは、まあ素人よりは剣が扱えてるなって感じだったけど………。
こっちの茨の子の方は分かる。レナ人だから精霊術ってのが使えるらしいし、何より
まあ、ジルファが言うんなら、鉄仮面の力も必要なんだろうな。
『わかった』
「ああ、よろしく頼む」
『じゃあ行こうか、シオン』
「…えっ、」
『あれ、シオン・アイメリスじゃなかったっけ?』
首を傾げて彼女を見る。
事前情報と違ったのかな。
「………あってるわ。けど、なんで私が貴女と行くことになってるのよ」
『えっ?だってさっき引き止めてたくらいだから、心配でしょ?』
そう聞けば彼女は、怒ったように顔を赤くした。
「誰が…!」
「シオン、アイツの力が必要なのだろう?勝手に死なれてもいいのか?」
ジルファがそう言えば、シオンは口を紡んたあと、はあ…と大きくため息を吐いた。
「利用価値があるだけよ。心配なんかしてないから」
そう言ってシオンはギルド駐屯地へ続く街の門へ向かって歩き出した。
なるほど、
典型的なツンデレ
扱いやすそう〜!たすかる〜!