オルブス・カラグリア
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ジルファと言う男が赤っぽい岩の壁に囲まれた狭い道の中に入っていき、大人しくその後ろについて行く。まあ、後ろから剣突きつけられてるからなんだけど。
それにしても、どうやら作りからしてここは坑道のようだ。
進んだ先には少し広々とした空間が広まっていて、床は木目板が張られていて人の手が加わっていることがわかる。
それに幾人かの人達が中にいて、私を見て何事だ、と言うように目を向けてくる。
「みんな、お帰りなさい。…その子は?」
銀髪をベリーショートにした女性がそう言って出迎えた。
「俺たちが帰ってきた時にちょうど、ここの前に黒いモヤみたいなのと共にいきなり現れたんだ」
そう赤毛の男が言う。……やっぱりあのモヤのせいでこの、ダナ?に来たんだ……。
この坑道は彼らの住処なのだろうか。隠れ住んでるって感じがするけど、そうなのだとしたら、どうしてここがわかった?と言う質問にも頷ける。
「とりあえずコイツと話がしたい。場所を借りるぞ」
「はーい」
女性はそう返事をして部屋の隅にあった樽を引っ張って来てラウンドテーブルの前に置いた。
「適当に座って」
『どうも〜』
そう言って樽に腰掛ける。
この部屋は出入口がひとつのようだし入ってきた通路には男たちが立ち塞がり帰り道はないぞと言わんばかりだ。
「さて、もう一度聞くが本当にレナ人ではないんだな?」
『なんども言ってるけど水の民だよ』
樽を用意してくれた女性が部屋の隅っこからコチラを見て、水の民?と首をかしげた。
「水の民とは?お前は何処から来た」
『水の民は私らの種族名だけど……何処から来た、か。悪いけど君らみたいに自分の住んでた星の名前は知らない。ただ、恐らくこことは違う星から来たんだと思う』
「違う星って、レナじゃなくてか?」
黒髪の男が割ってそう言ってくる。
『レナってのは自分らの星の名前知らないの?』
「いや、奴らは自らをレナ人だと認識しているはずだ。だからこそ……」
ジルファはそこまで言って言葉を切った。
「本当にレナじゃない他の星から来たってのか?」
もうみんな普通に会話に混じってくるじゃん。
『たぶんね。私もよく分かってないんだよ。酒飲んで黒いモヤに飲まれて気づいたらここで……。まあ、レナって星の人がこのダナに来れるなら、他の星から来たのもおかしくないんじゃないの?』
「確かに。……レナの他にも星がある、か。考えもしなかったな」
「それじゃあ、レナの支配から脱却しても、他の星が攻めてくる可能性もあるってことか…!?あんたもまさかダナを侵略しようと……!!」
『支配?侵略?』
あまり良い単語ではないのが気になって聞き返す。
『ダナはレナに支配されてるの?』
「っ、そうだよ!300年前あいつらがやって来て石を埋め、俺たちを奴隷に仕立てあげた!!!」
赤毛の男が声を荒らげる。
『……奴隷って……』
「同情でもしたか」
ジルファは真っ直ぐとこちらを見た。
「それでも俺たちは立ち向かおうと、抵抗組織を立ち上げた」
つまり、この場所は抵抗組織の隠れ家ってことか。
『そう。……水の民と少し似てると思っただけよ』
「先程種族名だと言っていたな」
『うん。我々、水の民は蒼く輝く金の髪を持ち、海中に暮らす水だけの星の先住民だった』
「海中!?」
『うん。近年は陸地で生活してるけどね。さっき見たでしょ、髪が光ってるの。あれで呼吸をするから水の中でも生活できるんだ』
ここのダナ人たちは、信じられない、驚いたというような様々な表情をしている。
『それなのに、太古、宙から大きな箱舟でやってきた陸の民達が好き勝手大地を作り始めたんだ。
侵略者から自身の星を守るため全面戦争に打って出たけど、高度な科学力を持つ陸の民たちの兵器によって苦渋を舐め続け、最終的には敗北を喫して、住処を追われるようになった』
「それって……」
「このダナと似てるわね」
銀髪の女性の言葉に、そうでしょ?と返す。
『近年でも、陸の民から水の民への差別や迫害は続いてる。……古の装置を動かすための動力源として沢山の仲間も殺されたし』
そう言えば、みんな黙り込んでしまった。
同じような境遇だとは思わなかったのだろうな。
「違う世界の話だとしても胸糞悪いな」
そう言って赤毛の男性が手のひらに拳を打ちつけた。
『奇遇だね。ここダナに関しての私の感想と同じだよ』
「つまり、お前には侵略目的はないのだな」
『ないない。そもそも、この星に来たのだってよく分かってないんだよ?黒いモヤみたいなのに飲まれて気がついたら知らない場所でなにがなんだか……』
「自分の星への帰り方もわからないのか」
『そうだよ。ちなみにレナってのはあの空に浮かんでたやつなんでしょ?普段から行き来があるの?』
「さあな。レナの奴らが一方的に降りてくるだけだから詳しくはしらん。俺たちダナからレナに行く術などないからな」
『なるほどねぇ』
……レナの人間なら私の星の事も知っている可能性はあるのだろうか。
『どうしたもんかね』
「俺たちを売ってレナに取り入れば話ぐらいは聞いてもらえるかもしれんな」
「「「ジルファ!?」」」
何言ってんだ、とみんなが声を荒らげた。
「レナの奴らなら既に他の星に渡る技術がある。帰る方法となればそれを使う他ないだろうからな」
『確かに。レナ人ってのが他星人に協力的ならそれで帰れるかもしれないけどね〜』
まあけど、レナはダナを侵略して支配してんでしょ?どう考えてもそういう輩が他星人に協力なんかしてくれるとは思えない。万が一、帰る方法を与えてくれたとしても、私の星を新たに侵略する為の一手として使われる可能性がある。
「まあ恐らく、良くて話を聞いた上で装甲兵に殺されるか、ズーグルの餌にされるかだろうな」
『でしょうね。んで?わざわざそんな話をしたって事は、なんかあるんでしょ?』
「ああ。俺たちが抵抗組織だと言うのは聞いたな?」
うん、と頷く。
「ダナの大地は5つの国に分けられ、それぞれ
「国の同士の行き来は、レナに封鎖されていていて出来ない。お前がレナの協力を得ずに自力で帰る方法を探すとしても5つの国の1つ、ここカラグリアからすら出ることは出来ないだろうな」
『なるほどねぇ……。協力を得ずに外に出るには1人で、この国の軍を相手にしなきゃいけないってことか……』
それは、相手の数も分からないし、なにより、私の
「そこでだ。俺たちと手を組まないか」
ジルファは真っ直ぐ私の目を見てそう言った。
「俺たち抵抗組織の目標はダナの解放。一先ずの目標は、カラグリアの
『そいつを倒せばこの国から好きに出られるって事ね』
「ああ。だが、いくら星霊術が使えるとはいえ、お前1人では無理だろう。そして、俺たちはレナの装甲兵を打ち破る力が欲しい。協力し合えるとは思わないか?」
そう言ってジルファは右手を差し出した。
確実に協力を得れると分かっているダナを取るか、まだ会ったこともなく、協力してくれるか危ういレナを取るか、ってか。
まあ、まずこれを拒んだら、レナにこの場所の事をチクリに行くのは確実なのだから、それを彼らも分かっているはずだし、生きては出してくれないだろうな。
交渉に見せかけての脅しじゃん。
『……しょうがないな』
右手を差し出し、ジルファの手を握った。
交渉成立
とりあえずコレで今日の寝床は確保できるしね。