オルブス・カラグリア
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「……ヴィアベル………生きて、くれ……」
ひゅーひゅーと浅い呼吸をしながら、そう言って、私の頬に手を添えたあの人は、か細く笑った。
『待って、』
慌ててその手を取る。だけども、その手が私の手を握り返す事はなく、ただ力の抜けたようにブランとそこにあるだけだった。
「……お前は、っ、笑って、る方が………かわ、いい、よ………」
『待って、待ってよ!いかないで、1人にしないで……』
泣き叫んでも、穏やかな顔をした彼はそれ以上返事をしなかった。
『どうして、……どうしてよ!』
そう言って目の前の
血にまみれた、金の髪の人達を睨みつけた。
『っ……!』
夢はそこで終わった。
上半身を起こし、はっ、はっ、と荒い呼吸を繰り返す。
「お、おい、起きたぞ!?どうするんだ」
知らない声だ。
あんな夢を見て、若干混乱したままの頭で、当たりを見回せば、数人の男達が、ボロボロの剣や木の棒の様なものを持ち私の周りを囲んでいる。
髪の色からして、陸の民か。
呼吸を整える為に、大きく息を吸う。
「おい!動くなよ!」
遺跡船では、こういうことないと思ってたんだけど……、やはり、どこの国でも場所でも水の民はこういう扱いか。
「お前、その服装からしてレナだな。どうしてここがわかった」
ぐん、と首元に剣を突きつけられる。
『はぁ…、寝起きのレディの扱いがなってないんじゃないの?』
「無駄口を叩くな!質問に答えろ!どういう状況かわかってるのか?」
『……質問って』
どうしてここがわかった、とか言ってたな。
『どうしてって言われても、そもそもここ何処よ?』
ただいるだけでじっとりと汗が出てくる暑さとこの赤っぽい乾いた大地、こんな場所遺跡船内にあっただろうか…。
男達は、ヒソヒソと何か話し始めた。
「わかって侵入したわけじゃないのか…?」
「いや、そうやって油断させる作戦だろう」
赤毛の男と黒髪の男が何やら話終えてこちらを見た。
「質問を変えよう。ここには何をしに来た」
『何をしに、って……そんなの言われても、私はただ、そう、静かの大地で呑んでて……』
「静かの大地?」
『それからセネルが来てモンスターの討伐を手伝うことになって、行こうとしたところで、黒いモヤに飲み込まれて………』
その後意識を失って、目覚めたらこの状況だ。
「モンスター退治?ズーグルを従わせているレナが?」
ズーグルってなにそれ。
それに、
『さっきから言ってるレナって、それ私のこと?』
そう聞けば男達に怪訝そうな顔をされた。
「さっきからとぼけやがって、この光り眼が…!お前らのせいで俺たちがどれだけ……!!」
そう言って男の中の1人が、剣を振りかぶった。
『光り眼……?』
何を悠長に考えてるんだ、と思ったことだろう。
大丈夫。振り下ろされた剣は、テルクウェスで受け止めたから。
「な、なんだこれ……虫!?」
『相変わらず陸の民は失礼な人が多いわね!!人の分身体を虫呼ばわりするなんて…!』
よいしょ、と重い腰を浮かせ立ち上がれば、男達は武器をこちらに向けたまま、1歩後ずさった。
「動くなと言っただろう!」
『じゃあ、動かないからこっちの質問に答えて。ここは何処?聖ガドリア王国?クルザンド王統国?それとも他の5カ国かしら?』
「何を言ってるんだ?ここはダナだぞ。それはレナの国の名前か??」
『ん???』
ダナ???そんな名前の国は聞いた事がないが……。地名かな…。
『てか、さっきからレナ、レナって……。レナってなんなのよ?』
「は?」
男達はポカンと口を開ける。
「レナはレナだろ!俺たちの星…ダナを侵略した!光り眼のお前たちの星だ!!!」
そう言って、1人が天高く指さした。
それにつられて空を見て、驚いた。
『なに、あれ……』
空には大きな球体が1つとその手前に小さな球体が1つ浮かんで見えている。
「なにって、レナだろ!」
知らないと首を振る。
私たちの世界の空であんなものは見たことがない。
彼らの反応からして、空にあれが浮かんでいるのは当たり前のようだ。
つまりだ、たぶんここは私がいた世界ではない。
私たちは私たちの星の名など知らない。でも彼らはハッキリと俺たちの星ダナと言った。
間違いないだろう。
『……まじか……』
ゼスクエン、冥界へ飛ぶ………か。
誠名はその人を現す名として付けられる。
つまり、私は冥界へ飛んできた、と言うことだ。
そして彼らは私をレナと言う別の星の人間だと勘違いし、敵意を向けてると言うことか。
『あの、悪いんだけど、武器下ろしてくれない?私、君らの言うレナじゃないんだけど』
「はあ?下ろすわけないだろ。その服どう見たってダナの物じゃねぇ!それに虫のズーグルだって従えてるだろ!」
『だから虫じゃないって言ってるでしょう!そもそも私は水の民なの!!』
「水の民?何を訳の分からない事を……」
『わかんないならもういいわよ。見てなさい!!──水よ、』
「な、なんだコイツ髪が!」
「おい、爪も光ってるぞ!!」
光る髪は初めてか?別の世界なら爪術使いも初めてか?身をもって知れ!!
『アクアエッジ!!!』
詠唱を終えると水弾が男達に向かって炸裂した。
うわぁぁぁと、悲鳴を上げてびしょ濡れになっている。初級術でそんなに威力もないし、死にはしない。
『悪いけど、あなたたちの言う光り眼じゃないの。これでわかった?』
「ひ、光り眼じゃないにしろ、髪や爪が光るなんてダナじゃねぇ!しかも星霊術を使ったんだ、どう考えたってレナだ!!」
『なるほど。まだ水遊びしたいと。蒼き命を──』
「待て」
後ろからそう声をかけられ、詠唱を止める。
低い声のその主を振り返って見れば、白髪混じりのガタイのいい男性がいた。
「「ジルファ!」」
この場に居た男達から、その男の名を呼んだ。
「先程から一部始終を見させてもらった。お前は本当に、レナ人ではないのか?」
『私は水の民だよ』
「ジルファ!?」
「こいつの言うこと信じるのか!?」
「信じた訳じゃない。ただ、レナにしてはどうにも様子がおかしい」
どうやら彼は、他の男達と違って少しは話が出来そうだ。
異世界コミュニケーション
私の事を話すから、この世界の事を教えてくれ。そう言えば男は着いてこいと、自らのアジトに連れて行ってくれた。