第1章
夢小説設定
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カイルの剣が最期の一撃必殺となり、のたうち回った後、海の主は海の底に沈んでいき、後には大穴が残った。
「まずいぞ!もう沈み始めてる!」
「ど、どうしよう!水をかき出さないと………」
「ばか!そんなことしてもおっつかねえよ!」
そもそも塞がなければ、かきだしてもかきだしても水が入ってくる意味が無い。
『喋べるより先に行動したほうがいいわ。私、船員に現状を伝えてくるわ』
そう言って一足先に、ハシゴを登る。
「そうだな。俺たちは、船室に残ってる人間を、全員甲板まで連れてくぞ!」
「わ、分かった」
ロニの言葉にカイルが返事をするのを聞いて、ハシゴを登りきった。
登ってすぐの所にいた補給係の船員に、海の主を倒した事と、現状を伝えてから操舵室へ向かう。
「ぬうぅッ!いかん、浸水のせいで船がかたむき始めている!我がアルジャーノン号もこれまでなのか……?」
操舵室に入れば、舵を握ったまま、そう呟く船長がいた。
『船長!船底に居た海の主は私たちが倒してきた!!』
「なんと!?あの海の主を…!?」
『しかし、底に大きな穴が空いてしまって』
「この沈み具合からして、そうだろうな」
『現在、私の仲間と道中会った船員に乗客を甲板まで避難誘導してもらっている。船長!この船は後どのくらい持つ?』
「……、軽く見積って30分もあれば沈没するだろう」
そんなに早く…!いや、私たちが船首の触手に気を取られていた間に、本体は船底で暴れ回っていたし、妥当なのだろう。30分以内に全員を甲板にか……。
かつがつそれはどうにかなるとしても……。
『救命ボートの数は?』
「…4艘だ。乗客全員は乗り切らない」
100近い乗客を乗せるのには明らかに数が足りていない。いや、この世界状況で救命ボードがちゃんとついてるだけまだマシか。
「できるだけ岸に近づけようとはしているが、如何せんこう、船が傾いていてはなッ…」
『それじゃあ……』
ほとんどの人が助からない。
ただ、大人しく沈むのを待つしかないのか……?
『……とにかく、私も乗客の避難を手伝ってきます。船長、あなたの手腕を信じています』
船長にはできるだけ岸に近づいてもらう他ない。
操舵室を出て、私も残りの乗客が居ないか見て回った。
カイル達が連れ出してくれたおかげで船室に残っている人はおらず、確認を終えて自分も甲板に出た。
「プリムラ!」
こっちだ!とロニが手を挙げてくれてそちらへ向かう。
ロニは背が高い方だから、この人混みの中でも下から上がってくる私が見えたのだろう。
「プリムラ姉さん、どうだった?」
辿り着くなり聞いてきたカイルの質問に対し、首を横に振る。
『舵が上手く取れないらしくて…。どこかの岸に辿り着くのも厳しいみたい』
「そんなぁ…」
『救命ボードは4艘』
「つってもあの大きさじゃ、全員は無理だろ」
そう言ってロニは船員たちが船の横に取り付けていた救命ボードを外しているのを見た。
「くそっ!完全に手詰まりかよ……」
『助ける命を選ぶしかない、か……』
「何言ってんだよ、プリムラ姉さん!?」
驚いたような顔をしてカイルがこちらを見つめた。
『酷なようだけど、この場合そうする他ないわ』
「なっ……!そんな!諦めちゃダメだ!何とかしてみんなを助ける方法を考えようよ!!」
「とは言っても……」
『そんな都合のいい事あるわけないでしょ』
そう言えば、いや、と仮面くんが首を振った。
「全員がたすかる方法がひとつだけある」
その言葉に、えっ?と私達が見つめれば、彼はリアラの方を見た。
「……ほ、ホントに!?」
「……力を使え、リアラ」
仮面くんがそう言えばリアラは、驚いたように顔をあげ、その瞳を揺らした。
「わたしが……」
力??晶術でどうにかしようって事?
そんなことを考えていると、ドゴンと音を立てて、船が大きく傾いた。
「うわああっ!」
水圧で潰れてどこかに穴が空いたのだろう。思いっきり沈んでいるのがわかる。
「こりゃ、マジでヤバいぜ!?」
「わたしが……みんなを………」
『リアラ?大丈夫?』
胸元に下げたペンダントをギュッと握りしめた彼女は、大きく息を吸った。
「……!」
その瞬間彼女のペンダントが眩く光った。
「…リアラ?」
「……お願い………飛んで……!」
彼女は祈るように光り輝くペンダントを握っている。
「おい、リアラは一体なにをするつもりだ!?」
そう言って、恐らく彼女の〔力〕とやらをしっている仮面くんにロニが問いただす。
「船を、浮かせるつもりなんだ。だが……」
「……くっ……!」
苦しげな表情でリアラは祈っている。
ペンダントから光が放たれて辺りに舞う。
「これだけのものを動かすんだ。今のリアラに出来るかどうか……」
「そんな……!」
「頑張れっ!頑張れ、リアラ!」
ロニは応援しているが、本当に、普通の人間にそんなことできるのか?
「……ああっ、」
がく、とリアラは膝をつく。
周りに散らばっていた光が先程より弱々しくなっているような気がする。
「頼む…!」
「……や、やっぱり………ダ……メ……」
「諦めちゃダメだリアラ!」
そう言ってカイルがリアラの傍に寄る。
「…えっ……」
「リアラならできる!きっと、できるよ!!」
「……!カイル……!」
ぱあっと、ペンダントが放つ光が強くなった。
ペンダントの光は船を包んで、そして。
宙に浮かせた。
キセキの力
海面から浮かび上がった船は、近くの岸まで飛んで行った。