外殻大地編
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ルークが超振動で飛ばされ、その捜索に俺とヴァン謡将が選ばれた。
俺は部屋で旅に必要最低限の荷物をカバンに詰めた後、バチカルの港に向かった。
「おっと、もう来てたか」
港の前に立っていたヴァンを見つけてそう声をかける。
「ああ。船のチケットも既に購入してある」
「準備がいいな。じゃあ乗り込むか」
そう言って、船に向かおうとすれば、それなんだが、とヴァンは俺を止めた。
「もう1人捜索に加わる事になってな」
「じゃあ、そいつが来るまで待機だな」
ああ、とヴァンが頷く。
隠密に捜索しなければいけないとは言え、流石に公爵も、ヴァンはともかく俺じゃ心配だったか?
『お二人共!』
その声に、おや?と顔を上げる。
「来たか」
「リュリじゃないか、どうしたんだい?」
ナタリア殿下付きの侍女である彼女が、どうして……、あっ。
『どうしたじゃないですよ、ガイ。貴方、ナタリア殿下からの使いに、出る前に城に寄るように言われなかったのですか?』
「いやぁ……」
思わず目をそらす。
確かにナタリア姫からの使いが来てたし、言われたな…。
『ちゃんと伝達はされてたのですね』
はあ、とため息を吐いて彼女はじろりと俺を見た。
『おかげでナタリア殿下はカンカンでしたよ』
「それは悪かったけど、俺みたいな一介の使用人が城になんて入れるわけないじゃないか。もうすぐ船が出るから時間もないし、姫には君からそう伝えておいてくれ」
頼むよ、と言えばリュリは首を横に振った。
『それはできませんよ。私もその船に乗りますし』
その言葉に、えっ?と首をかしげる。
「どこか行くのかい?」
「そうか、貴殿には伝えていなかったな。もう1人の同行者は彼女だ」
は?と思わず口を開ける。
確かに先程ヴァンは来たかと言ったが、見送りに来たとかそういう意味ではなかったのか。
「待ってくれ、リュリが!?」
どういうことだ!?公爵が許可したって事だよな!?
「詳しい話は船に乗ってからにしよう」
行くぞ、と歩き出したヴァンに、はい、と頷いたリュリがついて行く。
困惑したまま立っていれば、置いていくぞ、と言われ慌てて2人の後を追った。
「すまないな、急な話だったから一室しか取れなかったのだ」
女性である彼女も同じ部屋になってしまった事をヴァンが謝れば、リュリはいいえ、と笑った。
『大丈夫ですよ。ヴァンは兄の様なものですし、ガイは女性恐怖症ですし。むしろガイの方に私が謝るべきかもしれません』
「いや、それはいいんだけど……」
そんなことより聞きたいことが他にありすぎる。
何故彼女が捜索隊に加わっているのか、とかヴァンと知り合いなのは知ってたが、ずいぶんと親しそうじゃないか、とか。
「リュリが捜索に加わる事になったのは、ナタリア殿下の希望でな」
『といいますか。ナタリア殿下が自分が探しに行くと言って聞かなかったので、ヴァンと公爵が、1人だけ殿下の決めた者を捜索に加えるという案で納得させてくださった、が正しいですね』
リュリの言葉に、あー、と言葉を伸ばす。
確かに、ナタリア姫なら自ら向かうと言いかねないだろう。
「ナタリア殿下が信用できる者で指したのがリュリだった、と言うわけだ」
「はあ……」
だからって、ただのメイドを旅路に連れてくなんてヴァンも公爵もどうかしてるだろ。
遠足じゃないんだぞ。
リュリもリュリでメイド服のまま来ているし、何しに行くか分かってるんだろうか。
『この船はケセドニア行きですよね?ルーク様が飛ばされたのがマルクト領の方角ということでしたが、そこからどう言った方法で探すのですか?』
そう言いながらリュリは自分の荷物からワールドマップを取り出し、机の上に広げた。
……一応、何しに行くかはちゃんと分かってるみたいだな。地図を反対向きに広げてるのは相変わらずのおっちょこちょいって感じだけど。
「飛ばされた方角がバチカルから東と言うことは分かっているが、どれほど飛ばされたか距離は分からぬからな。ケセドニアから北に陸路で進み、ローテルロー橋からマルクトに渡る方法と、ケセドニアから海路でカイツール軍港に向かいそこから北上してマルクトに向かう方法だな」
『国境は簡単には越えられないのでは?』
「それは公爵が用意してくれている」
そう言ってヴァンは、俺とリュリにキムラスカからマルクトへの移動の許可を記した旅券を渡した。
「一方通行の旅券ということは、マルクトから戻る際の旅券は発行待ち、ってことか?」
「ああ、急な事だったからな。ルーク用の旅券も含め、マルクトからキムラスカへの旅券は後にカイツールで発券したものを受け取る手筈になっている」
『と、なると必ずカイツール軍港は向かわないといけないのですね。そうなると2手に別れるのが効率的ではないでしょうか?カイツール軍港から北上する方と、ローテルロー橋から東に向かう方と』
「国境沿い故にカイツールはピリついているし、私が向かう方がいいだろうな。ガイとリュリに陸路を回ってもらおう」
「リュリはヴァンと一緒の方がいいんじゃないか?陸路での移動となると、大変だしな」
『大丈夫ですよ』
言い切るリュリにどこから来るんだその自信は、と逆に不安になる。
「大丈夫だろう」
「マジで言ってるのか!?」
ヴァンまで何を考えてんだ?
「心配なら貴殿がリュリを守ればいい」
守ればいいって、それをしながら旅するのが大変だから言ってるんだけどな。
「最悪、馬車を使っても構わんしな。とりあえず、何かあった場合はカイツールで落ち合う事としよう。ルークが見つかっても見つからなくても2人が戻るのにどの道、貴殿らの旅券が必要となるしな」
『はい。ではそうしましょう』
マジかー。
数日間の船旅を終えた後、本当にヴァンとはケセトニアで別れた。
それから俺たちはケセドニアの街を北から出て、タタル渓谷の方へ向かう。
「リュリあんまり俺から離れるなよ。この先は魔物がうじゃうじゃでるからな」
『ふふ、どちらかと言えば、距離を取るのはいつもガイの方ですけどね』
くすくすとおかしそうに笑うリュリに事実ゆえ反論も出来ないが、呑気もんだとため息を吐く。
「っと、噂をすれば魔物だな。リュリ下がっててくれ」
剣を鞘から抜いて、右手に剣を左手に鞘を持ったまま構える。
ウルフと呼ばれるその魔物が、飛びかかって来るのを切り伏せる。
「せい、はあっ、」
アオーーーン、と魔物が鳴き声を上げる。
「魔神剣!」
剣を下から上に振り上げ衝撃波を生み飛ばす技を食らった魔物は、そのまま息絶える。
それと共にグルグルと喉を鳴らす音がする。
「仲間を呼んでいたか!」
同じウルフの魔物が今度は2体突撃してきた。
「くっ、」
先ずは一体ずつ的確に処理して行かないと。
そう思った矢先だった。
パンッ、と破裂音に近い音が後ろからしたと思ったら、目の前の魔物の一体に何かが当たって仰け反った。その隙に追撃して倒す。
『炎よ!─ファイアボール!』
今度は後ろからリュリの声と共にパンパンパンッと三連続の破裂音がし、それと共に俺の横を通り抜けて3つの火の玉が、残り一体の魔物の体を焼いた。
悲鳴をあげた後、どさりと横に倒れた魔物は息絶えた。それから周りにもう魔物が居ないか確認して剣を鞘に収め後ろを振り向いた。
そこには、あまり見た事のない長い筒状の武器を両手に抱えたリュリがいた。
それにさっきの火の玉は譜術だった。
「キミ、戦えたのか…!」
『はい?言ってませんでしたっけ?』
こてん、と首をかしげながら、リュリはメイド服のスカートの横側を持ち上げた。
「うわ、ちょっ、なにしてるんだ!?」
リュリの青白い脚が顕になって、慌てて腕で顔を隠し目をそらす。
『何って、武器の収納を……』
「それ、いつもそんなところに隠し持ってたのか!?」
『はい。そのためにロングスカートにしてもらいましたから』
リュリを腕の隙間からチラリと見ると、脚部に巻き付けたベルトにその武器を固定した後、スカートを戻した。
「君は一体……。ただのメイドじゃなかったのか…!」
『はい。私はナタリア殿下の侍女兼護衛役です』
驚愕の事実
『それに以前、元々ローレライ教団に居たって言ったじゃないですか』
リュリはそう言うが、ローレライ教団に居たってのとローレライ教団の