外殻大地編
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ガシャンガシャンと、鎧が擦れる音が近づいてきて、皆戦闘体制をとる。
「に、…人間……!」
目視できる程近くに現れた
「ルーク!下がって!あなたじゃ人は斬れないでしょう!」
『導師!ルーク様!私の後ろに回ってください!』
「はい」
「で、でも……」
短く返事をし、導師はすぐさま駆けてきた。
ルーク様は腰にある剣の柄に手をかけたまま、動かない。
「逃がすか!」
こちらに向かってくる導師を追いかけてきた
「ぐぅ、」
弾が鎧を貫通し、兵士が痛みで動きを止めた瞬間、ジェイドが兵の背後から鎧ごと、槍でその身を貫いた。
その隙に導師は私の後ろに回り込むことに成功し、ジェイドの後ろにいる兵の1人ををティアがナイフを投げ牽制し、それをガイが剣で斬り伏せる。
その隙を狙って2人の兵士が連携を取りガイに襲いかかる。気がついたガイは既に挟み込まれていたが、手に持つ剣とその鞘で何とか兵士の振り下ろした剣を防いだ。
力で押し切ろうとする2人の兵にそれ以上身動きの出来ないガイ変わり兵の1人の頭を撃ち抜く。もう1人の兵は、ジェイドが瞬迅槍で貫いた。
「ルーク!行きましたよ!」
ジェイドがそういうのにハッとして視線を動かせば、ルーク様の方に奇声を上げながら兵士が襲いかかっていた。
他がやられて最後の1人となり気が狂ったの相手の太刀筋はめちゃくちゃだ。
ルーク様は、剣の柄に手を置いてはいるけど、それ以上動かない。…いや、動けないのだろうと、気づいて引き金を引くが、めちゃくちゃに振り回す剣先で弾が弾かれる。
ガイとジェイドが駆け寄るが、それよりも先にルーク様に近い場所に居たティアがルーク様を突き飛ばした。それと同時に兵士が振り下ろした剣が彼女を斬った。鮮血が舞い、ルーク様の上に覆い被さるように彼女は倒れた。
もう一撃を兵士が繰り出す前に、ジェイドの槍とガイの剣が同時に兵士の身体を貫いた。
「……テ、ティア……お、俺……」
彼女を腕に抱きとめたルーク様が動揺した様子で、彼女の腕から流れる血を見つめている。
「……ばか…」
小さく呟いて、ティアは意識を失った。
『ルーク様、こちらを指に少しとって舐めてみてください』
「あ、ああ…」
小さな小瓶の中に入った白い細やかな粒を言われるがままルーク様は指に取って、それをペロリと舐めた。
「しょっぺぇ…」
『じゃあ間違いなくそれはお塩ですね。では、それを指先で摘んでお肉に満遍なくパラパラと振ってください』
「こ、こうか?」
ティアが倒れ、ジェイドが応急処置を行う中、ガイは野営の準備を、私は食事の準備に取り掛かった。
導師は、疲れもあるから休んでもらうのに安全なジェイドの傍にいてもらっている。
そして、ルーク様はというと、どうしたらいいか分からず思い詰めた顔をして黙ったままだったので、お手伝いしてもらえませんか?と頼んだところ、嫌がるかとも思ったが彼は意外にも静かに頷いた。
きっと、何かしていないと落ち着かないのだろう。
『じゃあこれをフライパンで熱しますね──ファイアボール』
ガイが広い集めてきた木の枝に、譜術で火を付ける。
その上にフライパンを置いて、先程ルーク様に塩を振ってもらったチキンを並べていく。
タルタロスに集まったグリフォンを倒したおかげで、チキンだけは大量に集まったから今日はそれを使ってチキンサンドにする。
「リュリは譜術も使えるのか」
『ええ。うちは元々、譜術士の家系なので』
「そうなのか……。お前ただのメイドじゃなかったんだな」
『はい。元軍人で実はナタリア殿下の護衛も兼ねておりました。侍女を兼ねていたのは、お傍にいる方が確実に護りやすいだろうという陛下計らいだったのですよ』
そう答えれば、ルーク様は焼ける肉を見ながら、元軍人…と呟いた。
「…リュリも人を、殺した、こと、あるのか」
恐る恐る言うルーク様の手は震えていた。
『ありますよ。軍に属していた頃に。最初は私も耐えられなくて吐きました。まあ軍に属していた以上そんなのは日常茶飯事で直ぐに感覚が麻痺していきましたけどね』
「え……」
『まあ、私は遠距離武器や譜術を使ってますから、剣で直接肉を斬る方々と比べれば感触が残らない分、気が楽だっただけかもしれませんが……それでも慣れても気分のいいものではありませんよ』
「そう、だよな……」
ルーク様はまして、ずっと軟禁されてきたお坊ちゃまだ。ヴァンと護身術として剣の訓練をしてきたとはいえ、木刀を使っていて真剣での斬り合いではなかった。
そんな人間がいきなり何の恐怖も抱かずに人斬りが出来るのなら、もはやそれは殺人鬼の才能だろう。
『よし、』
フライパンを火から離し、まな板にパンを乗せる。
『さ、ルーク様。仕上げに入りますよ』
「あ、ああ。どうするんだ?」
『じゃあ、私の真似をしてくださいね。まずは──』
調理を終える頃にはジェイドと導師もガイの元で野営の手伝いをしていた。
ルーク様と共に作り上げたチキンサンドを皿に乗せ彼らの元に運んだ後、ティアの分を別皿にとって、少し離れた場所で横になっている彼女の元に向かう。
近づけばティアはわざわざ身体を起こした。
怪我人なんだから気を使わなくていいのに…。きっと真面目ないい子なのね。
『食事は取れそうですか?』
そう声をかければティアは、ええと頷いた。
どうぞ、と彼女にチキンサンドのお皿を手渡しする。
『ティアさん。ルーク様を守っていただきありがとうございます』
深々と頭を下げれば、彼女は、え、そんな、と慌てた声を上げた。
『本来ならば、私やガイがお守りしなければいけない立場ですのに、貴女に怪我まで負わせてしまいました』
「いえ、民間人を守るのは軍人としての務めですし、特にあの場はガイは前で戦っていたし貴女はイオン様をお守りして居たのだから近くに居た私が適任だっただけです」
きりっ、と彼女は背筋を正して言う。
「それに、こんな事になったのも私がルークを巻き込んでしまったせいなので……」
先程よりどこか少ししゅんとした様子でそう言う彼女を見て、そうだったと思い返す。
「あの、ルークを拉致しようとした訳ではないんです!本当に偶然超振動が起きて…」
『ええ、ヴァンから聞いていますよ。貴方は自分を討とうとしてファブレ公爵家に足を踏み込んだと』
「………!」
ティアは息を飲んだ後、俯いた。
「……そうです」
『そうですか。まあ、理由は何となくわかります』
そう言えばティア、えっ?と顔を上げた。
『私もヴァンのやり方にはついていけなくて
「あの……、リュリさんは兄と親しいんですか?」
ん?ああ、呼び方のせいかな。
『ええ。子供の頃からヴァンにはお世話になっているんです。妹が居るのも聞いていましたけど、初めてお会いしますよね』
「はい」
そう言えば、あの頃にちょうどヴァンのお母様が妊娠なされてて…、結構年の離れた兄妹だったはず。あれが確か16年前だから……えっ?
『16歳!?』
「え?はい、そうです」
『ええっ』
嘘でしょ。感知した姿や話す様子から私とあまり変わらない年齢だと思っていた。
というか、ルーク様より歳下には思えない。
大人びた少女
落ち着いていますね、と言えば彼女はよく言われますと苦笑いした。