2019年
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「ハロウィン限定のお菓子なんだって。いろいろあったからたくさん買ってきたよ」
そう言って野坂さんから渡された、大量の菓子。それらを有無を言わさず食べさせられている。
野坂さんは気に入ったものを1つ2つだけ選んで、後はじっと俺がコレを食べ終わるのを待っている。
あまりの量に吐き気も催してきて、思わず手で口を押さえる。
せっかく野坂さんが買ってきて下さったのに無下にするわけにもいかないが正直限界である。
「あ、野坂さんに西蔭さん。こんな所に居たんですね」
そう言ってやってきたのは一星で、俺の目の前に置かれた大量の菓子の包みを見つけて、あー、と呟いて苦笑いした。
「一星くん、どうしたの」
「えっと、これお二人のハロウィン衣装です!」
「ああ、今夜の仮装パーティーの衣装だね」
「そうです」
そう言って一星は、野坂さんと俺にそれぞれ紙袋を渡した。
「サイズは大丈夫だと思うんですけど...本当に俺が選んだのでよかったんですか?」
「うん、僕らはこういった事はよく分からないから助かるよ」
野坂さんに同調するように頷いておく。
「そうですか?一応お二人のイメージから魔法使いとその使い魔にしたんですけど」
「へぇ、僕のが魔法使いかな?」
「はい」
なるほど、袋の中の畳まれた状態ではどんな衣装かよく分からないが野坂さんの使い魔ということか、悪くなさそうだ。
「一星くんはどんなのにしたんだい」
「俺ですか?俺は明日人くんが同じのにしようよって言ってくれて、狼男にしました」
「そうかい。ちなみに梅雨さんがなんの衣装にするかは知ってる?」
そう言って野坂さんは何故か俺を見た。そんな野坂さんにつられて一星の視線も俺へと刺さった。
水津さんの衣装か。
「いや、知らないですね」
「分析家の一星くんなら梅雨さんはどんな衣装を来てくると思う?」
野坂さんの唐突な質問に一星はうーんと頭を悩ませている。
「なんでしょうね。水津さんなら...」
「西蔭も考えて」
「え、俺もですか?」
「そう。着てもらいたい衣装でもいいよ」
野坂さんからの無茶ぶりに、俺も頭を悩ませる。
「着てもらいたい衣装...」
頭の中で水津さんを思い浮かべる。
「水津さんスタイルいいので小悪魔の衣装とか映えそうですけど...」
悪魔の衣装か。赤い角に黒い身体にフイットしたミニスカートの衣装を着た水津さんを想像して、その頭の中の水津さんがスカートの後ろから生えた悪魔の尻尾を指に巻き付けてニヤリこちらを見て笑って、思わずテーブルに勢い良く頭を打ち付けた。
「えっ!?西蔭さん!?」
「ははっ、梅雨さんが着たら小悪魔っていうよりサキュバスみたいになりそうだね。ね、西蔭」
困惑している一星とは反対にずいぶんと楽しそうな声で野坂さんが俺に同調を求めるが、頷く訳にも行かず頭をテーブルに打ち付けたままでいる。
「刺激の強い衣装も似合いそうだけど、意外と清楚にシスターみたいな衣装かもしれないね。梅雨さん私服もあまり露出の多い服は着ないし」
「ああ、確かに。そういったのも似合いそうですね」
先程振り払った水津さんの像とは別の今度は修道服を身にまとった水津さんが現れて、指を組んで祈っている。ああ、とても似合いそうだ。
「で、西蔭の好みは?」
「は...?え?なんで俺の好みになってるんですか?水津さんに似合いそうな衣装の話でしたよね」
「ああ、うん。そうそう」
「あの野坂さん」
一星が野坂さんを呼んで何か耳打ちをしている。
「西蔭さんって水津さんの事が好きなんですよね?」
「前に、自覚したはずなんだけど......。妙に鈍感なんだ」
「なるほど...」
2人がそんな事を話してるのもつゆ知らず、水津さんに似合いそうなもの...と頭を働かせる。
ハロウィン衣装といえばやはり魔女か?あとはさっき悪魔が出ていたし天使とかか...?どちらも似合いそう、とまた想像してしまって、テーブルに頭を打ち付ける。
「西蔭さん、だ、大丈夫ですか?」
心配するような一星の声の後ろで野坂さんが、フッ、と笑い声を漏らしたのが聞こえた。
こちらは正直笑い事ではない。自分の創り出した偶像の水津さんが自分の都合のいいように微笑んでいるのだ。今も浮かんで...、
「......ああ」
「西蔭?」
「水津さんに似合うのはユニフォームだと思います」
「うん?」「はい?」
野坂さんと一星が2人して首を傾げたが、やはり1番似合うのはユニフォームではないだろうか。俺は水津さんが楽しそうにボールを蹴っているあの姿が好きだ。それに
「以前、日本代表のユニフォームを羨ましがっていたので、この機に着る可能性もあるのではないでしょうか」
「ああ、そう言う事か」
「そう言えば、同じ宿舎に居いて一緒に練習もするから忘れがちですけど水津さんはフリスタ選手ですもんね」
フリースタイルフットボールはそれはそれでスポンサーの用意した日本代表としての衣装があるようだが、FFIの日本代表ユニフォームとは異なる。
「確かに梅雨さんならハロウィンに託けて誰かにユニフォーム借りて着そうだね」
「でも仲のいい、お2人に声はかかってないんじゃないですか?」
確かに。いや俺のは明らかにサイズが合わないのでないだろうが、野坂さんに借りに来てないな。
「まあ、何にせよどんな衣装来てくるか楽しみだね西蔭」
そう言って野坂さんはポンと俺の肩を叩く。
「さて、僕はこの衣装合わせをしたいから先に部屋に戻っているけど、西蔭はそれ食べ終わってからでいいよ」
「え"っ...」
「あっ、じゃあ俺も失礼しますね」
そう言って野坂さんと共に一星も去っていって目の前にまだ大量にある菓子たちを見てため息を吐いた。