2022年
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どうしてこうなった。
視界に映るのは天井と、ほんのりと顔の赤い西蔭の顔だった。
彼の伸ばしたひと房の前髪が当たってくすぐったい。
今日は2月14日。
4日前の彼の誕生日には予定が合わなかったので、このバレンタインデーという日に家に呼んで一緒にお祝いしていた。
私が用意した料理を食べて、誕生日プレゼントとバレンタインチョコと2つ渡して、食後のデザートに、と西蔭からの提案でバレンタインチョコを一緒に食べた。
デパートで購入した高級チョコレート。
プレゼントとして買ったはいいが自分もどんな味か気になっていたから、その提案に喜んで口に運んだ。
香りも舌触りも良くてそれはそれは美味しかった。
西蔭も、美味しいです、と喜んで食べていた。
コーヒーのおかわり入れてくるよ、と席を立って、入れ直して、ローテーブルにコーヒーを置いてソファに座る西蔭の隣に腰を下ろした途端これだ。
「何処に行ってたんですか」
上に覆いかぶさった西蔭が、どこかムスッとした様子でそう言った。
『何処って、コーヒー入れてきただけだよ』
「勝手に居なくならないでください」
『いや、おかわり入れに行くって言ったよね?それより、どいてくれない?』
西蔭の端正な顔が、近くにあるのは些か心臓に悪い。
「いやです」
『ええー…………』
普段そんなわがまま言う子じゃないのにどうした?
『コーヒー冷めちゃうよ』
ローテーブルの方へ視線を向ける。まだ湯気が立っている。
ふと、その横のチョコレートの箱をみる。色んな種類が入っていたが、その中に洋酒入っぽいのもあった。
「こうでもしないとアンタはどこかへ行くでしょう」
そう言って西蔭は肩口に顔を埋めてきた。
ええ…………。会話になってないし、何より重たい。
こんな甘えるような仕草、普段の彼ならしない。……でも、あの小さいので酔うかぁ……。
『仕方ないなぁ……』
腕を回して右手を彼の背に、左手を後頭部に当てる。
『どこにも行かないよ』
「行きますよ。サッカーのためなら、アンタは何処へでも行きます」
『それは…………』
否定出来ずに押し黙る。
だって、それが私のやりたいことなのだから、そのためなら何処へだって行くだろう。
『だったら、その時は西蔭も連れてくわよ』
「無理です」
そう言って西蔭は、頭を上げぼんやりとした目でこちらを見つめた。
「……俺は、野坂さんを傍でお支えしなければ」
『はあ!?そこで私より野坂を選ぶの!?信じらんないっ!!』
もうどけ!と彼の肩を押す。
くそっ。重い。ビクともしねぇ!!
「だからアンタが離れないでください」
そう言って西蔭は、今度は私の頭を抱えるようにしてソファに転がった。
『ええー…………』
無茶苦茶言ってくるなぁ。
西蔭にとって野坂が最優先なのは分かっていたけど、これは酷い。
『私も西蔭ついてきてくんないと嫌なんだけど?』
「…………」
西蔭は黙ったまま何も言わない。
『西蔭?』
トントンと胸を叩くが反応がない。
え、もしかして寝た?
『嘘やん…………』
まじ?と少し頭を後ろに向けて上にある顔を見る。
しっかりと閉じられた両目を見てため息を吐く。
腕から抜け出そうともがくが、がっちりと抱きしめられていて出られない。
この筋肉ゴリラめ。
そこまでして私を手放したくないのか。
『まったく……可愛いやつめ』
しょうがないから、ここに居てあげるわよ。
ボンボンショコラに負けぬほど
私は君に甘いのである