2020年
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「うわぁ!」
『あーーーー!!!』
部活終わりにサッカー部の部室で目金と梅雨は、自身のスマホと睨めっこしていたかと思うとそれぞれ叫びを上げた。
『...外れた』
チケットご用意出来ませんでした、の文字に落胆する。
『はあ...帰る準備しよ...』
そう思って、部誌を片付ける。
『目金、ショックなのは分かるけど帰ろう』
固まったままの彼にそう声をかけるが反応がない。
『目金?』
近づいてヒラヒラと顔をの前で手を降れば、目金は、ハッ!と声を上げて、もう一度スマホを見た。
「水津さん。やりましたよ...!」
はい?と首を傾げれば、目金はスマホの画面を見せるように突き出してきた。
「サマフェス、当選しました!!!」
『えっ、マジで!?やったじゃん!おめでとう!!!』
自分のスマホにはなかった、チケット当選の文字に多少羨ましくもあるが、おめでとうを送る。
2次元のアイドルゲームの声優さん達が行うライブの現地チケットの争奪戦を目金は見事勝ち抜いた。
『うわー、いいなぁ。ライビュの情報解禁まだだったよね。ライビュのチケット取れるかなぁ...』
「ふっふっふ、水津さん!」
目金は不敵に笑いながら眼鏡を光らせた。
『なに?』
「実は僕、チケット2枚獲得してます。つまりこれがどういう事かお分かりですか?」
『まさか...!』
「そうです!水津さんが獲得出来なかった時の為に2枚で応募して、いたんですよ」
『神か!』
そう言えば、もっと褒めていいですよ、と目金は胸を張った。
こうしてチケット当落発表があったのが5月。
そしてそれから3ヶ月後。待ちに待ったサマーフェスライブの日。
始発の電車に乗るため朝4時半の集合に大きな欠伸を1つ噛み締める。
「おはようございま...」
チェックのシャツをジーンズにシャツインして、動きやすいようにリュックを背負った完全にヲタクの正装をした目金は、集合場所に待っていた梅雨を見て固まった。
『あ、おはよう、目金。...目金?』
「え、あ、はっ、はい、おはようございます」
慌てて眼鏡を掛け直すような動作をした目金に首を傾げる。
もしかして、これってデートなのでは?そう目金の脳裏に浮かんでいるなどと知らない梅雨は、時間ないからさっさと行こうかと、歩き出す。
「あ、あの、水津さん」
先行く水津に並んで声をかければ、なに?と首を傾げられる。
確か、こういう時はまず女性の服装を褒めなければ。漫画やアニメで得た知識を引っ張り出して目金は、よし、と心の中で意気込んだ。
「そ、その、服、」
『服?ああ、これ?ちゃんと言われた通り動きやすいので来たよ』
事前物販で購入したライブティーシャツにパンツのスタイルに歩きやすいスニーカー。それと公式グッズのキャップ帽。首には同じく事前物販のフード付きタオル。
「え。あ、ああ、完璧ですね!」
『いやぁ、現地初めてだからさ。事前に色々教えてくれて助かったよ』
ニコッと笑った水津に思わず目金は顔を逸らす。
「い、いえ...」
『さ、電車乗り遅れるから急ご』
始発の電車に乗って、目的地付近の駅で下車して、歩いて今回の会場へ向かう。
『うわ、すごっ。もうこんな並んでんの?』
パッと見で200人以上居る。
「前の方は徹夜組ですかね。いけませんねぇ。ちゃんとルールは守らなくては」
『禁止って言われてもやっぱいるんだね』
そう言いながら、列の1番後ろに並ぶ。
『ふぁあ...。物販開始10時からだっけ』
「はい、5時間先ですね」
『5時間か...』
「水津さんの分も僕が代わりに購入しましたのに」
そう言えば、水津はいやいや、と首を振る。
『グッズ販売は現地ならではじゃん。1度経験してみたかった』
「そうですか。まあ僕も連れが居るのはトイレに行きやすくて助かりますが」
『1人だとどうすんの?』
「前後の方に荷物をお願いしますね。大概の方は快く引き受けてくださいますよ」
ほえーと間抜けな声を上げて、水津はバッグから携帯ゲーム機を取り出した。
『とりあえず、ゲームしてれば5時間なんてあっちゅう間でしょう』
そうですね、と頷いて目金もリュックを1度下ろしてゲーム機を取り出す。
「素材集めでもしますか?」
『お、いいね。5時間あったら何回周回できるかな』
「1回20分から30分だと10回は回れそうですけど、そもそも5時間は電池が持ちませんよ」
『あーそれもそうね』
携帯ゲーム機の電池長くて3時間だもんなぁ。
まあ電池切れたら、別の会社の機体のゲーム機やるんだけど。
ゲーム片手間に、時間を潰して5時間たった頃。少しずつだが列が動き出した。
そこから更に1時間半、ジリジリと進み続け、やっと物販会場に入れた。
紙にある欲しいグッズの欄に個数を記入して、係のお姉さんに渡してグッズを持ってきてもらって支払いをする。
買ったグッズを持って移動して、お昼を食べるために適当に飲食店に入って昼食を取りながらトレーディング商品は開封して、互いの推しを交換した。
開場ギリギリまでそこのお店で涼ませて貰って、会場に向かう。
また列に並ぶが、今度は何時間も並ばないだけ楽だ。
チケットを渡して会場に入って、指定された席につく。
『わ...なんか緊張してきた』
「なんで、水津さんが緊張するんですか」
『いや、推しを生で見れるのかと思って』
「あー、なるほど。それはまあ、わかります」
自分も最初の頃はそうだったな、と目金は思い返しながら、ペンライトの準備をする。
『8本持ちは流石すぎる』
「水津さんはうちわ持って来たんですね」
そう目金が聞けば、うん、と水津は頷いて胸の前でうちわを掲げて見せた。
『めっちゃ気合い入れて作った!可愛くない?』
推しのカラーのハート型うちわに名前がでっかく有り、ハートや星のマークとモールでデコレーションしてある。
確かにそれも可愛らしいが、ニコニコと楽しそうに語る水津を見て目金はうちわよりそちらに注視してしまう。
「か、可愛いです...」
『でしょ!』
ニコニコと笑ってサイリウムをペキペキ折り出した水津の横顔を見て、目金は頭を抱える。
(ライブに集中しなければならないのに、どうしてしまったんでしょう。朝イチ、デートだとか余計な事を考えてしまったせいで...)
『目金?大丈夫?もしかして...』
そう言って水津が顔を近づけ、目金の顔に手を伸ばす。
「水津さん!?」
顔を赤くし、後ろに引こうとした目金の額にぴたりと手が触れた。
『熱中症、かしら?炎天下に居たものね』
「へ...。い、いえ、これは違います!」
『けど、』
「大丈夫です、大丈夫ですから...」
顔を真っ赤にしたまま、額に貼った手を目金に剥がされながら水津は心配そうに見詰める。
『無理しちゃダメよ?具合悪くなったら直ぐに言ってね』
「本当に大丈夫ですから!」
そう?と首を傾げながらも一応水分取ってね、とペットボトルを渡す。
「...はい」
ペットボトルを受け取った目金に満足したように頷いて、ステージに目を向ける。
『そろそろかな』
「そろそろですね」
そう言って目金も邪念を払うように首を降って、ステージに期待した。
サマーフェスライブ
全力でライブを楽しんで、興奮冷めやまぬまま帰宅した頃には、抱いた感情などすっかり忘れてしまった。
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書き手が現地はテイフェスしか行ったことないんで、他がどうかわかんないんですけど、目金とライブとかフェスとか行ったら楽しそうだなと思って。