2020年
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「水津...ちょっといいか?」
『うん、いいよ』
昼休み。染岡に声をかけられて二つ返事で答えた。
なに?と聞けば、ここ(教室)ではちょっとと彼は言葉を濁して廊下の方に目線をやった。
『じゃあ、ちょっと外行こうか』
どこかソワソワとした様子の、染岡を連れて教室を出て歩く。
染岡のこの感じと、彼のズボンのポケットの不自然な四角い膨らみを見るにあまり人が居ないところがいいのだろうと、校内を歩いて行くのだが...。
流石モンスター校、昼休みはどこも人がいる。校舎裏に屋上まで、誰かしらいて染岡は少し焦っているようだった。
ぶっちゃけ、教室で呼び出した時点でクラスのみんなにはバレバレなのだけれど、この恥ずかしがり屋さんは誰かに見られながらは無理というのが先行してか、その点には気づいていないらしい。まあそういったところが愛らしくて好きなのだけれど。
染岡に振り回されるまま、あちこちに向かってみるが、普段、人が居ないところも考えてることが染岡と同じ人達が居る。
クソッ、と染岡が苛立ちを露わにしているが、こればっかりはしょうがないよね。もうそろそろ昼休みも終わってしまうし、この辺り人はいるものの、私達と同学年の者は居ないし、同じ部活の人達も居ないし、染岡には悪いがここらで妥協してもらおうと足を止める。
『染岡、そろそろ要件聞いてもいい?』
そう言えば染岡は、足を止め少し辺りを見回して知り合いが居ないことを確認した後、あー、と唸って後ろ首に手を置いた。
「その、今日なんの日かはさすがに知ってるだろ」
恥ずかしそうに視線を逸らす染岡が可愛らしくて思わず笑みが漏れる。
『もちろん』
「だよな、」
『数学の日だよね!』
ちょっとした悪戯心でそう言えば、染岡はえっ、と呟いてポケットに入れかけていた手を止めた。
「...今日、数学の日なのか?」
『うん。3.141592653...って円周率の最初の3.14から来て数学の日とされてるみたい』
「はー、よく知ってんな。...ってそうじゃねぇわ!それ知ってるぐらいなら今日がホワイトデーって知らないわけねぇだろ!!」
『そうだね』
染岡の反応が面白くてケラケラと笑って入れば、こつん、と頭の上に何かが当たった。
「笑いすぎだろ」
私の頭の上にあった、何かを持った染岡の手がゆっくりと降りてきて眼前に突き出される。
「...やる」
そう言って恥ずかしそうに顔をそらされた。
『ホワイトデーのプレゼント?』
「最初からそう言ってんだろ!」
『いや、万が一で違うかもしれなかったから』
「んなわけねぇだろ!」
『そっか。ありがとう』
染岡の手から箱を受け取れば、小さな声で、おう、と返事が帰ってきて、それもまた愛おしくて、くすっと笑みを零した。
「なんだよ」
『ううん、嬉しいなと思って』
「そ、そうかよ」
照れ屋な君から
染岡ことだから、きっと恥ずかしくて親にも頼めず、1人でプレゼント買いに行ったんだろうな。そう思うと尚更愛しさが溢れた。