2020年
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※変遷の夢主のつもりで書いてましたが一応歳上主としても読めます。
ピンポン、とインターホンの鳴る音がして作業していた手を止めて、壁に付けられたモニターに寄ってチェックすれば、茅色の髪の前髪をひと房だけ垂らし、後は逆立てるような髪型の少年がドアの前に立っているのが映っていた。
『西蔭、ちょっと待っててね』
モニターのパネルについた通話用のボタンを押してそう言えば、向こうから、はい、と帰ってくる。
作業用に付けていたエプロンもそのままに、パタパタとスリッパを履いたまま廊下を駆けて玄関に向かい、鍵を外し扉を開けた。
『いらっしゃい』
「はい、お邪魔します」
どうぞ、と西蔭を玄関に通してから、扉を閉めて鍵をかけた。
「あ、これ」
そう言って西蔭が小さなケーキボックスを差し出してきた。
『わ、ありがとう!ケーキ?』
こくりと頷いた西蔭からケーキボックスを受け取って、空いた片手で来客用のスリッパを並べる。
『でも気なんか使わなくて良かったんだよ』
「いえ。野坂さんが、こういう時は手土産を持っていくのが基本だと」
靴からスリッパに履き替えながら西蔭がそう言って、相変わらずだなと梅雨は笑った。
『そっか。ならティータイムに一緒に食べようね』
「はい」
頷いて、梅雨がリビングへと先導して歩くのを付いて歩く西蔭は、すん、と鼻を鳴らした。
「なんか、甘い匂いがしますね」
『うん。お菓子焼いてるからね』
そう言えば西蔭は、あっ、と零してそれから、しくったという顔をした。
バレンタインだからと家に呼ばれたのだから、菓子が用意されているのは考えれば分かったのに。何故ケーキを手土産に選んでしまったのか...。
「すみません、俺なにも考えずケーキを...」
『うん?大丈夫大丈夫。西蔭いっぱい食べるでしょ?』
「え、あ、はい。責任もって俺が全部食います」
言い切った西蔭に、梅雨はくすくすと笑ってリビングに入る。
『私、オーブンの様子見てくるから適当に座ってていいよ』
はい、と返事をした西蔭を置いてキッチンに向かい、冷蔵庫にケーキボックスを入れて、それからオーブンの中を扉越しに見る。
『うん、もうちょっとだね』
オーブンはそのままで大丈夫そうだ、とエプロンを外してキッチンの椅子に掛けてリビングに戻れば西蔭はソファーに座ってその隣に持ってきた荷物を置いて居たのだが、慌てて西蔭が自身の膝の上に置き直したので、梅雨空いたその横に腰掛けた。
『外泊許可取れた?』
王帝月ノ宮生は寮で生活しているので外出にも許可がいるのだが、まあ来たって事は外出許可は降りたんだろうけど。外泊許可はどうだっただろうか。バレンタインから1日過ぎた本日は土曜日なので、良かったら泊まりに来る?と声を掛けたのだけれど。
「はい。大丈夫です」
『お、じゃあ、明日の夕方までは西蔭独占できるね』
ふふ、と笑って西蔭を見た梅雨に対し、気恥ずかしくなった西蔭は目を逸らした。
『もしかして、緊張してる?』
「...あー、それなりに」
顔を覗き込むようにして聞けば、西蔭は更に顔を逸らした。
『もー、可愛いなぁ。取って食べたりしないから大丈夫だよ』
けらけらと笑った梅雨を見て、いやそれは逆では?と思ったが西蔭は口に出さずにいた。
『なんかゲームでもやる?』
よいしょとソファーから立ち上がって、テレビを付ける。
『大乱闘もカートもパーティもあるし、ピンクの悪魔のやつとか、ぷよとかテトとかもあるよ』
「沢山あるんですね」
『うん、複数人で操作できるRPG系のもあるけど。西蔭はなんかゲームした事ある?』
「格ゲーならゲーセンとかで少し。あとはガキの頃に仲間の家で大乱闘はやった事あります」
ガキの頃って言っても西蔭は2月10日に14歳になったばかりのまだまだ子供なのに、たった数年前の小学生の頃をそう言うのはなんだかおかしいな。
『なら大乱闘やろうか。飲み物取ってくるけど、西蔭何がいいかな。珈琲も紅茶もお茶もあるし、あとはコーラかオレンジジュース』
「水津さんと同じのでいいですよ」
『そう?じゃあちょっと待っててね』
そう言って、キッチンの方へ向かおうとしたら西蔭もソファーから立ち上がった。
「運ぶのお手伝いします」
飲み物取ってくるだけなのだからそんな必要でもないのだけれど、どこかソワソワとした様子の西蔭が愛らしくて傍に置いときたくなった。
『ふふ、じゃあお願いしようかな』
はい!と力強く返事をした西蔭と共にキッチンに向かう。
「向こうでも結構甘い香りがしてましたけど、こっちはもっとしますね」
『うん。てかちょうどいいタイミングでこっち来たわ』
オーブンの表情タイマーを見れみれば、残り時間が1分を切っていた。
とりあえず飲み物用にグラスを2つ食器棚から取り出す。
『コーラでもいい?』
ゲームと言えば個人的にコーラがお供なのだけれど、中学生と言えど世界大会にも出たサッカー選手だし、糖質とか考えて飲まないかな?
「はい。大丈夫です」
『おっけー、じゃあコーラにしよ』
冷蔵庫を開けて1500mlのボトルを取り出す。
『注いでもらってもいい?私その間にオーブンの中身取り出すから』
そう言ってる最中に、ピロピロとオーブンのタイマー音が鳴った。
はい、と頷いた西蔭にボトルを渡して、自分はミトンを手にはめてオーブンを開いた。
『おー、出来た出来た』
天板を引っ張り出して、キッチンテーブルの上に置く。
「凄いですね。クッキーですか?」
『うん。チョコチップクッキー。あっ、そうだ』
ミトンを手から外して、綺麗に並べたクッキーの中から1つだけ取る。
『わ、熱っ』
ふーふー、と冷ましてから、自分の口の中に放り込む。うん、美味しい。
『西蔭、』
「はい?」
『あーん』
もう1つ、焼きたてのクッキーを摘んで西蔭の口元に持っていく。
「えっ、」
『熱いから早く』
「あ、はい。あ、あーん」
恥ずかしそうにそう言った西蔭の口の中にクッキーを差入れる。
『はっぴーバレンタイン!』
そう言って、にししと笑えば西蔭は口元を覆うように手を置いた。
『え、もしかして甘すぎた?』
そう聞けば、西蔭はブンブンと頭を横に振った。
「違います。その、可愛い過ぎました、水津さんが」
『は...も、もう!』
恥ずかしくなってペシペシと西蔭の背を叩く。
「す、すみません。けど、本当に可愛らしかったので」
『あーーーー!!』
菓子より甘いわ
照れ隠しに大乱闘でボコボコにした。
ピンポン、とインターホンの鳴る音がして作業していた手を止めて、壁に付けられたモニターに寄ってチェックすれば、茅色の髪の前髪をひと房だけ垂らし、後は逆立てるような髪型の少年がドアの前に立っているのが映っていた。
『西蔭、ちょっと待っててね』
モニターのパネルについた通話用のボタンを押してそう言えば、向こうから、はい、と帰ってくる。
作業用に付けていたエプロンもそのままに、パタパタとスリッパを履いたまま廊下を駆けて玄関に向かい、鍵を外し扉を開けた。
『いらっしゃい』
「はい、お邪魔します」
どうぞ、と西蔭を玄関に通してから、扉を閉めて鍵をかけた。
「あ、これ」
そう言って西蔭が小さなケーキボックスを差し出してきた。
『わ、ありがとう!ケーキ?』
こくりと頷いた西蔭からケーキボックスを受け取って、空いた片手で来客用のスリッパを並べる。
『でも気なんか使わなくて良かったんだよ』
「いえ。野坂さんが、こういう時は手土産を持っていくのが基本だと」
靴からスリッパに履き替えながら西蔭がそう言って、相変わらずだなと梅雨は笑った。
『そっか。ならティータイムに一緒に食べようね』
「はい」
頷いて、梅雨がリビングへと先導して歩くのを付いて歩く西蔭は、すん、と鼻を鳴らした。
「なんか、甘い匂いがしますね」
『うん。お菓子焼いてるからね』
そう言えば西蔭は、あっ、と零してそれから、しくったという顔をした。
バレンタインだからと家に呼ばれたのだから、菓子が用意されているのは考えれば分かったのに。何故ケーキを手土産に選んでしまったのか...。
「すみません、俺なにも考えずケーキを...」
『うん?大丈夫大丈夫。西蔭いっぱい食べるでしょ?』
「え、あ、はい。責任もって俺が全部食います」
言い切った西蔭に、梅雨はくすくすと笑ってリビングに入る。
『私、オーブンの様子見てくるから適当に座ってていいよ』
はい、と返事をした西蔭を置いてキッチンに向かい、冷蔵庫にケーキボックスを入れて、それからオーブンの中を扉越しに見る。
『うん、もうちょっとだね』
オーブンはそのままで大丈夫そうだ、とエプロンを外してキッチンの椅子に掛けてリビングに戻れば西蔭はソファーに座ってその隣に持ってきた荷物を置いて居たのだが、慌てて西蔭が自身の膝の上に置き直したので、梅雨空いたその横に腰掛けた。
『外泊許可取れた?』
王帝月ノ宮生は寮で生活しているので外出にも許可がいるのだが、まあ来たって事は外出許可は降りたんだろうけど。外泊許可はどうだっただろうか。バレンタインから1日過ぎた本日は土曜日なので、良かったら泊まりに来る?と声を掛けたのだけれど。
「はい。大丈夫です」
『お、じゃあ、明日の夕方までは西蔭独占できるね』
ふふ、と笑って西蔭を見た梅雨に対し、気恥ずかしくなった西蔭は目を逸らした。
『もしかして、緊張してる?』
「...あー、それなりに」
顔を覗き込むようにして聞けば、西蔭は更に顔を逸らした。
『もー、可愛いなぁ。取って食べたりしないから大丈夫だよ』
けらけらと笑った梅雨を見て、いやそれは逆では?と思ったが西蔭は口に出さずにいた。
『なんかゲームでもやる?』
よいしょとソファーから立ち上がって、テレビを付ける。
『大乱闘もカートもパーティもあるし、ピンクの悪魔のやつとか、ぷよとかテトとかもあるよ』
「沢山あるんですね」
『うん、複数人で操作できるRPG系のもあるけど。西蔭はなんかゲームした事ある?』
「格ゲーならゲーセンとかで少し。あとはガキの頃に仲間の家で大乱闘はやった事あります」
ガキの頃って言っても西蔭は2月10日に14歳になったばかりのまだまだ子供なのに、たった数年前の小学生の頃をそう言うのはなんだかおかしいな。
『なら大乱闘やろうか。飲み物取ってくるけど、西蔭何がいいかな。珈琲も紅茶もお茶もあるし、あとはコーラかオレンジジュース』
「水津さんと同じのでいいですよ」
『そう?じゃあちょっと待っててね』
そう言って、キッチンの方へ向かおうとしたら西蔭もソファーから立ち上がった。
「運ぶのお手伝いします」
飲み物取ってくるだけなのだからそんな必要でもないのだけれど、どこかソワソワとした様子の西蔭が愛らしくて傍に置いときたくなった。
『ふふ、じゃあお願いしようかな』
はい!と力強く返事をした西蔭と共にキッチンに向かう。
「向こうでも結構甘い香りがしてましたけど、こっちはもっとしますね」
『うん。てかちょうどいいタイミングでこっち来たわ』
オーブンの表情タイマーを見れみれば、残り時間が1分を切っていた。
とりあえず飲み物用にグラスを2つ食器棚から取り出す。
『コーラでもいい?』
ゲームと言えば個人的にコーラがお供なのだけれど、中学生と言えど世界大会にも出たサッカー選手だし、糖質とか考えて飲まないかな?
「はい。大丈夫です」
『おっけー、じゃあコーラにしよ』
冷蔵庫を開けて1500mlのボトルを取り出す。
『注いでもらってもいい?私その間にオーブンの中身取り出すから』
そう言ってる最中に、ピロピロとオーブンのタイマー音が鳴った。
はい、と頷いた西蔭にボトルを渡して、自分はミトンを手にはめてオーブンを開いた。
『おー、出来た出来た』
天板を引っ張り出して、キッチンテーブルの上に置く。
「凄いですね。クッキーですか?」
『うん。チョコチップクッキー。あっ、そうだ』
ミトンを手から外して、綺麗に並べたクッキーの中から1つだけ取る。
『わ、熱っ』
ふーふー、と冷ましてから、自分の口の中に放り込む。うん、美味しい。
『西蔭、』
「はい?」
『あーん』
もう1つ、焼きたてのクッキーを摘んで西蔭の口元に持っていく。
「えっ、」
『熱いから早く』
「あ、はい。あ、あーん」
恥ずかしそうにそう言った西蔭の口の中にクッキーを差入れる。
『はっぴーバレンタイン!』
そう言って、にししと笑えば西蔭は口元を覆うように手を置いた。
『え、もしかして甘すぎた?』
そう聞けば、西蔭はブンブンと頭を横に振った。
「違います。その、可愛い過ぎました、水津さんが」
『は...も、もう!』
恥ずかしくなってペシペシと西蔭の背を叩く。
「す、すみません。けど、本当に可愛らしかったので」
『あーーーー!!』
菓子より甘いわ
照れ隠しに大乱闘でボコボコにした。