フットボールフロンティア編
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「先程の自信はいったい何処からきたのだね?」
後半戦の始まったモニターを見ながら影山はそう言った。
モニター中では前半戦と変わらず、世宇子中の選手の技によって吹っ飛ばされる雷門イレブンの様子が映し出される。
「あの薬は世宇子の力の一部に過ぎん...。前半戦で疲弊しきった雷門など、我々の敵ではない」
先程部下からスタジアム内の神のアクアが全て水に差し替えられていると連絡があったが、それに影山はさして驚きもせず、そうかと言って通信を切って居たのはそういう事か。
確かに、雷門は5人の負傷者を出し、交代枠も全て使い切り、10人でのプレイとなり疲弊しきっている。
更には前半戦では3-0と雷門は1点も取る事が出来ていない。
そして世宇子中の選手たちはほぼ無傷で、疲弊した選手など居ない。
余裕綽々といったように、モニターの中のアフロディは指ひとつ鳴らし、土門のキラースライド、影野のコイルターンを避け、巨漢の壁山を吹き飛ばして、ゆっくりと歩くようにドリブルをしてゴールの前に立った。
雷門の皆はグラウンドに伏せ、円堂とアフロディの1体1。
アフロディはシュートを円堂の顔面にぶつけた。ボールは弾かれてアフロディの元に戻って行ったからゴールは守れたが、円堂は反動で後ろに倒れた。
けれど彼は直ぐに起き上がって、アフロディを睨みつけながらしっかりとグラウンドを踏みしめた。
そんな円堂にイライラとした様子でアフロディは彼の顔面や腹にわざとボールを蹴りつけた。
...本来ならレッドカードだが、やはり審判は買収されているのだろう。何のカードも掲げない。
アフロディが繰り返しボールをぶつければ円堂は前に倒れ地に顔面を付けた。
そんな円堂の様子を見たアフロディは満足したように踵を返して円堂に背を向けて歩き出した。
アフロディの後ろで、円堂はぴくり、と指を動かした。
手のひらでグラウンドの芝を掴んで、腕を支えにゆっくりと立ちあがった。
化け物でも見たかの様な形相でアフロディは振り返って速攻ボール蹴った。
ボールは円堂の胴に当たってアフロディに跳ね返る。それを間髪入れずに蹴り返し今度は腹に、また跳ね返ったそれを今度は顔にと、明確に全てを潰そうと繰り返しボールを蹴る。
円堂をボコボコにしているのはアフロディの方なのに、何故だか彼の方が怯えた様な顔をしている。
そして、何度倒れても円堂はまた立ち上がった。
「馬鹿な...!」
影山もそう言って画面に食らいついている。
『馬鹿ですよ。言ったでしょう。私が危険だからやめろと何度言っても言う事を聞かない、無茶苦茶な奴。円堂守とはそういう子ですよ』
そしてその子に感化されて、他の子供達もゆっくりと立ち上がっていく。
それに怒り狂った様にアフロディは目を釣りあげて円堂を睨みつけた。
そして彼は白い羽を広げ宙に飛び立つ。
ゴッドノウズの体制に入ったアフロディに対し、円堂は一瞬顔を輝かせて背を向ける様に右に腰を捻った。
「ふん、諦めたか」
『違いますよ』
円堂の周りには渦巻くように気がまとわりつき、アフロディはゴッドノウズを放った。
「なに...?まさか...!」
円堂は貯めた気を吐き出すように捻っていた身体を戻す勢で大きく掌を突き出した。
「マジン・ザ・ハンド...!!」
円堂の後ろに現れた魔人が掌を広げて突き出し、神のシュートとぶつかり、止めた。
「なにっ!?」
『よしっ!いっけぇ!!』
モニターでは、ガッチリとボールを止めた円堂が大きくボールを投げて鬼道に渡った。
ドリブルで駆け上がる鬼道の前にディオが立ちはだかり彼はメガクェイクを発動した。
ボールごと上に弾き飛ばされた鬼道は、不安定な体制であるものの瞬時にボールをヘディングして、豪炎寺の元に飛ばした。
ファイアトルネードを豪炎寺が打てば、飛ばされた体制から直ぐに戻った鬼道が駆けて、ツインブーストを打った。
世宇子GKのポセイドンが慌ててツナミウォールを発動するが、2つの必殺技の威力を持ったそのボールはツナミの間を通り抜けて、ポセイドンの守るゴールを割った。
《ゴーーール!!!》
実況の角馬さんの熱の入った声が轟く。
影山を見れば、信じられないというように、目も口も開いていた。
「奴らの力が神の力をも超えると言うのか!?」
『違いますよ』
そう言えば、影山は振り返ってこちらを向く。
『アフロディも世宇子中の子供達も貴方も、決して神などではない。人と人の戦いだったからこその結果です』
モニターではキックオフと同時に今まで揚々と歩いていたはずのアフロディが走ってドリブルをしてゴール正面で飛び上がった。
ゴッドノウズを撃てば、再び円堂はゴッドハンドで立ち向かう。
再びガッチリと止めた円堂からみんなにボールが渡り、豪炎寺のファイアトルネードから鬼道がツインブーストを打つ。
ギガントウォールでポセイドンがボールを地にめり込ませ叩き潰そうとするが、地面と拳の間をすり抜けてボールはゴールに突き刺さる。
「馬鹿な...」
影山も驚きの声を漏らし、絶望したようにアフロディが動かなくなれば、指揮系統が乱れチームとして機能しなくなった。その隙に豪炎寺と鬼道のツインブーストがもう一度ゴールを突き破る。
残り時間も後わずか、雷門側のゴール前でグラウンドに手を着いたアフロディの横を、ゴールを開けて円堂が飛び出す。
それに合わせて一ノ瀬と土門も世宇子中ゴールに向かって駆け上がった。
『最後の1秒まで諦めない』
飛び上がったザ・フェニックスはゴールではなく、豪炎寺へと飛んでいき、彼はそのままファイアトルネードを打ち付けた。
業火を纏ったフェニックスはゴールへと飛んでいき、それを恐れたポセイドンは悲鳴を上げてゴールの前から逃げ出した。
これが雷門サッカーです
フェニックスがゴールに入ると同時に、ピッピッピーィッ!と終わりを告げるホイッスルが鳴り響いた。