フットボールフロンティア編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
お風呂から上がって、ベットに腰掛けて、なんの気なしにスマホをいじっていれば、ピコンと一通のメッセージが届いた。
『夏未ちゃんからだ』
なんの用だろうかと、メッセージを開けば、「貴女、サッカー詳しいのよね?」ときていた。
まあ、それなりには...と送り返せば、すぐに返信がきた。
夏未ちゃんが送ってきたメッセージの、「それじゃあ...」の後を見て、後ろからベットに倒れ込んだ。
『よかった、ちゃんと話通りに進むみたいだ』
夏未ちゃんからのメッセージにはこう書いてあった。
「帝国学園って知っていて?」
寝転んだまま、そのメッセージに、知っているよ、とてもサッカーが強い学校だよと返した。
そしたらまたすぐに、「そう」と返事が返ってきた。
続きで「それじゃあ、また月曜日に」と送られて来たので、またね、と送り返して目を閉じた。
よかった。来週月曜日には話が進みそうだ。
その日はそのまま眠りについた。
翌日、土曜日の午後、私はペンギーゴというスポーツショップに訪れていた。
理由は簡単。前回のアレでまこちゃんたち稲妻KFCの監督である会田さんに頼まれ、リフティング教室を月1で行う事になったからである。
無論、タダで引き受けるには、円堂とか円堂とか円堂に遭遇するリスクがあるので、それなりの対価(バイト代)を頂く事になっている。
恐らく夏未ちゃんにバレたら校則違反と怒られるだろうが、月1回だけの報酬なんて小遣い程度のものだ、黙っておけば問題なかろうて。
まあ、そういうわけで、スポーツウェアとリフティングボールを見にこのペンギーゴに来たわけだが...。
ウェア売り場で、気に入ったトレーニングウェアを見つけそれを1式カゴにいれ、次はサッカー用品の売り場に移動する。
陸上競技用品の横を通り抜けて、その奥のサッカー用品売り場に。
『あっ、』
横を過ぎる時に、その場で陸上競技用品を見ている、水色のポニーテールの後ろ頭を見つけてしまい、思わず口に出た。
少女かと見間違うような見てくれをしたその少年は、ん?と後ろを気にする様に振り返ったが、気のせいかとすぐに、棚の方へと目線を戻した。
あぶない危ない。彼は風丸一郎太じゃないか。思わず、風丸だ!と言いそうになってしまったのを、我ながらよく抑えたと思う。
いそいそとなに食わぬ顔でサッカー用品売り場に移動して、並んでいるスパイクを手に取る。
あそこで名前なんて呼んでしまったら、ばっちりエンカウントしてしまう所だった。よかったよかった。
スパイクはどうしようかな。ピンクのもかわいいし、黄緑も色鮮やかだしなぁ。
ふと、さっきのポニーテールを思い出す。そうだなぁ、水色もキレイだよね。
私の髪も変色して青みかかっているし、寒色系は似合うだろう。
風丸目撃記念ということで、コレにしてしまおうか。
推しのカラーを身につけるオタクたちはいつもこんな気分なのかな。私は前の世界ではそういうのしないタイプのオタクだったので、新鮮だ。
そんなこんなで、水色のスパイクもカゴにいれる。
あとは、リフティングボールだけど...。
ボールは小さい子が来た時に遊ばれないように、だいたい高いところ置いてあるんだよね。
うーん、と見上げれば、サッカーボールの並びにリフティングボールもいくつか並んでいた。
やー、これはやっぱり店員さん呼ばないと取れない高さだな。
「『すみませー、ん?』」
店員さんを呼ぶ声が、陸上競技用品を見ていた彼と被った。
思わず、お互いがお互いを見てしまう。
やっちまったなぁ!!
「あれ、お前...?」
そう風丸がなにか言いかけたタイミングで、ちょうど店員さんが彼の後ろからやってきた。
「お待たせしました、どうされましたか?」
「あ、えっと...」
ちらり、と風丸が伺うようにこちらを見てきたので、お先にどうぞ、と手を差し出すポーズをした。
「すみません、このスパイクのこのサイズってありますか?」
「あー、倉庫にあるかもしれないんでちょっと見てきますね」
「お願いします」
いそいそと、店員さんが去って行き、再び風丸はこちらを向いて近づいてきた。
「先を譲ってもらって悪いな。お前、この間転校してきた水津だろ?運動出来るって話題になってた。俺も同じ雷門中なんだ」
そう言って声をかけてきた。
はい、エンカウント回避できませんでした。
『あ、そうなんだー』
知ってるんだよなぁ。
「風丸一郎太だ。よろしくな」
そう言って手を差し伸べられて、仕方なく握り返す。
『どうも』
「同じ陸上部の女子が、勧誘したけど断られたって言ってたけど、...サッカーやるのか?」
私のいる売り場をぐるり見て、風丸はサッカーボールを目に止めた。
『あー、まあ』
「そうなのか。俺の幼馴染みもサッカーやっててさ、雷門サッカー部のキャプテンやってるんだ」
全て存じております。
「円堂って言うんだけど...ってその顔はもしかしてもう会ってるのか」
おそらくゲンナリとした表情をしていたのだろう。風丸は苦笑していた。
『...うん。最近まで凄い勧誘に来てたね』
「やっぱりか」
「すみません、お待たせしました」
バタバタと、小走りに店員さんが箱を持って戻ってきた。
「こちらの商品ですね」
「あ、はい」
店員さんはパカりと箱の蓋を開ける。
「色、サイズ確認お願いします」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。あ、ちょっと待ってください」
戻ろうとした店員さんを風丸は引き止めた。
「同じタイミングで彼女も呼んでたので」
「ああ、そうでしたか。どうされましたか?」
『すみません、あそこのリフティングボールなんですけど、3号球と5号球が欲しくて』
高いところにあるボールを指せば、店員さんは少々お待ち下さいと、脚立を立てて登っていく。
「5号はオレンジしかないんですけど、3号は青と黄緑とあります。どっちにされますか?」
『んー、じゃあ青いので』
「はい」
店員さんは2つのボールを抱えて、脚立から降りてきた。
「では、こちらですね」
『はい、ありがとうございます』
ボールを受け取れば、失礼しますと店員さんは去っていった。
「そんな小さいボールもあるんだな」
風丸は私の片手に収まった5号球をまじまじと見ている。
『あぁ、これはリフティング用のボールなの。小さければ小さいほど蹴るのって難しいでしょ?これでボールコントロールが身につくんだよ』
「へぇ、サッカーも奥が深いんだな」
興味深そうに風丸が呟いたのを見て、ひっそりと微笑えんだ。
『ええ。サッカーは面白いよ』
「そうか」
もうすぐ君も、ボールを追って走るようになるんだよ。
なんて。
未来予知ではないけれど