フットボールフロンティア編
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アメリカ組と車送迎の夏未ちゃんとお別れした後、作戦会議が必要だ、との鬼道の声で一行は雷雷軒へと足を運んだ。
皆好き好きにカウンターやテーブルに座る。私はテーブル席に1人で着いた豪炎寺の正面に座った。
各々頼んだラーメンが到着すれば、いただきますと手を合わせ、ズルズルとラーメンを啜る。
「チャーシューメンお待ち」
そう言って響木監督はラーメンを私の前のテーブルに置いて、カウンターの中に戻っていく。
『豪炎寺』
私のより先に来たラーメンを食べていた豪炎寺が、なんだ?と視線をあげる。
割り箸を割って、自分の前のチャーシューメンからチャーシューを2枚捕まえて、それを豪炎寺のラーメンどんぶりに移す。
「おい、」
『しっかり食べてリキつけなさい』
そう言って返品は受け付けませんといった態度で、自分のラーメンを食べ始める。
私からはみんなのように気にするなとは言えないからなあ...。
雷雷軒に着くまでの間も、明らかにいつもよりも暗い豪炎寺を皆が、事情が事情だったんだしと励ましていたが、私からすれば武方三兄弟が怒るのも仕方がない事だと思っているので、下手に励ます気にもなれない。
事情が事情だったからこそ、チームメンバーには説明して辞めるべきだったと思うのだけれど。まあ、当日の出場辞退もきちんと連絡べきだったとは思うが、さすがにそれは夕香ちゃんの事で動揺して出来なかったのだろうけど、後日、学校を転校するまでの間に説明することは不可能ではなかったはずだ。
でもそれすらもせず、黙って部を辞め転校すればそりゃあ裏切り者だの、逃げただの言われても仕方がないかなと思うが。
そういう訳で、気にするなとは言えないが、元気にはなって欲しいので、チャーシューをプレゼントした。
「...悪いな」
そう言って、豪炎寺は再びラーメンを啜り出した。
男の子達がラーメンを食べ終わる頃、鬼道を中心に会議が始まった。私は来るの1番最後だったからもう3分の1くらい残ってる。
「問題はあのパワーとスピードをどうするか、だな」
「トライアングルZか...」
「あんなすごい技見たことないですよ...」
カウンター席に座っている風丸と宍戸が振り返ってうーん、と唸り声をあげる。
「水津、動画撮っていただろう。後で送ってくれ」
『ん、』
ラーメンを啜っていた手を止めて、鬼道に了解と頷く。
「今まで対戦した中で最強のシュートじゃないか?」
「ああ、単純なパワーの比較なら帝国のデスゾーンより強力かもしれん」
流石、豪炎寺を超えるために生み出された技である。
心配する皆に、円堂は大丈夫!と声をかけた。
「今日は初めてだったから驚いただけさ!試合では絶対に止めてみせる!」
「本当に出来るのか?」
「根拠は?」
風丸と鬼道が円堂を見れば、彼は真剣な顔をした。
「死にものぐるいで練習する!」
その言葉に、宍戸と風丸は椅子からズッコケた。
「ものすごく単純な理論だな」
『円堂らしいっちゃらしいけどね』
「円堂の言うことも間違っている訳ではないぞ」
今まで黙って洗い物をしていた響木監督が口を開いてそう言った。
「サッカーの中で絶対に嘘をつかないものがある。なんだと思う?」
真剣な響木監督の言葉に、ズッコケていた風丸と宍戸も席に座り直した。
「練習だ。練習で得たものしか試合には出てこない」
「確かに、それは正論ですね」
『そうかな...』
みんなが頷く中、1人でボヤくと皆の視線が集まった。
「なんだ?」
低いトーンで響木監督が訊ねてくる。否定されたのが癇に障ってしまっただろうか?いや、元の雰囲気が結構怖い人だから怒ってるっぽくみえるだけかもしれないが。
『え、いや。練習も時と場合によったら裏切りますよ。中身のない練習を効率悪くグダグダやったって意味がないですし。オーバーワークで身体壊したら元も子ないですし』
そう言えば、響木監督はフッと鼻で笑った。なんだ、やっぱり雰囲気怖いだけで怒ってなかったか。
「確かに、一理あるな。だが、うちには水津、お前がいるだろう」
『はい?』
響木監督の言葉の意味が分からず首を傾げる。
「俺は、お前がコイツらに無駄な練習をさせるとも、オーバーワークをさせるとも思わんが?」
『ああ、そういうこと...。そりゃあまあ、そんなことさせる気ないですけど』
そうだろう、と言って響木監督頷いた。
「今まで通り、期待しているぞ」
その言葉に、マジか...と頭を抱える。プレッシャーなんだが?いや全力サポートはする気だけどさ。
「なんだ、雷門のあの練習メニューはお前が考えていたのか」
あ、そうね、最近チームに入ったばかりの鬼道は知らなかったか。
「なんだ鬼道知らなかったのか?週ごとの大まかな練習メニューは水津が考えてくれてるんだよ」
「個人の家で出来る筋トレメニューももらっただろ?あれも水津作だぜ?」
風丸と円堂がそう言えば鬼道は、ほう、と興味深そうに私の方を見た。
「そうだったのか。意外だな」
これはみんなと混ざって練習するのとか、アクロバットのレクチャーしてるのが私の仕事だと思ってたな。
『ちゃんとそういうマネージャーっぽい事もしてるんだよ』
「マネージャーというか、トレーナーっぽいがな」
響木監督の言葉に確かにと頷く。中学のいちマネージャはトレーニングメニューなんか考えないよな。これはうちの部は訳あって顧問の先生がいなくなったし、元々コーチも居ないから仕方がないのだが。
「ならばお手前拝見だな」
『いやいや鬼道クン、君の知識もフル活用するからね』
影山の元で練習してきたんだもん、絶対身になる練習法しってる。
「ふっ、ならば対価に戦略を考える手伝いをしてもらおうか」
『おうおう。お易い御用で』
「水津さんと鬼道さんの考える練習...」
「中々ハードそうだな」
「よぉーーし!明日から特訓だ!!」
頑張るぞ!と円堂が高らかに拳を突き上げた。
雷雷軒ミーティング
明日からって今日は私、徹夜か?幸いな事に夜食には駄菓子がいっぱいある。