フットボールフロンティア編
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学校に来て早々、頭を抱えた。
「おはよう!水津!」
教室に入ると、別クラスであるはずの円堂がいた。
円堂は先程まで、私の隣の席の染岡と話をしていたようで、彼も円堂と一緒私を見つめた。
はあ、とため息を吐いて、自分の席へ向かう。
『おはよう。私の席そこだからちょっと通して欲しいな』
私と染岡の席の間の通路に立っているので無視するわけにもいかず、円堂に挨拶をする。
「ああ!わるいわるい!!」
円堂はサッと避けてくれて、私は机にカバンを置いて席につく。
その様子をわくわくといったように見ていた円堂が、机を挟んだ正面に立った。
そんな円堂の様子を隣の席の染岡は呆れ気味に見ていた。
「なあなあ水津!!サッカー部入らないか!!」
やっぱりこうなるよね。うん、分かってた。分かってたけどなぁ...エンカウントしちゃったんだもんなぁ。
『うーん、それはちょっと...』
「なんで!!あんなにサッカー上手いのに!!」
『えっ、ちょっ』
ガシッと円堂に肩を掴まれて、ガタガタと揺さぶられる。
『ちょ、やめ...』
「ちょっと、貴方。円堂くん」
キツめの言い方で、私の後ろから円堂の名を呼ぶのが聞こえた。
「彼女の事を揺らすのやめて頂戴」
「あっ、お前...!」
揺らされるのがピタリと止まって、うぇ、と胸元を押さえる。
「大丈夫かしら、水津さん?」
『ありがとう...夏未ちゃん...』
振り返ってみれば仁王立ちの夏未ちゃんがいた。
「べ、別に貴女の為に止めたわけじゃありませんからね」
『うんうん』
相変わらずのお手本のようなツンデレだなぁ。
「朝礼が始まるまでに、資料整理をしようと思うのよ、手伝ってもらえて?」
『ええ、構わないよ』
そう言って、夏未ちゃんのお手伝いなら理事長室だなと思い椅子から立ち上がる。
「待てよ!俺が今、水津を勧誘してたんだぞ!!」
円堂がそう声をかければ、夏未ちゃんは冷たく彼を見下ろした。
「勧誘?練習もろくにしない廃部寸前の部活に?笑わせないで頂戴」
「なっ...!」
行くわよ、と声をかけて夏未ちゃんは教室の入口へ向かう。
その様子に円堂は頬っぺを真っ赤にし膨らませていた。
『うーん、ごめんね、円堂』
これからサッカー部に入るのは私の役目じゃないんだよ。
声をかけて、私は夏未ちゃんの後を追った。
「むぅ」
むくれた円堂を見て、染岡は呟いた。
「なんであんな奴勧誘してんだよ」
「だって水津めっちゃサッカーうめえんだぞ!!」
あー?と染岡は考える素振りを見せた。
「そういやぁ、相当運動神経いいんだったな。転校初日の体育で目立って他の部活からめっちゃ勧誘されてたらしいな」
「なんでその時に染岡、サッカー部に誘ってないんだよ!!」
「いや、だってアイツ女子だろ」
「でもめっちゃサッカー上手いんだぞ!!」
円堂のサッカー馬鹿加減に染岡は、はあとため息を吐いた。
「どの道、アイツ全部の勧誘断ってるし無理だろ」
「俺は諦めないぞ!!」
「いや、辞めとけよ。アイツ、転校してからずっと雷門夏未の秘書みてぇな感じだぞ?」
サッカー部廃部にしようとしてるって噂の生徒会長のお付きの者だ。勧誘なんて辞めとけ辞めとけと、染岡は円堂の肩をポンポンと叩いた。
それでも尚、それから5日間、円堂による部活勧誘が毎日、朝、昼休み、放課後と続いた。
そして6日目の朝に来た以降、その日の昼休みから放課後にかけて円堂が勧誘に来ることは無かった。
「やっと諦めたのね。まったくしつこかったわね」
円堂に追われてたのは私なのに、何故か夏未ちゃんが終わって良かったわ、と呟いた。
『いやぁ、ほんと執念がすごいねぇ』
「貴女、そんなにサッカー上手いの?」
『んー??どうかな?授業でサッカーがあったら楽しみにしててよ』
そう答えれば、ふぅん、と夏未ちゃんは呟いて席を立った。
『今日も生徒会のお仕事?』
「ええ。でも、こないだ資料整理してもらった例の転校生も今日転入を終えたし、しばらくはお手伝い無用よ」
『そう、それはよかっ...ん?』
夏未ちゃんの言ったことを頭で繰り返し復唱して首を捻る。
『こないだの資料整理、転校生のだったの?』
機密書類だといけないからと、ファイリングの手伝いはしたが、なるべく内容は見ないようにしていたため気づかなかった。
そう言えば、夏未ちゃんはそういう気遣いが出来るから貴女に手伝いをたのんでるのよ、と呟いた。
しっかし!転入生!!!
第1話の転入生と言えば彼だ。なるほど、それで円堂はお昼来なかったのね納得した。
もっと凄いのがいるんだもん。そりゃあ、そっちに行くよね。
けど、あれ...??豪炎寺が転入してきた日の休み時間って確か、円堂が校長室に呼ばれて、帝国学園との試合が決まって、そこで勝たなければ廃部と言うのを突きつけられる日ではなかったか??そしてその場に夏未ちゃんも居たはずだ。
だけど、どうだ?今日、夏未ちゃんは休み時間、私とずっと一緒に居たぞ??
「それじゃあ、私はもう行くわね」
『う、うん...。お仕事頑張って』
教室を出る夏未ちゃんを見送って、え?と再び考える。
同じ日だったと思ったんだけど...別日だったのか...?記憶違いかな...いやでも1話は何回も見たし...。
1人で10分ほど悩んだ挙句、悩んでいても致し方ないと諦めて帰路に着くのであった。
起こる異変
ズレが少しづつ生じ出す。