フットボールフロンティア編
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フットボールフロンティア、全国大会。雷門中の1回戦の相手は、戦国伊賀島中。
「戦国伊賀島中の監督、伊賀島仙一校長は忍者の末裔と言われています」
「えっ、忍者!?」
『伊賀流忍術とか聞くし、まあ、末裔が居てもおかしくないよね』
「そうですそうです。忍者村とかある地域ですから」
春奈ちゃんが一晩で調べあげたデータを見ながらみんなに説明をする。
開会式の翌日、対戦相手の発表が昨日だったから大変だっただろう。
「秘伝の忍術を使い選手を鍛えているとの噂です」
「忍術で鍛えるって...?」
どういう事だ?と土門が首を傾げている。
「一体どんなサッカーをするんッスかねぇ...」
「それが...よく分からなくて」
春奈ちゃんのその言葉に、いいさ!と円堂が返す。
「どんなチームだってサッカーをする事には変わりない!今まで通り真正面からぶつかって行こう!」
そう言って円堂は手のひらに拳をぶつけた。
「炎の風見鶏チャンスがあればバッチリ決めてくれよ!」
ああ、うん、と豪炎寺と風丸が頷く。
そのタイミングで、ガチャとロッカールームの扉が開かれた。
「みんなー!練習時間よ」
そう言って、戦国伊賀島がアップしていた様子を見に行っていた秋ちゃんが戻ってくる。
よし行こう!と立ち上がる皆に、待ってと声をかける。
「どうしたんだ、水津?」
『夏未ちゃんから君らへ頼まれてた事があってね』
なんだ?と首を傾げるみんなの視線が集まる中、ポケットから手紙を取り出す。それを開いて、んんッと一つ咳払いをする。
『雷門イレブンの皆へ。大事な全国大会の最初の試合なのにマネージャーの役目を話せなくてごめんなさい。でも私は勝利を信じています。必ず勝ちなさい。これは理事長の言葉と思って貰って構いません。...だって』
開会式の日、夏未ちゃんが試合に向けて皆に手紙を書くから、試合の前日に後取りに来てと頼まれた。
「応援してるのか命令してるのかよく分からないでやんすねぇ」
「ま、いかにも雷門夏未ってメッセージじゃない?」
松野の言葉にみんなが頷く。
『夏未ちゃんの思いはみんなでグラウンドに持っていこう。病室のテレビで見てくれてるはずだからさ』
「ああ、そうだな!よぉーし、絶対に勝つぞ!」
おお!とロッカールームに皆の声が響く中、風丸だけが真剣な表情でスパイクの紐を結び直していた。
「...やるぞ」
小さく意気込んだ彼は静かに燃えているようだった。
ぽん、とその方に手を置く。
「...水津?」
ベンチに座ったまま見上げてきた彼に、ニッと笑ってみせる。
『楽しんで行こうぜ』
「楽しんで、か。いいな」
フッと、風丸の正面に立っていた豪炎寺が笑って、ロッカールームの出口に向かう。
「確かに、1回戦だからって気負い過ぎたらダメかもね〜」
そう言いながら松野が豪炎寺の後に続く。
「俺、トイレ寄ってから行くっス!」
「またかよ、壁山」
トイレトイレと外に向かう壁山に呆れた様子で宍戸がついて行く。
他のみんなも、さあ、やるぞ、と意気込んで、ぞろぞろとロッカールームを出ていく。
「じゃあ、水津さん、音無さん。私たちも準備しましょう」
『うん』
「はい!」
私と秋ちゃんで、タオルとドリンクボトルとスポーツドリンクの粉を分担して持って、春奈ちゃんはパソコンやビデオカメラなどの機材を持ってロッカールームを後にした。
みんながフィールド上でアップを始める中、ベンチでドリンクボトルにスポーツドリンクの粉と水を入れてシャカシャカと振る。7本目に差し掛かった辺りで、急にフィールドが騒がしくなった。ボトルをベンチに置いて皆の元に近寄ってみる。
「誰だ!」
「お前に名乗る筋合いはない」
雷門中の練習タイムなのに割り込んでボールを奪ってきた紅藤色の髪のまろ眉少年が言った。
『ああ!戦国伊賀島の霧隠だ』
「そう俺は戦国伊賀島の霧隠才次」
腕を組んでふふんと得意げに笑った少年に壁山が思いっきり名乗ってるッスと呆れたように見つめる。
それを聞いて、霧隠はハッとしたようにこちらを見た。
「くっ、卑怯な!この俺を罠に嵌めるなど...」
『いや嵌めてない嵌めてない』
イヤイヤと手を振れば、彼はまたくっ、と悔しそうな声を漏らした。
「まあいい。とにかく豪炎寺修也!俺と勝負しろ!」
そう言って霧隠が奪っていたボールを指豪炎寺に向けて蹴れば、それを両手でキャッチしたは、彼はなに?と聞き返した。
「噂は聞いてるぞ。天才ストライカーなんだってな。俺も脚には自信がある。どっちが上か決めようじゃないか」
偉そうに腕組みをしながら霧隠がそう言って、それからフィールドを指さした。
「ここからフィールドをドリブルして速さを競う。簡単だろ?」
「断る」
豪炎寺は霧隠の提案を速攻で断り、迷惑だとボールを投げ返す。
「何っ、逃げるのか!?腰抜けめ!」
「腰抜けだと!?」
霧隠の言葉に言われた豪炎寺ではなく、円堂が反応し食ってかかった。
「お前には言ってない!」
「仲間をバカにされて黙っていられるか!」
そう言った円堂に、冷静になれよと風丸が声を掛けている。
『意外と円堂って短気だよね』
ぽつり、と思ったことを口に出せば、1番近くにいた半田が、なー、と頷いている。
『こういう時って染岡がキレてるイメージあったんだけどな』
「分かる分かる」
うんうんと半田が頷けば、おい、と低い声で呼ばれる。
「お前ら聞こえてるからな」
『えっ、ごめんごめん』
「いや実際短気じゃん」
半田がそう言えば、染岡はチッと舌打ちした。そういうとこだよ。
「つーか、お前も気短いだろ。鬼道の事ビンタしたり」
『いや、あれは鬼道が悪いし』
「水津も大概だよな。御影専農の時は突っかかって行ったじゃん。今回は行かねーの?」
と半田が指さした先では、先程まで円堂に冷静にとか言ってた風丸が、なぜだか俺が相手になると言い出していた。まあ、見に来ている陸上部の後輩宮坂にいい所見せるために名乗りあげたのだろうけど。
『いや、だって豪炎寺はストライカーなのにFWとしてのプライドもなく自分の得意な土俵、ドリブル勝負挑んでくるような奴、豪炎寺が断るのは当たり前だし。そして、それを腰抜けだと思ってるの、頭やばいな、と関心すらしてた』
「水津...。その辺にしてやれ」
トントンと半田に肩を叩かれて首を傾げる。
「可哀想だから」
霧隠は顔を赤くしてプルプルと小刻みに震えていた。
「女...!お前っ!聞こえてるからな!俺を罠にはめるだけでなく、コケにするとは...!」
いやだから罠には嵌めてないから。
コケにはしたけど。
「まあまあ落ち着け。うちじゃ速さなら俺が1番だ。勝負するんだろ?」
どうどうと風丸が霧隠を落ち着かせる。
「くっ、覚えていろよ、女!」
そう言って私を指さした後、霧隠は風丸との勝負の為にスタートラインに向かう。
『フリースタイルフットボールで良ければ勝負したげるよ!』
「お前も自分の土俵じゃねーか」
『だって勝てない勝負はしたくないもの』
ゴールの前に三角コーンを置いて、センターラインに並ぶ2人を眺める。
「さあ、見せて貰おうか?チーム1番の足の速さを」
「いけー!風丸!」
「ぶっちぎるっス!」
「頑張って風丸くん!」
皆の応援に風丸は頷いて、足元にボールを置き真っ直ぐ三角コーンを見つめた。
「よーい、」
ピーッと春奈ちゃんがホイッスルを吹き、2人は同時にボールを蹴って走り出す。
脚には自信があると言うだけあって霧隠は速い。
ましてや数ヶ月前までサッカー初心者だった風丸と違って、いつからサッカーしてるか知らないが、中学から始めていたとしても2年生である霧隠の方が1年以上は確実にボールに触れてドリブルしなれているはず。
ゴール前に置かれた三角コーンでUターンして2人が戻ってくる。その途中で霧隠は自分の蹴っていたボールを置いて風丸の足の前にあるボールを奪ってドリブルを始める。
なっ、と一瞬怯んだ風丸だったが咄嗟に判断し、霧隠が置いたボールを蹴り先いく彼を猛スピードで追い上げる。
ゴールであるセンターライン目前、風丸が1歩分リードした。その瞬間、上から2人の少年が現れて、風丸と霧隠のボールを奪い去った。
「なっ、なんだ!?」
「勝手な行動は慎め」
緑の髪の戦国伊賀島ユニフォームを来た少年が、足でボールを踏み止めそう言えば、霧隠は、けっ、とそっぽを向いた。
「サッカーは個人競技に非ず。チーム同士で競うものだ」
同じく戦国伊賀島のユニフォームを来た長髪の少年がそう言えば、霧隠は大人しく分かったよと言って風丸を見た。
「名前覚えとくぜ。えーと...藤丸くん」
「風丸だ!」
そんなやり取りを背に、緑髪の少年が近くにやって来て頭を下げた。
「霧隠の無礼を謝罪する」
「えっ、ああ...」
『お気になさらないでください』
「あっ、初鳥!そいつに謝らなくていいぞ」
後ろから霧隠がそう言えば、緑髪の少年初鳥は、眉をひそめ彼を見た。
「女!お前の名前も覚えておいてやる!」
『生憎、不躾な男性に名乗る名は持ち合わせておりません』
そう言えば、霧隠はキッー!と猿みたいな声を上げて地団駄を踏んだ。
「お前!いつか俺と勝負しろ!」
『はいはい』
「...いい加減にしろ霧隠」
やれやれと長髪の少年が霧隠の後ろに回って彼の首根っこを掴んだ。
「再度失礼をした」
長髪の少年がそう言って、ぺこりと頭を下げれば、初鳥もまた頭を下げた。
「では、御免」
口の前で印を組んだ彼らはそう言って、ドロンと消えていった。
戦国伊賀島
いやぁ、これがジャパニーズNINJAかー。