ホーリーロード編
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ホーリーロード全国大会の開会式はロシアンルーレットスタジアムという周囲に5つのスタジアムが複合した巨大施設の中央にある、アマノミカドスタジアムで行われた。
ホーリーロードは次の聖帝を決めるための選挙も兼ねているらしく、現聖帝イシドシュウジに対し革命を起こそうとしている雷門からは響木正剛が推薦され ている。
病気の事もあって心配してたが、10年後も元気そうで良かった。
それに大会の実況は変わらず角馬王将さん。見た目は少し老けられたが、声の力強さは変わらずよく通る。
そんな彼とは別室の放送室で私はテーブルから生えたマイクの横にある棒状のスイッチをONに傾ける。
《『これより大会委員長イシドシュウジ氏による開会宣言です』》
そう発言して目のマイクをOFFに切り替えた。
豪炎寺は意外と人使いが荒い。選手たちの監督だけでなく、大会中は会場のアナウンスもやれとか。
虎丸もこき使われているようで、忙しなくあちこちに出向いている。
《全国の戦いを勝ち抜いてきた選手諸君。ここにホーリーロード開幕を宣言する》
ホログラムで大きく映し出された聖帝イシドシュウジは仰々しく手を大きく広げてみせた。
《ホーリーロードこそがサッカーの頂点。これからが本当の戦いだ。選手諸君の活躍を期待する!》
身振り手振りで語る聖帝は、勝利や優勝を目指してや健闘を祈るなど普通の大会なら言いそうな言葉をことごとく避けている。
八百長試合に対して何言ってんだ、って選手たちが思わないように、尚且つ何も知らない観客達からは違和感ないように上手いことやっている。
《さあ、ついに始まった熾烈な戦い。今年の舞台、ロシアンルーレットスタジアムは5つの会場に別れており各チームはランダムに決められた会場で試合を行います》
……実際の所はランダムではない。これも試合と同じでフィフスセクターによって決められている。
《そして最終的に勝ち抜いた2校が、ここアマノミカドスタジアムで決勝を戦うのです!注目の第1回戦は明日から、各ロシアンルーレットスタジアムで行われます》
私がいくつかの学校を視察に行き、報告を上げた結果、豪炎寺が初戦に雷門にぶつける学校に選んだのは月山国光中だった。
この学校のサッカー部の子たちは古めかしい喋り方をする変わった子たちが多かったが、シードでキャプテンの兵頭くんが上手くチームを取り纏めているようで、反乱の兆しは薄いように感じた。
だが、その中に1点気になる存在がいた。南沢くんというFWの選手だったが、彼の来歴をみるとホーリーロードの予選中に雷門中から月山国光中へと転校している。今大会雷門中として在籍していたのは予選の1回戦だけ。普通、親の転勤とかでも子供のことを考えるなら、新学期で転校させるとか、部活の大会中とかは避けて片親だけ単身赴任してとかになりそうなものだけれど……。随分と変なタイミングだと思い、直接南沢くんと話をさせてもらったが、彼曰く、フィフスに逆らって内申点が下がりこの先の進路に悪影響を及ばすのが嫌だから革命なんて馬鹿げたことを始めた雷門を抜けたのだそう。
雷門のことを語る彼は心底嫌そうな顔をしていたので、彼が月山国光で革命を起こすようなことは無さそうだったし、この雷門に対するヘイトをみるに豪炎寺が言っていた雷門には本気の相手をぶつけるというのに丁度良かったのかもしれない。
開会式の翌日、雷門対月山国光の試合はサイクロンスタジアムで開催された。
選手たちがアマノミカドスタジアム前にあるホーリーライナーでロシアンルーレットのなの通りランダムなスタジアムに運ばれていく、と表面上はされている。
実際は聖帝が決めたスタジアムに運ばれているだけなのだが……。まあ、そういう事情で、選手達をスタジアムへ運んだあとで来場した観客たちをホーリーライナーで送るようになるので、アマノミカドスタジアム側でその案内のアナウンスやトラブル対応をするのが本日の私の仕事だ。ちなみに豪炎寺は聖帝用のVIP席のような場所で試合を観ることになっているし虎丸は私と同じようにトラブル対応の為に試合会場の方にいる。
まあそういうわけで、観客たちを送り終われば基本試合終了まではアナウンスの仕事がないのでモニターで試合の様子をを見守る。
サイクロンスタジアムは四方八方にファンが設置され、上には天井を覆い尽くすような一際大きなファンが設置されている。ここからフィールドにランダムで最大3つの竜巻が起こる仕掛けとなっている。
正直危ないし頭おかしいと思うんだけど、この超次元的世界ではこれを止める大人がいなかったようだ。
一応スタジアム内に医療班はいるし、何かあればホーリーライナー以外で緊急搬送できるように救急車、消防車などの専用道路も用意してあるようだけれど……。
どう足掻いてもフィールドが危険なことには代わりがないので、私は何かあったらすぐに救急に連絡できるように食い入るように画面を見つめ試合の行く末を見守った。
そもそも八百長なので月山国光の方はフィールドの情報が事前に与えられていて、竜巻の発生箇所やタイミングを知っているのでそれらを試合に上手く組み込んでプレイしていた。対する雷門は当然なにも知らされていないので序盤は苦戦していたが、途中から自分の必殺技と竜巻を上手く組み合わせて使う選手が現れ試合は白熱していった。
『しっかし、本当に円堂が監督をしてるんだなぁ』
時々カメラでベンチの方が映る。変わらないバンダナを頭に巻いた姿だったが、背も伸びと少し大人びた顔立ちになっていた。それにその隣には青いゴーグルから緑のトンボの目みたいな形のサングラスに変わった鬼道の姿と、スーツを身にまとった大人の女性となった春菜ちゃんの姿もあった。
事前に豪炎寺たちからの話や、資料でも知っていたが本当に彼らが率いているんだな。
大きくなった彼らを見て感慨深く思う反面、10年という期間を飛び越えて来てしまったため共に過ごせなかった悲しみもある。それに……
VS雷門
彼らは今は敵だ。きっと元雷門の南沢くんがいる月山国光を充てたのも子供たちを使った代理戦争のようなものだからなのだろうな。