ホーリーロード編
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ずいぶんと大きくなった宇都宮虎丸との再会を喜んだあと、私がこちらに戻ってきた経緯から聖帝の手伝いをしてもらう事になったことを豪炎寺が虎丸に説明してくれた。
そして、逆に彼らから私に現在行われている大会、ホーリーロードの状況を説明してもらった。
現在は地区予選が大方の地域で終わった所だという。
その中で、現れたフィフスセクターへの反逆児たち、雷門中。革命を掲げる彼らを率いる監督はなんとあの円堂守だという。しかもコーチとして、鬼道有人がついている、と。
だが、これはこれは彼らが勝手に始めた事で内部で動いている豪炎寺と連携を取っているわけではないらしい。というか、豪炎寺はホーリーロード中は彼らの敵として振る舞うつもりらしい。
『まあ、敵を欺くにはまず味方からっていうしね』
円堂たちと連絡をとりあえば千宮路にバレるリスクも高まるわけだし……。
「それもあるが、俺自身まだ見極めている最中だからな」
『……フィフスセクターを?』
ああ、と豪炎寺は頷く。
「千宮路さんの思想は同意しうるところがあったわけだからな」
まあ、そうじゃなきゃそもそも最初から聖帝になんてならないか。
「やり方が問題なんですよね」
ぽつり、と虎丸が呟く。
『八百長ねぇ』
「ええ。まあ、俺が言えたギリじゃないんですけど……」
イナズマジャパンに選ばれた最初の頃は、虎丸も実力を抑えていた訳だしなぁ。そういう点で思うところはあるだろうけど、母子家庭で育ってるし金銭面や、自営の手伝いとかでサッカークラブに入りたかったけど入れなかったとか言うのはありそうだし、フィフスセクター側の思想も理解できるからこそ彼は豪炎寺と共にここに居るのだろう。
「まあ、とにかく、今のその八百長を雷門が壊していっているわけだ。そこにぶつける学校を決める為にも水津には地区大会を勝ち上がった各校の様子を見て回ってもらいたい」
『調整して雷門を勝ち上がらせようってことか』
「いや、それだと八百長と変わらないだろう。雷門には本気で戦ってもらわなければならない」
『そっか。本当に雷門とは敵として対するんだね』
豪炎寺の覚悟を知り、私は改めてこの仕事を引き受けると決めた。
監察官としてまず最初に向かったのは北海道の白恋中だった。
超次元なこの世界では10年経っても変わらず季節関係なく豪雪地帯のようだ。
寒がりだからしっかり着込んできていて良かったと空港から乗せてもらってきたタクシーを降りて思う。
寒いと足の調子も良くないし、雪で転ばないように慎重に歩いてグランドへ向かう。
宇宙人との戦いの中、数日お世話になった学校だ。迷うことなく目的地にたどり着いた。
私の知る白恋中のユニフォームとデザインが少し変わっているが、長袖のそのユニフォームを着た少年たちがグランドの中で練習を行っていた。
数分彼らの様子を見ていたが、その中で一際目に入ったのは紺色の髪の少年だった。
「パンサーブリザード!!」
放たれた必殺技は私の知るエターナルブリザードに動きが似ていた。
だだ、気になったのはそれだけじゃない。
シュートを打つ彼は、凄い気迫だった。まるで全ての憎悪をボールにぶつけるかのような……。
「どちら様ですか?部外者の立ち入りは禁じています」
そう声を掛けてきたのは、茶色い髪を後ろに撫で付けているが、3方向にだけ前髪がぴょんと伸びている背の高い少年。他の皆は白と水色のユニフォームの中、この子だけグレーのユニフォームを着ていることからゴールキーパーであると推察する。それに腕にはキャプテンマークもついている。
何事だ、というように練習をしていた他の子達も動きを止め、視線が一同に集まる。
『失礼。私はフィフスセクターの
豪炎寺の手伝いをするうえで私の存在をまだ、円堂たちに知られる訳にはいかないし、この世界で私の事を知ってる人が少ないにしろどこから情報が漏れるか分からないため、私も敢えて偽名を使うことにした。
それにまあ、一度は神代の一部として取り込まれた訳だし名乗っても問題ないだろう。
グランドの子供たちはフィフスセクターという単語の方にザワついている。
『聖帝の勅命でこちらに来ました。熊崎監督は今どちらに?』
「聖帝の……!」
グランドの中に監督の姿は見受けられない。
「監督なら学校の中だな」
白と青みがかったグレーのツートンカラーのツンツン頭のガタイのいい少年が最初に声をかけてきた少年の隣に立った。
『監督を呼んできてもらえます?』
「いえ、ここで待たれるのはお寒いでしょう。中へ案内しますよ」
茶髪の少年は私にそう告げたあと、くるりと他の子達の方を向いた。
「お前たちは練習を続けていろ。行くぞ、
「ああ」
「じゃあ、神代さん。俺たちに着いてきてください」
そう言った少年について行けば学校の中の一室に案内された。
「そうですか、聖帝の勅命でシードの監査に……」
アポなしだったこともあってか最初は随分と横柄な態度だった熊崎監督だが、白恋中にきた理由を説明すればすっかり態度が丸くなった。
『ええ。事前に連絡をいれてしまうと、反乱分子であることを隠蔽されてしまう可能性もあったのでこのような唐突な訪問になってしまったのですが……練習風景を見させていただきましたが、問題はないようですね』
事前に虎丸から資料をもらっていたが、案内に着いてきてくれたこの2人の子供達がシードの白咲克也と石岩次郎で、彼らの指示に他の白恋中の子供達は大人しく従っている様子だった。
「ええ。もちろんですよ。そもそもうちは革命の火種になりそうな者を追い出したあとですからね」
それも事前の資料に乗っていた。
この熊崎という男が監督に就任するとともに、白恋中のコーチをしていた吹雪士郎を解雇している。
「あの人が居なくなった事によって、あの雪村ですら今ではすっかり我らの言いなりだ」
ニヤリと茶髪の少年、白咲が笑う。
『雪村……?もしかして、紺色の髪の少年かな』
「ええそうです。我々の指導の元、化身にも目覚めたんです。うちは安泰ですよ」
『ふーん、なるほど』
あの少年の憎悪は、吹雪の解雇に関係がありそうだな。
彼らの話しぶりから雪村少年はどうやら吹雪と繋がりがあったようだし、吹雪の解雇に関してあることないこと吹き込んだとかかな……。
でもまあ、それなら──
監察官
白恋中に裏切りの傾向はなし、と。