世界への挑戦編②
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第1回フットボールフロンティアインターナショナル決勝戦。
日本代表イナズマジャパン対コトアール代表リトルギガントの試合はここ、タイタニックスタジアムで行われる。
ロッカールームで着替え終えた選手達がピッチに出てきてそれぞれのベンチへ集まった。
日本代表のベンチで久遠監督の指示を待っていたら、コトアール代表のベンチの方で、よし!とロココが嬉しそうに大きな声を張った。
「みんな外そう!」
その言葉に、なんだとイナズマジャパンのみんなの視線が一同に向く。
そんな中、リトルギガントのみんながユニホームの中にゴソゴソ手を突っ込んだかと思えば、どさりと重い音を立てて帯状の物が次々と落ちて行く。
「あれは……重りですか!?」
「1人20キロを身につけているの」
驚き声を上げた目金の言葉にリトルギガントの内部事情知る夏美ちゃんが説明を付け足す。
「そんなに……!?」
「アレを付けた状態で試合をしてきたの。しかも、必殺技を一度も使わずに」
夏美ちゃんのその言葉にみんな、え!?と驚きの声を上げている。
確かに直近で見たオルフェウスとの試合でも使っていなかった。
そんな制限の中でここまで勝ち抜いてきたリトルギガント相手に、久遠監督が選んだスターティングメンバーは、GKは円堂、DFが綱海、吹雪、壁山、飛鷹、MFが風丸、ヒロト、鬼道、佐久間、FWが染岡、豪炎寺の4-4-2の構成。
フォーメーションは守備よりではあるが、センターハーフに高い戦術眼を持つ鬼道をと攻撃型のヒロトを置きサイドハーフに風丸と佐久間を置いたところを見るにカウンター狙いの布陣なのだろう。
コイントスの結果、ジャパンボールで決まり、ホイッスルが鳴ると共に、行くぞと豪炎寺がボールを染岡に蹴り、おう!と応えた染岡がドリブルで上がっていく。
そこへリトルギガントのFW、ドラゴが左横からスライディングを仕掛け、そのタイミングで右前にゴーシュ飛び出して染岡の前にあったボールを掻っ攫って行った。
「な、なにっ!?」
ボールを奪ったゴーシュドリブルで駆け上がるのに、風丸と鬼道が追いかける、
「なんて速さだ」
「だが、ついていけなくはない!思い出せ!オルフェウスとの特訓を!」
そう風丸を鼓舞する鬼道のゴーグルがキラリと光った。
「そこだ!」
ゴーシュから彼に並走していたドラゴへとパスが出された瞬間に鬼道は飛び込んで、ボールを奪い返した。
「上がれ!染岡!豪炎寺!」
「「おう!!」」
ドリブルで駆け上がる鬼道の前をFWのふたりが走っていく。
「佐久間!」
鬼道が高いパスを右側に上げれば、飛び上がった佐久間がヘディングで豪炎寺へと繋げる。
「真 爆熱スクリュー!!」
「いっけぇーーー!」
気合いの入った豪炎寺のシュートに、ゴールから円堂の叫び声を上げている。
渦巻き飛んでくる炎のシュートを前に、ロココは使うよ大介と小さく呟き、顔の前にクロスさせた腕を勢いよく開いた。
「ゴッドハンドX」
円堂とは異なる赤い手のひらががっしりとボールを受け止めた。
「ゴッドハンドX……!?」
《止めたー!ロココ、豪炎寺の必殺シュートを難なくキャッチ!!》
《驚きました。リトルギガントはこの段階で初めて必殺技を使いました》
実況解説も観客たちも大きな歓声を上げている。
「それがお前のゴッドハンドなんだな、ロココ!」
ニッと口角を上げたロココは持っていたボールをまっすぐ自分の足元に落とし、
「えい!」
そんなかわいい掛け声とは似つかわしくない程のスピードと距離のボールを蹴った。
まっすぐ飛んで行っただけのボールにイナズマジャパンは誰も反応出来なかった。
唯一反応した、と言ってもあえてロココが取れるようにまっすぐ打ったのだろうけど、円堂がボールをキャッチしたが、ズリズリとゴールラインのギリギリ手間までその威力に押されてしまった。
「ゴールからダイレクトだと……!?」
「なんてキック力だ……!」
鬼道と染岡が驚きの声をあげる中、ギリギリを留まった円堂は呆然とボールを見つめた。
「これは……ロココからの挑戦状だ!」
まっすぐ顔を上げロココを見据えた円堂、右手にボールを持ち直して高く掲げた。
「攻めろ!みんな!」
円堂の投げたボールを鬼道がトラップで受け取り、マントを翻して走る。
《さあイナズマジャパン、再び攻め上がる!だが!》
実況の声と共にフィールドを見れば、豪炎寺にはMFのユームが染岡にはMFのキートが張り付いている。
《リトルギガントの素早いマーク。これでは鬼道、ボールを持ったままパスがだせない!》
そんな鬼道の前にゴーシュとドラゴが立ちはだかり道を塞ぐ。
苦虫を噛む鬼道の名を久遠監督が叫んだ。
「空だ!」
「空……!そうか……。行くぞみんな!」
珍しく直接的な久遠監督の指示を受け気づいた鬼道が叫ぶ。
「やるのか鬼道!」
どこか嬉しそうな佐久間がそう言い、その後ろからよしと叫んだ風丸とヒロトが走り出す。
「必殺技タクティクス ルート・オブ・スカイ!」
韓国との戦いでパーフェクトゾーンプレスを破る為に生まれたタクティクス。
MFの4人が空中に飛び、ボールを繋いで行く。
《イナズマジャパンの空中を繋ぐパスにリトルギガント手が出せない!》
「そうくるなら」
ぽつり、とリトルギガントのMFのマキシが呟いた。
彼がこのチームのゲームメイカーなのだろう。ウィンディ!とDFの選手の名を叫んだ。
「もらった!」
「取らせるかよ!」
染岡が先に飛び上がってボールをもう一段階高く蹴り上げた。
「豪炎寺!」
イナズマジャパン内で1番ジャンプ力のある豪炎寺がその高さまで飛びボールを受け取るはずだった。
「うおおおおお」
雄叫びを上げライダーキックをするように飛び込んだウィンディが豪炎寺へのパスをカットした。
「ルート・オブ・スカイが破られた!?」
だが、幸いにもウィンディはボールを蹴り飛ばしてしまったので、飛ばされて落ちたボールを鬼道が拾った。
「もう一度だ!」
諦めるな、と言うように鬼道が駆け出すと、マキシがニヤリと笑った。
「行くよ!」
彼の指示でリトルギガントの選手が一斉に鬼道を取り囲んだ。そしてその周りを一同に走り出すと風が起こる。
「なんだ、これは……」
「必殺タクティクス サークルプレードライブ」
グルグルと目に追えないスピードで回り起こされる風圧に鬼道がジリジリと押されていく。
風が晴れた時にはジャパンゴールの前まで押し戻されてしまった。
「鬼道!」
「鬼道くん!」
「鬼道さん!」
ゴール前の円堂、吹雪、壁山が叫ぶと共に鬼道を中心にするように周りのリトルギガントの選手が一斉に飛び込んだ。
「もらったァ!」
そんな一遍に来られてはどうしようも出来ず鬼道はドラゴにボールを奪われてしまった。
「リトルギガントの点取り屋とはこの俺、ドラゴの事さ!喰らえ!ダブル・ジョー!!」
上下の2枚の顎で噛み砕くように、左足で蹴り上げたボールを右足で叩き落とすように蹴り下ろした。
縦にジグザグと動きをつけたシュートが、ゴールへ飛んでくる。
「させるかァ!」
叫んだ円堂の背後に魔人が宿る。
「ゴッド、キャッチ!!」
両手を突き出しボールを取りに行くも、ダブル・ジョーの威力は凄まじく、そのまま押されて円堂ごとゴールへボールは転がった。
《ゴール!リトルギガントのドラゴ初めての必殺技で先制点ゲットー!!》
実況の声とホイッスルの音が点を入れられたことを知らしめる。
「ゴッドキャッチが破られたぁ……」
目金が情けない声を上げると、違うわと夏美ちゃんが否定する。
「円堂くんが必殺技を完成させた時はいつも体中から迸るような力を感じたもの」
『そうだね』
オルフェウスとのお陰で自信は掴めたし形にもなったが、だがまだこれでは完成とは言えない。
「そういえばさっきのゴッドキャッチ、ボールを受けるタイミング、構え、足の踏ん張り、全てがバラバラだった」
さすが立向居。あの一瞬でよく見ている。
「まるで力が1箇所に集まっていないように見えました!」
「ゴッドキャッチもまだ完成していないのよ」
心配そうにみんなが視線を送る中、円堂は悔しそうに手のひらを見つめている。
「円堂くん……」
『大丈夫よ。円堂なら』
諦めないのが雷門サッカーだと染岡が言っていた。
その中心にいたのはいつだって円堂だった。だから大丈夫。
円堂を見れば、彼はグッと拳を握ったあと、膝を叩いて立ち上がった。
そしてもう一度どっしりと構えた。その目はまだ諦めていない。
《さあ、イナズマジャパンボールで試合再開です。反撃なるかイナズマジャパン!》
《粘りず強さが持ち味ですからね、イナズマジャパンは。じっくりと攻めていって欲しいものです》
ホイッスルが鳴り、再び染岡が切り込んで行く。
そこへドラゴが並走してくる。
「こっちだ、染岡くん!」
「おう!ヒロト!」
センターバックから上がったヒロトへ染岡からパスが飛び、受け取ったヒロトから今度は風丸へと受け渡させる。
「染岡!」
スピードを活かして前線へとボールを持ち込んた風丸から染岡へとセンタリングが上がった。
「轟け!ドラゴン、スレイヤー V3!!!」
力のこもったシュートが背後のドラゴンが吐くブレスと共に飛んで行く。
それに対し、ロココは腕をクロスさせて飛び込んだ。
「ゴッドハンドX!!」
がっちりと赤い手のひらがボールをキャッチしてしまう。
《キーパーロココ!染岡の強烈なシュートをがっちりとキャッチ!!》
これは悔しいだろうな、と染岡を見つめる。
いいセンタリングだったからこそ決めたかっただろうけど……ロココ相手じゃそう簡単にはいかないか。
焦らないといいけれど……。
見守る内にロココがボールをマキシに向けて蹴り飛ばした。それを風丸がカットして再びゴールに向かって走る。
「風神の舞 改!」
MFのキートを抜いて、風丸はもう一度センタリングを上げた。
「ヒロト!」
「流星ブレードV3!!」
上空から叩き落とされるシュートにロココは腕をクロスさせた。
「ゴッドハンドX!」
またもがっちりと止められてしまう。
《基山のシュートもロココが止めたぁ!》
観客が大盛り上がりの中、ロココは左サイドハーフのシンティへボールを蹴り飛ばした。
ボールを得たシンティはゴールに向かって駆け出す。
「まだだ!」
そう叫んで止めに入ったのは飛鷹だった。
「真空魔V3!!!」
珍しく大声を張り上げて振り降ろした蹴りがボールを止めた。
《飛鷹、ボールカット!すぐさま前線へパス!》
「豪炎寺!」
飛鷹からパスされた佐久間がダイレクトにセンタリングを上げた。
「真 爆熱スクリュー!!!」
先程よりも更に威力が上がったように見えるシュートを前に、ロココはまた同じように腕をクロスさせて飛び込んだ。
「ゴッドハンドX」
突き出された赤い手ががっちりとボールを掴んだ。
《なんとキーパーロココ、イナズマジャパンの怒涛の攻撃を全て防ぎきったー!!》
これが世界最強
簡単には崩せそうもない。