世界への挑戦編②
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吹雪とヒロトの押しもあって、そのまま私もみんなの特訓に混ざらせてもらえ、しかも染岡との必殺技への挑戦も可能になった。
3対3のチーム分けの際に、私たちと一緒が良いと立候補した吹雪は私と染岡の手を引いてセンターラインへ連れて行く。
その道中に、2人がボクを仲間外れにしてダークエンペラーズになったの怒ってるなんて可愛い事を言われて。ごめんねと謝れば、いいよと吹雪は笑って許してくれた。
染岡、吹雪、私のチームと、鬼道、ヒロト、風丸のチームでのミニゲーム。
キックオフボールは我々がもらった。
染岡から軽く蹴られたボールが私に渡り、そのボールを奪われる前に後ろの吹雪へバックパスする。
そうすれば鬼道とヒロトが吹雪の元へ向かうので、吹雪がボールを死守してくれると信じて私と染岡はゴールに向かって駆け上がる。
「水津さん!」
2対1の攻防を繰り広げていた吹雪から私へとパスが飛んでくる。
それをトラップで受け取って、ドリブルで駆け出すと目の前に風丸が待ち構えていた。
「行かせませんよ!」
このままドリブルで突っ込んで行っても追いつかれるのが目に見える。
それならば、
『失礼!』
空中にボールを蹴り上げてアクロバットで風丸の頭上を飛びながらボールを両足に挟んで飛び降りる。
そしてシュートを打つなら彼が呆気に取られてる今しかない。
『染岡!』
降り注ぐ雨と共にボールは染岡の方へ飛んでいく。
「レイニードレイク!!」
受け取ったボールを染岡が叫びながら蹴り飛ばす。
雨の中から現れた小型の翼竜が飛び立つもゴール前で雨は消え翼竜だけが誰も居ないゴールへと入った。
以前ダークエンペラーズでやったあの技の時のような竜巻は起こらなかったし、やはり不完全である。
『うーん』
「惜しかったね」
吹雪が駆け寄ってそう声を掛けてくる。
「タイミングは合ってると思うんだけどな」
『やっぱり私のパワーがなぁ……エイリア石使ってた時ほどの威力が出ないからかなぁ』
染岡はFFI中にレベルアップして、エイリア石を使った状態と遜色ないほどパワーアップしているだろうけど、私はみんなの練習にたまに混ざるくらいだしずっと特訓してきた彼らと比べるとエイリア編からそんなに変わっていないたろだろうし。
「パワーはあまり関係ないんじゃないか」
顎に手を置いて鬼道が考えるように呟く。
「ボールがゴールに入ったことからもシュートの威力自体は染岡のキック力で事足りているだろう。寧ろパワーを意識するが故に水津の持ち味が消えてしまっていると思うが……」
『え?』
「元々のコントロール力やテクニックが力んで活かしきれてないって事だね」
冷静に分析するようにヒロトがそう言う横で風丸が、ああ、と呟いた。
「わかった。水津さんも円堂と一緒だ」
『円堂と?』
どういうことだと考える私の前で風丸は口を開いた。
「自信ですよ」
『ああ、なるほど』
その言葉にすんなりと納得がいってしまった。
確かに今の私に無いものだ。
『マヨワナイジシンかぁ』
「水津はもっとフリースタイルで培った自分の技術を信頼すべきだな」
鬼道の言葉にそうだよとヒロトが頷く。
「エイリア石なんかなくたってできるよ!」
実際エイリア石を使ってなかったジェネシスのキャプテンに言われると説得力が違うな。
『培ってきた技術で、か……』
それに自信が持てないのは過去の失敗の記憶があるからだろうか。
「なんだよ。まだ自信ないって顔だな。自分に自信が持てないんなら、だったら俺らを信じろよ。それならお前できるだろ」
そう言って笑って染岡は私の肩を叩いた。
『みんなを信じる……』
エイリア石なんか使わなくたって今まで培ってきたものでできる……!
「水津さん、もう一回やってみようよ!」
吹雪はそう言って、いつの間に拾ってきたのかサッカーボールを私に手渡してきた。その間に染岡は走ってゴール前に向かい、水津と私の名を呼んで片手を挙げた。
『……ふぅ』
足元にボールを置いてひと呼吸する。
鬼道がパワーを意識するのにコントロールやテクニックが活かしきれてないと言っていた。
レイニードレイクの大元の技であるレインドロップはパワーのない私でも点が取れる為に鬼道が考案してくれた技だ。
レインドロップなら完璧に打てる。大丈夫だ。
もう一度大きく息を吐いて、爪先でポンポンと2回リフティングをして、それからボールを宙に蹴り上げた。
空が曇り薄暗くなり雨が降る。その雨雲の中に飛び込んで、そのまま空中で前転し踵でボール蹴り染岡の方へ飛ばした。
「行くぜ!レイニードレイク!!」
飛んできたボールを染岡がダイレクトに蹴り飛ばす。
小型の青い翼竜が竜巻を起こしながら飛んでいき、ボールはゴールへと突き刺さった。
「うおおおお!っしゃあ!できたじゃねぇか!」
雄叫びを上げた後、染岡が凄く嬉しそうな顔をしてこちらを振り向いた。
『……うん』
できた。嬉しさで胸がいっぱいになり言葉が出ず、ただただ頷く。
「やったね、水津さん!」
そう言って犬のように吹雪が飛びついてきた。
「なっ!お前っ!」
染岡が吹雪に対して怒ったように叫んでる。
『ふふっ、ありがとね、吹雪』
ヨシヨシと吹雪のふわふわの髪の毛を撫でる。
『鬼道とヒロトもありがとう』
礼を言えば2人は、フッと口元を緩ませた。
「水津さんにとって響く言葉は、ゼッタイテキシンライだったんだね」
吹雪は私から少し離れて、ふんわりと笑う。
『うん。自分にあんまり自信ないけど、みんなの事なら信じられる』
みんなの中でも特に……、と染岡の方を見れば、思わず笑が浮かぶ。
「きっと、キャプテンや水津さんだけじゃなく、みんなにも響く言葉があのノートにはあるよ」
そう言って吹雪は自分の手を見つめた。
「それに気づいた時、ボクたちはまたひとつ強くなれる」
大切なものを掴むかのようにギュッと掌を握った吹雪に染岡が近づいて、それで、と声をかける。
「お前にとって響く言葉はあったのか?」
「あったよ。
みんなのおかげでね
にこやかに笑った吹雪の視線の先を追えば、他のみんなも練習をしに、ボールを抱えてこちらに向かって来ているのであった。