世界への挑戦編②
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夕方、雷門中から届いたビデオメッセージを見たせいか、夕飯後部屋でのんびりしようかと思っていたけどなんだか落ち着かず宿舎の外へ出た。
自然と足が向かったのは練習用グランドの方で、その道中で落ち着かなかったのはボクだけじゃなかったと分かる。
「3人とも」
そう声をかければ、変なところで立ち止まっていた鬼道くん、風丸くん、ヒロトくんはボクの方を振り返った。
「キミらも練習しにきたんじゃないの?」
どうしてグランドから少し離れた所で止まってるんだろうか?そう思って聞けば、風丸くんかアレとグランドを指さした。
その先を見てみればそこには染岡くんと水津さんが居て、2人はシュート練習をしている用だった。
「邪魔したら悪いから別の場所でやろうか、って話をしてて」
ヒロトくんの言葉になるほどと頷く。
2人に気を使った訳か。確かにこの3人なら察してそうだなぁ。染岡くんは元より分かりやすいけど、水津さんも最近は染岡くんの傍にいること多くなったし……付き合い始めたのかなって思ってたけど、染岡くん曰く、まだ、らしい。
だからデートってわけじゃないと思うんだよね。だいたい染岡くんなら恥ずかしがって他の人に見つからない所でやるだろうし。
わざわざ宿舎の前のグランドでやってるんだからバレてもいいって事だと思う。
「うん、多分そんなに気を使わなくても大丈夫だと思うよ」
そう言ってグランドの方へ駆け出したボクに後ろから、3人がえっと驚きの声をあげている。
ヒロトくんはともかくとしてボクより付き合い長いはずの風丸くんや鬼道くんも気づかないものなのかな。水津さんはみんなとサッカーするのが好きだし、染岡くんもそれを分かってるから、あえていつでもみんなが混ざれるここで2人は特訓してたんじゃないかな。
水津さんが染岡くんへと上げたセンタリングをカットするように割込めば、うおっと染岡くんが驚きの声を上げた。
「吹雪!?お前、危ないだろ!」
「ふふ、油断した染岡くんが悪いよ。試合中なら、カットされることだってあるんだから」
怒鳴る染岡くんをそういなして、水津さんの方を見る。
「ボクらも混ぜてもらっていいかな?」
そう聞けば水津さんは、も?と首を傾げたので、向こうで突っ立っている3人の方を指さした。
「ボクと同じように雷門サッカーのエールを聞いてじっとしていられなかったみたいだよ」
その言葉に水津さんは、そっかぁと嬉しそうに呟いて、おいでおいでと3人に向かって手を振った。
3人がやってくれば、水津さんは入れ替わるようにフィールドから出ようとした。
「あ、ちょっと、ちょっと!」
あわててボクが止めれば水津さんは不思議そうな顔をして振り返った。
『どうしたの?』
「それはこっちのセリフだよ。どうして出ていこうとするの」
『だってみんな特訓しにきたんでしょ?』
キョトンとした様子でそう言う水津さんに思わずため息を吐けば、後ろで染岡くんもコイツはこういう奴だよ、と呆れたように呟いて、それから水津さんに近づいた染岡くんは彼女の額にデコピンを食らわせた。
『いっ、た!』
半歩身を下げた水津さんは、ダメージを食らった額に手を当てて染岡くんを睨み上げた。
『なにすんの!』
「バーカ。お前が勝手に出ていこうとするからだろ。まだ技だって出来てねーのに」
染岡くんの言葉に、やっぱりさっきのはと水津さんがセンタリングを上げていた様子を思い返す。
「技ってもしかして、アレかな。ダークエンペラーズでやってた」
ボクがそう言えば風丸くんが、あっ!と声を上げた。
「そうか、何となく見覚えがあると思ったらそれか!」
「レイニードレイクだったか?」
思い出したと風丸くんが言えば鬼道くんも技名を染岡くんに尋ねている。
「ああ。もう一度打ってみてぇよなって話になってやってみてたんだが……」
『実際のところ上手くはいかなくてね。まあ、でもほら、この技のことはいいんだよ。決勝戦で使えるわけじゃないし!』
水津さんがにこやかに笑ってそう言うのに対し、染岡くんは何故だか険しい顔をしている。
水津さん自身が選手ではないから言う通り、この技を特訓したところで決勝戦で使えはしない。染岡くんだってそんな事分かってるのに、わざわざ今、この技をやろうとしてたのには意味があるんじゃないだろうか。
「あのさ、」
ボクがそう口を開こうとしたら、ヒロトくんが軽く片手を上げた。
「完成させるべきだ。僕はその必殺技の事は知らないけれど、もう一度やりたいって2人が思ったんでしょ?その技自体が決勝戦で使えなくても、シュートの練習やセンタリングを受ける練習には繋がるわけだし」
何故だかヒロトくんは真剣な顔をして2人にそう伝える。
何故だかわからないけれど、ボクもそうした方がいいと思った。
「いいじゃない、やろうよ!」
ボクはそう言って2人の顔を見上げた。
染岡くんは、ああと頷いてくれたけど、水津さんはでも……とまだ渋っている。
「なら、3対3のチーム戦にして、チャンスがあればお前たちはそのシュートに挑戦すればいいんじゃないか?そうすれば対面練習にもなるしな」
鬼道くんがボクらをアシストするようにそう言えば、水津さんは弱々しくありがとうと笑った。
「それじゃあチーム分けはどうする。染岡と水津さんは一緒だろ?」
風丸くんの言葉に鬼道くんがそうだなと考える。
「チームバランス的に風丸が「はーい!ボクが染岡くんたちと一緒のチームね!」
鬼道くんがチームを決めきってしまう前にそう言ってボクは染岡くんと水津さんの腕を引いた。
「あ、おい、吹雪!」
2人をセンターラインに引っ張って行きながら、顔だけ鬼道くんの方を見る。
「ごめんね、ボクら、
最強トリオだから!
キミらダークエンペラーズになってボクだけ仲間外れだったの怒ってるんだからね。