世界への挑戦編②
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先制点を奪われた後、反撃しようとするもののチームガルシルドの素早い動きに翻弄されて幾度もボールを奪われてしまう。
個々の能力では強化人間に敵わないと判断した鬼道と不動はチーム連携を行なうため、必殺技タクティクスデュアルタイフーンを使用した。
鬼道と不動、ふたつの司令塔を中心とし、陣形を取りFWとMFの全員で前線を押し上げた。
「行かせません!」
チームガルシルドの最後の砦、DFであるヘンクタッカーが駆け寄ってくると、目配せをした虎丸がスピードをあげ、デュアルタイフーンの輪から抜けヘンクタッカーを抜いた。そこへ不動がセンタリングをあげた。
「なっ!」
「繋がったぞ!」
やったと円堂が拳を握る中、虎丸は身を低くし、両手を後ろへ大きく開いた。
その背に7本の剣が現れる。
「グラディウスアーチ!」
「よし、決まった!」
喜ぶ佐久間に、いや、と呟く。
そこで言うのは、盛大なやったか!?(やってない)フラグ……。
「ビッグスパイダー」
チームガルシルドのキーパー、フォクスが胸の前でクロスさせた両手を大きく開いた。
カレの背から蜘蛛の足のような触手が伸びて、がっしりとボールを包み込んだ。
「止められたー!虎丸のグラディウスアーチが停められてしまったー!」
角馬さんの実況を聞き、みんながしょんぼりとする中、フォクスがボールを蹴り上げ、チームガルシルドの速攻が始まった。
FWのコーヨテへと繋がったボールはドリブルで進んでくる。
「円堂くん!」
「今度は止めてやる!」
そう言って円堂はどっしりと構える。そこに、
「ガン、シャン、ドワーンだ!」
その叫びに円堂は、えっ?と大介さんの方を見る。
「ガン、シャン、ドワーン……?」
「ガンシャンドワーン…………」
ベンチでキーパーである立向居とロココが繰り返すように呟く。
同じようにゴール前の円堂の口も動いていた。
「「そうか!そうやって気を貯めれば……!」」
一緒のタイミングで円堂とロココがそう叫ぶ。
だが、敵はもう目の前に来ていた。
「喰らえ!ガンショット!」
先程イジゲン・ザ・ハンドを打ち破った必殺シュートが飛んでくる。
「ガンシャンドワーン!」
大きく叫びながらゴッドハンドの時のように大きく手を開いて前に突き出す。その背には薄らと魔神も現れ掌にボールが触れる。
だが、回転のかかったそのボールはグローブを滑り落ち、円堂の腹部にぶつかり彼ごとゴールへ突き刺さった。
『円堂……!』
追加点の笛が鳴る中、倒れた円堂がゆっくりと体を起こす。良かったとホッと息を吐く私の隣で、ロココが気が貯まらなかった……?と呟いている。
「違ーう!ガンシャンドワーンじゃない!!ガン、シャン、ドワーン!だ!!」
身振り手振りで大介さんが叫ぶが若干発言の区切りが違うだけでなにを言ってるのかさっぱりわからない。
「ガンシャンドワーンじゃなくて、ガンシャンドワーン?どこが違うんですか立向居くん」
キーパーなら分かるのかと目金が立向居に詰め寄っている。
「だから……それは……その…………」
「わからないんですか?」
「はい…………」
すみませんといったように立向居は肩を落とす。
感覚派の円堂と違い、立向居はどちらかと言えば見て覚える派だもんなぁ。ゴッドハンドも円堂のを何回も見て習得した訳だし。一応特訓ノートからムゲン・ザ・ハンドを習得したとは言え、あれは分かりにくも図解があった訳だし。
同じキーパーと言えど大介さんの言葉を理解するのは難しいだろう。
「「ガンシャンドワーンじゃなくて、ガン、シャン、ドワーン」」
まるで双子かのように、円堂とロココがハモって呟く。
「「そうか!そうすれば……!!」」
流石は孫と直接指導されている弟子、あのよく分からない説明でわかったらしい。
円堂が自分の頬を叩いて気合いを入れ直し、試合が再開される。
センターサークルで豪炎寺から虎丸にボールが渡され、さあ行くぞと走り始めた瞬間、チームガルシルドのマンティスにボールを奪われてしまう。
パス回しで中盤を抜けたマンティスはDFの綱海をクロウとの連携必殺技ジャッジスルー3で強引に突破してしまう。
「スコーピオ!」
天高く上げられたセンタリングに、スコーピオが飛び上がる。
「くるぞ!」
小柄な彼の躯体の何倍もの高さから蹴り落とされたシュートが飛んでくる。
えっ、と目金が驚きの声を上げる。
「必殺シュートではなく普通の……!?」
「円堂くん!!」
「ガン、シャン、ドワーン!」
またも、手にボールが触れる物の気は貯まりきらず背後の魔神もうっすらと現れすぐさま消えていく。
ボールはどうにか弾き返せたが、こぼれ球をすぐにスコーピオが蹴り返した。
『これじゃあ気を貯める暇が……』
また普通のシュートだったおかげで円堂はパンチングでどうにか弾き返すが、今度はコヨーテに渡ってしまった。
「マモル!」
コヨーテはガンショットを使ってくる。ピンチだと、ロココが叫ぶ。
「自分の気をコントロールしろ!もっと体全体を使うんだ!」
大介さんがアドバイスを叫ぶ。それを聞き、円堂はいつもより少し大きく股を開いて構えた。
「はああああ!ガンショット!」
飛んでくるボールに対して円堂は両手の拳を握って天を見上げた。
「ガン、シャン、ドワァアアアアン!!」
円堂の力強い叫びに呼応するように、ビリビリと電気を帯びた魔神が背後に現れた。
「あれは!」
ロココが立ち上がって叫ぶ。
やったかと思ったが先程と同じくぬか喜びで、魔神はボールに手を伸ばすもすぐに消え、シュートを止めることは出来なかった。
飛んできたシュートはゴールポストに当たって弾かれ、円堂が飛びついて全身で覆い被さるように何とか止めた。
ホッとしたところでホイッスルが鳴り前半終了を知らせる。
0-2で負けてはいるが、シュートを止められるのなら勝機はある。
大介さんの目も、その隣に立つ夏未ちゃんの目もまだ、
光を失っていない
……いや、大介さんはサングラスだから分からないけど。