世界への挑戦編②
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到着したコトアールエリアは建物が、破壊し尽くされ土煙の舞う酷い有様だった。
見える範囲に人の気配はなく、避難してくれているといいのだがと思いながら壊された町の中を進んで行く。
「あれは!」
夏未ちゃんが気がついて声を上げた先に小さな子供を背負った藍色の髪の少年、ロココがいた。
だが、その彼の背後にいた赤い布を巻き顔を覆った男がサッカーボールを蹴り、近くにあった木の根元近くを破壊した。
当然下側が壊された木は倒れてくる。ロココは子どもを急いで下ろして倒れてきた木をなんとか両手で支えた。
この間に逃げてくれればいいのだが、子供はコシが抜けたようで、地面に腰をつけたまま悲鳴を上げている。
そんな様子でロココは木の重さに耐えられなくなってきたのか、呻き声をあげる。
そこへ、いつの間にかそこへ走っていった円堂が熱血パンチを使い、ロココが支えている木を下側から遠くへと吹っ飛ばした。
支えていた物が急に無くなったことで、少年は勢い良く前に倒れ地に膝を着いた。
『……あ』
ロココは左肩を痛めてるのか、右手でそこを押さえている。
「危なかったな」
「エンドウマモル!」
円堂が声をかければ、ロココは驚いたように見上げた後、立ち上がって子供をおんぶし治した。
「大丈夫か?」
「イナズマジャパン!?リュー!!」
風丸が声をかければ、ロココはこちらへ走り寄ってきた。
「ダイスケ!」
我々の中に、仲間と監督を見つけロココの顔は一気に明るくなった。
とりあえず避難状況を聞こうかと思った矢先だった。
ぱちぱちと言うには布同士が当たる音で鈍くなった拍手が聞こえ、音の方を振り返る。
そこには赤い布を巻き顔を隠した11人の集団がいた。
その中心に立つ小太りの男が拍手をやめた。
「流石はイナズマジャパンのキーパー、円堂守。見事な反応です」
「出やがったな!」
「何者だ!顔を見せろ!」
綱海と鬼道の言葉に素直に彼らは顔を覆った布をずらし始めた。
「アイツは、ガルシルドの所にいた!?」
『ヘンクタッカ……それに、』
「アイツ!!」
私と染岡をガルシルド邸へと導いた、フォクスもその中にいた。
「私たちはガルシルド様の為に作られた私設サッカーチーム。チームガルシルド」
「チームガルシルド……!」
眉間に皺を寄せた染岡が、彼らの視界から私を隠すように前へ出た。
「イナズマジャパンの諸君。君たちまで現れるとはね……」
濃い土煙の中から声がして、人影が近づいてきた。
「お前……!」
「ガルシルド……!」
ゆっくりと土煙の中から姿を表したそれをみんなは睨み付ける。
「リュー、この子をみんなの所へ」
ロココから子供を託されたリューは急いでこの場を離れていく。
ガルシルドたちにとっては子供などどうでもいいようで、追いかけたり攻撃したりする様子はなかった。
「やはりお前の仕業だったのか!」
「こんなことするような奴は他にいねえからなぁ」
ヒロトや土方の言葉にガルシルドは返さず、ただただ真っ直ぐこちらへ歩いてくる。
「何故だ!何故コトアールの町を破壊する!」
「何故?」
鬼道の問いでやっとガルシルドは反応して足を止めた。
「知りたければその男に聞いてみるんだな」
そう言ってガルシルドが指さしたのは、ミスターアラヤだった。
「この人……?」
「そうだ。コトアール代表、リトルギガントの監督ミスターアラヤ。いや、円堂大介にな」
その言葉に円堂が、えっ、と息をのみ、皆、一斉にミスターアラヤこと円堂大介を見上げた。
「それじゃあこの人が……!」
「円堂くんのお爺さん!?」
みんなが驚く中、大介さんは前へ出た。
「目的はこのワシか。だが、ワシを引っ張り出すためにこんな派手なことまでするとは……、流石のお前も焦ってきたと見える」
ガルシルドの前に立ち、背の高い彼を大介さんは見据えた。
「いつも人を操るだけで自分は安全なところから見ているだけのお前がな」
「フン、貴様にだけは言われたくないわ。40年もの間、隠れて私の事を嗅ぎ回っていたお前にはな」
「40年……!?」
何かにハッとしたように春奈ちゃんは鬼道へ視線をやった。
「どういうことなんです?2人はそんな前から知り合いだったんですか?」
分からないと目金が声をあげる。
「40年前……、伝説のイナズマイレブンを襲ったあの悲劇が起こった年……」
秋ちゃんが呟けば、あの悲劇?とヒロトを中心に雷門中生ではない子たちが首をかしげた。
「その年、円堂大介監督率いる伝説のイナズマイレブンはフットボールフロンティア決勝戦に出場するためバスで試合会場へ向かっていたわ」
知らない子達の為に、秋ちゃんが説明をしてくれる。
「けれどその途中バスば事故を起こし伝説のイナズマイレブンは試合会場へ行けず不戦敗……」
「でもあれは影山がやったことだって……!」
エイリア学園との戦いで仲間になり、真・帝国学園と戦う前に影山についての説明を聞いていた木暮が話がおかしいと声を上げた。
「その時影山はまだ中学生。一人でそんなことは出来ない。影山の裏で糸を引いていた人がいた」
それがガルシルドだったのよ、と夏未ちゃんが名指す。
「ガルシルドは世界征服という欲望の為の1つの手段として世界のサッカー界を支配してきた。日本においては影山を帝国の総帥にして操り、日本サッカー界を思うようにしてきたの」
夏未ちゃんの説明を聞き、鬼道がギッとゴーグル越しにガルシルドを睨みつけた。
「ワシはこの40年間、お前の事を調べ追い続けてきた。お前の行ってきた悪事の全てを暴くために!」
「だがその苦労も無駄だったようだな。現に私は捕まっていない」
『ふっ、手駒に裏切られて捕まったのに見苦しく逃げただけじゃない』
バカバカしいとガルシルドを見れば眉間にシワを寄せてこちらを見た。
「水津梅雨……!ああそうだ。
ああ、やっぱり、神代について聞いてくれたってのは嘘だったか。ガルシルドに私の事を知らせなかったのは、優しさか……それとも、ただ単に出し抜こうとしていたのか……。最期の言葉もあるし、彼に残った少しの優しさだったと思いたいが……。
『秘密って……前回会った時にほとんど話しましたよ、異世界人って』
「ああ。お前の部屋から得た資料でもこの世界の人間とは異なるデータを得た。おかげで私の研究はさらに進むだろう!」
嬉しそうにガルシルドはそう言うが、サラッと盗んだことも言ったな。
「だが、それだけではない。影山がお前を隠していた理由、それは……この世界の未来を知っていることだ!これ程有用な存在はいない!」
『ああ……悪党はみんなそうなるんだね」
影山も研崎もそうだったしなぁ。 あー怖い怖いと染岡の後ろに隠れる。
全く……私を捕まえたところで知ってる未来なんてイナズマジャパンとリトルギガントの試合結果ぐらいだが?
「まだ、悪事を続けるつもりか」
呆れたように大介さんが呟けば、ガルシルドはそちらへ向き直した。
「円堂大介、これ以上私の邪魔はさせぬ。貴様とイナズマジャパンはこの場で私が叩き潰す。お前のサッカー諸共な!」
そうしてお前を貰い受ける
そう言って指さしてきたガルシルドに、近々消えるって話したと思うんだけどなぁとため息を吐くのだった。