世界への挑戦編②
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『それで、おふたりは響木さんに会って行かれますか?』
ミスターアラヤとの会話を終えた鬼瓦さんが先に帰ってしまい、屋上に残されたためとりあえず聞いてみる。
「今はまだ眠ってしまってるのよね?」
『うん。時々は目を覚ますんだけど、負担が大きいのかほとんど寝てる状態だね』
「どうしますか?」
夏未ちゃんが伺い立てればミスターアラヤは、ふむ、と小さく呟いた。
「そういうことならまたにするか。帰るぞ、夏未」
「分かりました。そういうことだから水津さん……」
どこか名残惜しそうにする夏未ちゃんに小さく笑いかけて、ベンチから立ち上がる。
『それじゃあ、外までお見送りしますよ』
そう言って夏未ちゃんに手を差し伸べる。
「ええ!お願いするわ」
嬉しそうに笑った彼女は私の手を取ってベンチから立ち上がるのだった。
屋上から1Fロビーに降りるまで、私と夏未ちゃんはたわいない会話をして、ミスターアラヤは微笑ましそうに我々の後ろを着いてきていた。
そして、ロビーから外へと繋がる自動ドアが空いたところで、目の前に立ち塞がった大勢に我々は足を止めるのであった。
「な、夏未さん!?」
最初に春奈ちゃんが声をあげ、他のみんなからも、ええっ!?と驚きの声が上がっている。
「あ、もしかして、梅雨ちゃんから響木さんのことを聞いて……?」
秋ちゃんがそう聞けば夏未ちゃんは、いいえと首を横に振った。
「水津さんとはさっきたまたま会ったのよ。私は彼の付き添い」
そう言って夏未ちゃんはミスターアラヤのことを掌で指し示した。
「彼って……」
夏未ちゃんの隣に立つ男性に円堂以外の皆が、だれ?という顔をしていた。
「まだ話してなかったのね、円堂くん」
「あ、ああ……」
円堂はどこか気まずそうに頷いた。
「こちらはミスターアラヤ。コトアール代表リトルギガントの監督よ」
「この人が……」
「フィディオたちを倒したあのチームの……」
先程試合を見てきたからか、みんなはザワザワとしている。
「でも、コトアールの監督さんと夏未さんがどうして一緒に……」
「私がリトルギガントのマネージャーだからよ」
春奈ちゃんの問いに夏未ちゃんがそう返せば、どういう事だとみんなザワついた。
そんな中、遠くからおーい!と呼びかける声と共に男の子が走り寄ってきた。
「監督!夏未!」
「リュー?」
荒い息を上げて走ってきた様子から何か急ぎの用だと察しがつく。
「リューじゃない、どうしたの!?」
「何があった」
到着するなり倒れて地に膝と掌をつける彼に夏未ちゃんも、ミスターアラヤもしゃがみこんで様子を伺う。
「大変なんです、コトアールエリアが……!」
『ガルシルドか』
「なんじゃと」
私の呟きにミスターアラヤは勢いよく振り返った。
『事の状態は私が把握してます。今は急いでコトアールエリアに向かいましょう。みんなここまでは、古株さんときた?』
「ああ、キャラバンで……」
『休ませて上げられなくて申し訳ないが、リューくんもう一度、走れる?』
「えっ?は、はい」
夏未ちゃんたちが手を貸し、リューも立ち上がる。
『よし。総員駐車場まで全力ダッシュ!』
はいと手を叩いて先陣を切って走り出せば、え?え?と困惑した様子で、それでもみんな一緒に走り出してくれた。
病院に着いたばかりなのにすぐに戻ってきたイナズマジャパンの面々に驚く古株さんに大急ぎでコトアールエリアまで走らせてと伝えて、全員をキャラバン内に乗り込ませる。
「水津、いったいどういうことなんだ」
わけも分からずキャラバンに乗り込んでくれたみんなを代表して円堂が聞いてきた。
『現在、コトアールエリアが襲撃されてる』
なんだって!?と驚きの声が上がる。
「本当なのか?」
ミスターアラヤが信じられないとリューの方を見る。
「はい。変な奴らが急に現れて、サッカーボールで人や建物を襲い始めて……」
「何故そんなことを……いや」
考える途中で思い出したのか、ミスターアラヤは今度は私の方を見た。
「水津と言ったな?お前さん先程ガルシルドの名を呟いておったな」
『ええ。鬼瓦さんから聞いたとおり、ガルシルドは逃亡した。そして、そんな中間髪入れずにコトアールの襲撃となれば……』
「……狙いはワシか」
はい、と頷くけば、ミスターアラヤはそうかと呟いてその後はただ静かに椅子に座り、コトアールへの到着を待つのであった。
静かなる怒り
その空気に触れてか、皆も静かに、間に合ってくれと祈るばかりであった。