世界への挑戦編②
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あの野次馬の中に、響木さんがガルシルドの手先に追われていたのを見ていた人がいたらしく、通報してくれたおかげか警察が病院の方へ来てくれて、響木さんが死守したデータは久遠さんの手から警察に無事渡された。
『監督。ここは私が残ります』
明日はブラジル代表との試合がある。
いつ集中治療室から出てくるかも分からないし、みんなには最終調整や身体をしっかり休めることに務めてもらいたい。
それを伝えれば、久遠さんは分かったと頷いた。
「水津、何かあればすぐに連絡を寄越してくれ。では、皆、宿舎へ戻るぞ」
久遠さんの掛け声に、でも、や、えぇ、と渋る声がいくつか上がる。
仕方ない、と少し深呼吸をしてから口を開く。
『大丈夫!みんなの未来を知ってるこの私が言うのよ。だから安心して宿舎に戻りなさい』
正直な所、私が介入したせいで絶対とは言えない。
それを知っている染岡やヒロト、それに鬼道は険しい顔をしていたが、少なくとも他のみんなは少しは安堵したようだ。
「そうッスよね。梅雨先輩が言うなら間違いないッスよね」
人一倍ビビりな壁山が、深く息を吐いて自身を落ち着かせるようにそう呟いている。
「では、帰るぞ」
久遠さんが歩みを始めたところで、あの!と飛鷹が大きな声を上げた。
「すいません。俺、残ってもいいっすか」
「監督!オレも!」
飛鷹に続いて円堂も手を挙げる。
「お前たち、それを言い出したら皆がそうなるだろう」
ダメだというように久遠さんが言えば、2人は、でも!と食らいついた。
『……しょうがないですね。私もトイレ行ったりでここ離れたりもあるだろうし……、その2人だけ置いてってください』
「水津!いいのか!」
『明日の試合の為にも、18時には宿舎へ返すし、大人しくそこのソファーに座って体を休めることが条件だけど』
「大人しくする!するよな、飛鷹」
円堂が確認すれば、うす、と飛鷹も力強く頷く。
「わかった。水津、後は任せたぞ」
そう言って、今度こそ皆を連れて久遠さんは病院を出ていった。
それから何時間経っただろうか。
トイレに行って戻ってきたら円堂の座っているベンチから2つ隣のベンチの前に膝を着き、拳をベンチに叩きつけている飛鷹の姿があった。
円堂もびっくりしたように目を丸くして飛鷹を見つめていることから、私が戻ってきたタイミングでちょうどよく殴り始めたようだ。
「こんな俺に目を向けてくれて、サッカーに出会わせてくれて……。なんで、響木さんがこんな目にあわなきゃならないんだよ!チクショウ!!」
『飛鷹。ベンチに当たるのはやめなさい』
足早に飛鷹の元へ行き、その手を掴んだ。
『大人しくするって約束だったでしょ』
「……姐さん。すんません、オレ……」
『長い時間何も無いから不安なのはわかるけど、物に当たったからって響木さんが目を覚ますわけじゃない』
「……はい」
『とりあえず1回、ベンチに座りなさい』
目の前のベンチに先に腰掛けて、隣に座れと促せば飛鷹は大人しく従った。
『飛鷹はさっき、どうして響木さんがって言ってたけど、それは響木さんが選んだ結果だよ』
「響木さんが選んだ……?」
『さっきみんながいた時にも言ったけど、お医者さんから再三手術を受けるように言われてきた。世界大会の前、日本の中学校をめちゃくちゃにしてきた宇宙人との戦いの頃からね。でも今日まで手術をしないと選んだのは響木さんだよ』
「どうして……」
分からない、といったようすで飛鷹が呟く。
「オレたちのため、か……?」
離れたところから円堂が聞いてきた。
『それもあるでしょうけど1番は自分のためじゃないかな』
「自分のため?」
『だってみんなの事を心配して手術受けられなかったとかなら、普通エイリア学園との戦いか終わった時点で手術受けるでしょ?だけど世界大会が始まるってんで、響木さんは候補選手集めを始めた。それは響木さんにとって病気を放っておいてもやりたかったことだった』
それってどう考えても自分のためでしよ。
みんなの事を考えるなら早々に手術受けて安心させるべきだった。
『監督を降りたのも途中で自分がダメになる可能性が分かっていたから。それでもライオコット島にまでついてきたのは自分の目で自分の選んだ選手が世界の選手と渡り合うのを見たかったから。それが響木さんの夢だったんでしょうね。だから、自分たちのせいで倒れるまで黙ってたなんて思わないことよ』
大人は存外自分勝手
なものなのだから。
それからもう数時間して響木さんは無事目を覚ました。
呼吸器を付けたままだったが円堂や飛鷹とも会話ができ、試合を見れないことを謝罪したのち、何があっても最後まで諦めるなと、勝利の女神は諦めないやつが好きだと伝えて、看護師さん達にICUから連れ出され検査のため運ばれて行った。
『さ、2人は帰る時間よ』
18時には帰すと言ったが、時刻を確認すれば19時前になってしまっていた。
『あとは私が残るから早くみんなに響木さんが目を覚ましたことを伝えてあげて』
「ああ、ああ!そうだな」
『それからみんなに明日の試合頑張れって、私の作った特訓メニューやり切ったみんななら大丈夫だって伝えてね』
「伝えてって姐さん明日試合来ないんっすか?」
『うん。もし手術する事になれば立ち会いが必要だろうし』
本当は家族の立ち会いが必要だうけど響木独り身だし、何よりみんなが気になるだろうから誰かが響木さんの傍にいると思えば少しは安心できるだろうし。
みんなにしっかり伝えてね、と2人の背を押し宿舎へと帰すのだった。