世界への挑戦編②
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最後まで諦めるな。
染岡はそう言ってくれたが、私は……正直な所諦め切っている。過度な期待をして、どうにもならないと分かってショックを受けるのは目に見えている、というか神代にあって味わったばかりだし。
でも、染岡がそう願うのであれば、できるだけ彼の為に、その願いは叶えてあげたいと思って、彼の言葉に頷いた。
染岡の提案で、神さえ知らない方法があるかもしれないだろというわけで、午後練のない今日、ライオコット島のエントランスエリアにある図書館で一緒に調べてみることになった。
染岡はやる気であるが、ここはヒロトと調べつくしてるし、なんならネットで調べたほうが早い気もするが……。
『まあ、いいか』
「何か言ったか?」
『ああ、いや、図書館デートもありか、と思って』
「でっ!?デート!!?」
大きな声を上げた染岡に対し、静かにと言うように自分の唇の前に人差し指を持っていく。
「お前っ、急に変なこと言うなよ」
真っ赤な顔して、コソコソとそう言ってきた染岡が面白くて更におちょくりたくなる。
『デートじゃないの?』
ニヤニヤと笑いながら染岡に詰め寄れば、うぐっと謎の呻き声を上げて染岡は顔を逸らした。
「いや、これは……」
『前に次の休みにデートに誘っていいかって聞いて来たから、今日のはそれかと思ったんだけど……』
「確かに言ったけどよ………」
どうやら染岡は返答に悩んでいる様子。
まあ、告白もちゃんとやり直したいって言うくらいだし、今日は真面目に私が消えない方法を探す気でいてくれたんだろうなぁ。
『ごめん、困らせちゃったね。私が勝手に浮かれてただけだから気にしないで』
そう言えば染岡は、いや、と頭を振るった。
「お前がそう思いたいんなら、それでもいいけど……でも、デ、デートはデートで、その、ちゃんと誘いてぇから……その為にも今日はお前が消えないでいい方法を探すぞ」
少し照れた様子だが、染岡は真剣にこちらを向いて言ってきて、私はうん、と静かに頷いた。
私が思いたいなら思っててもいいか。
なら、お言葉に甘えてそう思わせてもらおう。
消えないでいる方法が見つかるとは限らないから……せめて今を……。
『しかし、何をどう調べるか……異世界人についてとか神についてとかは、前にヒロトと調べてはいるんだよ』
ヒロトの名を出せば染岡の顔が少し不機嫌そうに変わって思わず笑いそうになる。
分かりやすいな本当に。
『ほとんどがフィクションで宛にならなかったのだけれど……』
「まだ、調べて無いこととかないのか?」
神代に接触したことで新規に得た情報といえば………。
『神の作った器にコピーされた記憶を入れたって事だけど………』
うーんと顎に手を置いて考える。
神代はその事をゲームのセーブに例えて居たけれど……。
この記憶がセーブデータなのだとしたら、器はメモリーカードか?だとしたら別の新規メモリーカードにデータをコピーする事もできるんじゃないか……?
『あーいや、そもそもその新しい器をどう用意するんだって話だし』
神代が作る場合は、必ず1話での生成になるって言ってたし……。
制約のような物なのだろうか。いくら神でも軽々しく命の生成はできないってことだよね。
誰かの体を奪うとか?
よくある成り代わりってやつだ。でも、そうまでして……。
『……体の複製が出来ればな』
「複製?」
『所謂レプリカ……いや、クローンみたいなの……?』
「でも、体を用意したところでどうやって魂を移すんだ?」
『そこなんだよねぇ……』
やっぱり無理だよね。
「とりあえず調べてみるか?クローンってのと、魂を移す方法。実際出来るかはわかんねぇけど、何かヒントになることがあるかもしれねぇだろ?」
『そうね、この図書館にそう言った本があるかわからないけど……』
とりあえず探して見ようということで、関連しそうな本を二人で本棚から見繕って、数時間かけて色々読んで見た。
だが、結局あっても物語の中の出来事が殆どで、現実味のないものばかりでなんのヒントも得られない。
『やっぱり、人体錬成系は禁忌だし、一般的な図書館にはないよねぇ』
実際にやってみたなんて結果が載ってる本は確実に禁書だ。こんな一般人が見るところにあるはずが無い。
まだネットの海のがそういう情報がありそうだ。
今日は諦めて、暗くなる前に帰ろうかと二人で集めた本たちを本棚に返していく。
その途中だった。
失礼、と後ろから声を掛けられた。
振り返ればそこには白いセミロングの髪の男性が立っていた。
スーツ姿ではあるが、右目を隠すような長い前髪と瞳を閉じたままの顔に、名前は思い出せないものの見覚えが確かにあった。
「水津梅雨様とお見受けいたします」
『え、な、なんですか』
名指しで話しかけられた事に動揺した私の前に染岡の腕が伸びる。
「なんだよアンタ」
染岡が私を守るようにして相手に睨みをきかせるが相手はなんとも思っていないようすであった。
「私はフォクスと申します。我が主ガルシルド様の
「ガルシルド?どこかで……」
聞き覚えがある名だと染岡が呟く。
『FFIの主催だよ』
「ああ!テレビで世界平和の為にとか言ってた奴か」
表向きはね、と思いながら頷く。
『そんな偉い人が私になんの用なんですか?』
「あなたの困り事の解決が出来るかもしれません」
突然の提示に私も染岡も驚いてフォクスと名乗った男を見る。
「ガルシルド様は石油事業の他に、視力を失った者の視力を回復させたり、病弱な者を健康にしたりするサポート事業に支援を行っております」
随分と良いように言っているが、それは……。
私の胸にある人の最期の言葉が思い返される。
私のようにはなるな。そう言っていた。
だけど、確かにガルシルドのやっている事なら……。
甘言
やばい相手だと分かっている。分かってはいるが……。