世界への挑戦編②
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楽しいなどと思った罰か。
後半開始からダークエンジェルによるラフプレーが始まり、次々と選手達が倒れて行きもはや作戦どころではなかった。
「ふっ、どうやらここまでのようだな」
「我らに歯向かった結果がこれだ」
セインとデスタは高笑いをした後、私の方を向いた。
「これでもまだサッカーは面白いと言うのか?」
彼らの紫に光る眼がこちらを見据えた。
地に転がされる皆の姿を望んだわけではない。
私は、また……。
ザリ、と砂と何かがズレる音がした。
「違うッ!」
ドンっと円堂が地を叩き立ち上がる。
「お前、たちが、やっているのは、本当の、サッカーじゃ、ないんだ!!」
言葉を震わせながら、ゆっくりと立ち上がった円堂が、2人を睨む。
『円堂……』
そう。そうだ。
『円堂の言う通り。君らのやっているのはサッカーではない。ただの暴力行為だ。そうじゃなきゃ勝てないなんて可哀想な子たち』
デスタはしょうがないにしろ、本来のセインならこんな暴力的なプレイはしなかっただろう。
神に関連する物だったからかもしれないが、少なくとも彼が私に見せた優しさからは、望んで暴力行為をするようには思えない。
哀れみの目を向ければ、セインは苦虫を噛み潰したような顔になった。
「我らが可哀想そう、だと……!?」
「ただの強がりだ、言わせておけ」
表情を歪めたセインとは反対に、デスタはフンと鼻で笑った。
「さて、トドメを刺してやろう。お前らのサッカー諸共な!」
そう言ってデスタはボールを上に蹴り上げた。
「シャドウ──」
「──レイ!」
デスタの闇の力が込められたボールをセインがゴールに向かって蹴り上げた。
円堂!キャプテン!とみんなから声が上がれば、それに答えるように円堂は力強く拳を握った。
「真イジゲン・ザ・ハンド!!」
「進化した!?」
塔子ちゃんの驚きの声と共に見れば、今まではドーム状の衝撃派の上を勢いよく滑らせてボールをゴールから大きく外していたのに対し、今回は衝撃派がボールの威力を相殺しながら、比較的ゆっくりとドームの上を滑って行く。
そのおかげか、今までならゴールネットの遥上を通り過ぎていたボールが、ゴールポストに当たって、弾き返った。
それを円堂は見逃さず、真上にとんでがっしり両手でキャッチした。
これなら……!
「もう時間ないでー!!」
前半で円堂のイジゲン・ザ・ハンドでは無理だと思っていた速攻ができる。
「仲間の思いに応える!これがサッカーだ!」
そう言って円堂はボールを前へ蹴り飛ばした。
そのボールは既に駆け上がっていたフィディオの足元へと落ちる。
目の前にいたギュエールとエルフェルの2人を抜いたフィディオはそのままシュートに持ち込んだ。
「オーディンソード!!」
「笑わせる!」
そう言ってキャッチ体制に入ったアスタロスの顔が瞬時に驚きに変わる。
フィディオとアスタロスの間に3人が走り飛び込んで入ってきた。
彼らはオーディンソードに追いつき、それを3人で蹴り飛ばした。
「グランド──」
「「─ファイア!!」」
シュートチェインで威力が増し、G2へと進化したそのシュートはゴールへと飛んでいく。
「ジ・エンドV3!」
「V3!?奴らも進化!?」
「でもオーディンソードの威力が加わったグランドファイアなら……!」
春奈ちゃんの言うように、グランドファイアの威力に押されて、ボールはゴールへにじり寄る。
ジ・エンドでボールの周りを覆っていた膜が、弾けるように破けて、ついにゴールか決まるか、と思った瞬間ふたつの影が、アスタロスの後ろに飛び込んだ。
それは、デスタとセインの2人で、彼らは共にボールを蹴り返しゴールを守った。
ただ、守るのに必死で、ボールは誰へのパスでもなく、宙に浮いていた。
誰もいないそこへ誰よりも早く飛び出した者が居た。
「円堂ーー!!」
豪炎寺が叫ぶ中、ギュッと土を踏んで止まった円堂が行くぞ!と両手の拳をギュッと握って腕を後ろに引いた。
「メガトンヘッドG3!!」
円堂のヘディングで打ち返されたボールをセインが胸トラップで止めようと、その場で踏ん張った。
「ウワッ!!」
歯を食いしばり耐えようとしていたセインだったが、威力に押し飛ばされ、ボールはゴールを穿いた。
ピッーと笛がなり、やったー!と円堂が飛び上がれば、ピッチのみんなが円堂へと駆け寄って行く。
「仲間を信じ、反対側のゴールまで駆け上がってきたというのか……」
セインは驚きを隠せないといったようすで呟いた。
御影専農の時もそうだったけど、円堂の突拍子もない行動が洗脳には1番効くのかもね。
みんなが喜んでる途中だが、ピッピッピーと試合終了の笛がなる。
「馬鹿な、ダークエンジェルが、魔王が、負けただと……」
呆然とするデスタの前に、審判をかってでていた怪しい老人2人が告げる。
「儀式は失敗に終わった」
「魔王は再び、1000年の間封印される」
老人たちの言葉と共にセインたち天空の使徒の子たちがハッとしたように自分の手を見つめていた。
どうやら全員洗脳が解けたようだ。
「身体に満ちていた悪魔の力が消えていく」
どういうわけか、彼らが着ていたダークエンジェルの衣装が解け、元の白い衣と薄水色の綺麗な羽に戻っていく。
「戻ったんだなお前たち!」
良かったと言うようにみんなでセインたちへ駆け寄ば、感謝すると彼は例を述べた。
そして後ろを振り返った。
「デスタ。使命により、お前たちを封印する」
「くっ、」
「待った!サッカーは使命とかそんなもんでやるんじゃない。もっと楽しいものだぜ!」
「お前、何を……」
円堂の言葉に意味が分からないとセインが振り替えった一瞬の隙だった。
ゴゴゴゴゴ、と音を立てて石の扉が開く。
ハッとしてセインが振り返った時には魔界軍団Zは扉の向こう側にいた。
「今回は失敗したが、次の1000年後には必ず我ら魔界の民が天界を征服する!」
ハハハ!とデスタの笑い後が響く中、再びゴゴゴゴゴと音を立てた扉はゆっくりと閉まっていった。
「待て!」
セインが慌てて追いかけるが、閉まった扉はもううんともすんとも動かなかった。
「お前が止めなければ!!奴らを永遠に封じ込めることが………、」
円堂に振り返って、声を荒らげたセインが急にハッとしたように言葉を止めた。
「そうか、そうだったのか………」
セイン?とギュエールが心配そうに声をかける。
「今わかった……。私の中にある憎しみの心、そのせいで悪魔に付け込まれたんだ」
天界と魔界の民が合体したチームが魔王そのものならば、魔王とは我々の中の醜く争う心の中にある。
伝承のような魔王はおらず、自分の心の中にあったのだと、セインは結論付けた。
「先祖は魂と魂のぶつかり合うことの大切さ、それを伝える為だけにサッカーを選んだのではない。自分自身の醜い心を抑えるための修行としてサッカーを選んだのだ」
そうかもね、と天空の使徒たちはセインの言葉に頷いている。
「お前たちのお陰でようやく理解できたような気がする。サッカーとは心の修行なのだな」
「修行かどうかはよく分からないけど、楽しいもんだぜ!」
そう言って円堂はサムズアップしてみせる。
「楽しいか……。そうだな」
円堂の返しに一瞬ぽかんとした様子のセインだったが、次の瞬間には笑顔で笑って見せた。
「また1000年後に備えなければならない。魔界の民にもこの事実を伝承を伝えるために」
さらばだとセインたちは別れを告げた。
新たなる道
彼らは見つけたようだけど、私は………。