世界への挑戦編②
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ダークエンジェルとの戦いは開始早々、魔王と化しスピードアップしたデスタとセインに速攻でシャドウ・レイを打ち込まれて先制点を取られてしまった。
あまりの速さに呆然とする皆を叱責した後、意外にも鼓舞したのは不動だった。
「取られたら取り返す、それがサッカーってもんだろ」
その言葉で気持ちを切り替えた皆は、再びのキックオフから攻めこもうと上がっていくが……。
ボールの回った鬼道と不動がキラーフィールズで突破しようとしたが、魔界のサタナトスのゴー・トゥ・ヘルにてボールを奪われてしまう。
サタナトスから天界のウイネルにパスされたボールにフィディオとテレスの2人がスライディングを仕掛けるが軽々と上に飛んで避けられてしまう。
だが、その着地を吹雪がスノーエンジェルで捕え、そのままドリブルで駆け上がっていく。
最前線の豪炎寺まで、トップスピードで駆け上がった吹雪は彼と共にクロスファイア改をゴールに向けて放った。
だが、魔界のキーパー、アスタロスのジ・エンドV2で楽々と止められてしまった。
「ヤバい、向こうの方が上手や」
冷や汗をかいてリカちゃんが呟く。
「梅雨さん、大丈夫なの?」
不安そうに木暮が私の服の裾を引いた。
「恐怖しろ!魂は益々美味くなる」
「魂、魂、しつこい!!なんならお好みソースも付けたろか!」
笑うデスタにリカちゃんが地団駄を踏んで言い返せば、デスタはジロリとリカちゃんを見た。
「な、なんや」
「コイツらの後はお前の魂も美味しく頂く」
真顔でそう言わてれリカちゃんはヒィと悲鳴を上げて塔子ちゃんと春奈ちゃんの後ろに隠れた。
「ウチは根性が腐ってるから魂はめっちゃ不味いで!こっちの2人のでどうや!」
冷めた目で2人から見られたリカちゃんは直ぐさま冗談や冗談と笑って、さあ応援応援と話を切り替える。
「万が一の時はアイツからだな」
そう言って拳を握りしめる塔子ちゃんに、はいと春奈ちゃんが力強く頷く。
盤外戦術の効くような相手ならリカちゃんのうるさ…、賑やかさが相手の集中力を欠くのに使えたかもしれないが、どう見ても効かないだろうしなぁ。
『とりあえず、ボール来るよ!MFから後ろは守備固めて。FWは前線維持!』
キーパーのアスタロスが投げたボールは、サタナトスに渡る。ドリブルで上がったサタナトスはデビルボールで不動を抜いて、最前線に駆けたデスタとセインにセンタリングを上げた。
再び、2人の足からシャドウ・レイが繰り出される。
光と闇の混ざったそのシュートの前に壁山が飛び出してザ・マウンテンを発動する。
速い相手とはエイリア学園との戦いでやり慣れているからか、2度目の対応が早い。
ザ・マウンテンは打ち砕かれてしまったが、壁山が1枚目の城壁となってくれたお陰で飛鷹の蹴りが生み出す風圧がボールに届く範囲に追いついた。
飛鷹の真空魔の風で威力の弱まったシャドウ・レイを円堂のイジゲン・ザ・ハンド改で受け流す。
ゴールネットの後ろに流れたボールを見て、ほっと一息吐く。
「よく止めた」
「だが、いつまで持つかな」
ハハハハ!と笑いながらセインとデスタが戻っていく。
『壁山!飛鷹!ナイスディフェンス!』
「円堂もよお止めたで!」
こういう時すぐに乗っかって褒めたたえてくれるのがリカちゃんのいいとこだな。
『よし、リカちゃん。そのまま応援隊長頼むわ』
任しときとドンと胸を叩いた彼女を見て私は思考を巡らせる。
先程デスタが笑ったようにいつまで持つかが勝負の鍵だ。
守りを持たせる為にもできるだけ攻撃は速攻で行きたいが、イジゲン・ザ・ハンドだとボールを受け流して外に出すため、ボール拾って投げるまでに相手を守備に戻らす時間が生まれてしまう。
速攻目当てでここで焦ってMFを上がらせるのは良くない気がする。
鬼道と不動に現行のラインをキープしろとハンドサインで合図を出す。
現場の判断で無視していいと言ってあるが、2人も近い考えなのだろう。円堂がゴールラインからボールを投げるのをセンターラインより前で待った。
既に豪炎寺達には戻ったダークエンジェルの選手がぴっちりマークをつけていて、やはり速攻は難しそうだ。
円堂が投げたボールをテレスが受け取り、不動にパスを通す。
不動がドリブルでセンターラインを超えようとすると魔界のメフィストがボールを奪う。
そこにフィディオが立ち塞がって行く手を塞げば、メフィストはフリーのデスタにボールを蹴った。
だが、それを読んだ鬼道が間でボールをかすめ取り、ドリブルで駆け上がってセンターラインを超えた。
だが、天界のDFネネルがスライディングで鬼道からボール奪ってウイネルに渡る。
ウイネルがシュートを放ち、それを飛鷹と壁山の2人がかりで蹴り返す。
跳ね返ったボールがデスタに渡り間髪を入れずに、ゴールに向かってボールを蹴られる。
今度は吹雪が壁となり、フィディオがヘディングでボールを撃ち落とすが、落ちたボールはセインの元へ行き、反対側からボールが蹴られた。
どうにか円堂がパンチングで防ぎ、ボールはサイドラインを超えて転がって行った。
防戦一方でみんな肩で息をしている。
「みんなかなり疲れてます。オレたちも戻って守りましょう」
虎丸の言葉によしと豪炎寺とヒロトが頷き、前線から下がろうとした、その時。
「来るんじゃねえ!!」
そう、大きな声で不動が怒鳴った。
「どうしてです!?こういう時こそみんなで協力して守備を……」
「お前たちは黙って前線にいやがれ!邪魔だ!!」
強い言葉で3人を追い払おうとする不動を見て、鬼道が3人に歩み寄って行く。
「不動の言う通りにしよう」
「鬼道さんまでどうして!?」
虎丸は訳が分からないと言った様子だ。
「水津もお前たちは前線維持だと言っていただろう」
「それはさっきの事でしょう!?」
「今も戻れという指示はない」
鬼道がそう言えば、分かったと豪炎寺が頷いた。
「後ろは任せた」
豪炎寺と同じようにヒロトも頷いて、2人は最前線へ戻っていく。
「豪炎寺さん!?ヒロトさんまで!!」
驚く虎丸に、これ以上言うことは無いと鬼道は守備に戻る。
「もう知りませんよ!!」
子供らしく怒った虎丸は2人の先輩を追って最前線へ戻った。
「梅雨さん、本当にいいんですか?」
心配そうに春奈ちゃんが聞いてくる。
正直、悩みどころではある。だが、鬼道と不動、2人の……いや、彼らを信じた豪炎寺とヒロトの判断を信じたい。
『このままでいい。みんなならきっと、突破口を切り広げるはず』
勝負の切り札は
信じる心だ。