世界への挑戦編②
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木暮とヒロトが呼び集めてくれたおかげで紅組のみんなが戻ってきた。
「梅雨ー!」
そう名を叫びながら体当りに近い形でリカちゃんが飛びついて来た。
『うおっ、』
倒れそうになるのを傍にいた染岡が支えてくれる。
「危ねぇだろ!」
「なんでアンタが怒るん」
「なんでって、そりゃあ……」
私に抱きついたままリカちゃんは、もごもごと口篭る染岡を見て、ふぅん、と呟いて口元に孤を描いた。
「まあええわ。それより梅雨、アンタ倒れてたって聞いたけど大丈夫なんか!」
抱きつく形から肩を持つ形に変わったリカちゃんがそう言って私の顔を覗き込んだ。
『ああ、うん。大丈夫大丈夫。それよりリカちゃんも無事でよかったよ』
「ああ、みんなのおかげで花嫁にならずにすんだで!」
『そうね、魔王の花嫁なんて………』
ふと、そこで集まったみんなを見る。
さっきも思ったがここには紅組のみんながいる。
『春奈ちゃんは?』
「音無は鬼道たち白組が助けに行ってる」
円堂の言葉を聞いて背筋がゾッとする。
『助けてここに来たんじゃないの!?2人を助けてってお願いしたじゃん!!』
「お前がここにいるの分かってて置いていけるわけねーだろ。だいたい迎えに来てって言ったじゃねーか」
思わず声を荒らげた私に対し染岡がむくれたようにそう言った。
『言ったけど……』
あー、と思わず頭を押さえる。
『いや、私が悪かった。冷静に考えればあのタイミングでセインについて行った私が悪いわ』
全ての事が終わった後に話を聞くことだって出来たのに、消えないでいる方法を知れるかもしれないと躍起になっていて正常な思考ではなかった。
『とにかく今は急いでデモンズゲートへ行かないと』
「向こうはそんなにヤバいのか?」
険しい顔になった土方に、うんと頷き返す。
ここにまだセインがいることを考えるとデモンズゲートにいるみんなの魔界軍団Zとの戦いが私のせいで苦戦させられている可能性がヤバい。最初の、雷門対帝国のようにおかしな状態になっているかもしれない。
神代はそういうのを修正するために創ったのが私だと言っていたからデモンズゲートに行けばどうにかなるだろうけど……。
まあ、図らずして私を迎えに来てくれた事が功を奏し……いや、そもそも私がついて行かなければよかっただけよね……。
とりあえず、反省は後だ。
『セイン、全員をデモンズゲートまでワープさせれない?』
そう聞いてセインの方を見れば、彼は虚無を見つめて返事をしない。
『セイン?』
「どうしたんだ、セイン」
円堂が近づいてセインの肩を揺らす。
「……!円堂くん……?どうかしたかい」
「どうかって……、ボーッとしてたけど大丈夫か?」
「ああ、すまない。大丈夫だ。それで?」
「水津が全員をデモンズゲートまで移動させれないかって」
「全員を……」
セインは顎に手を置いてうーんと考える。
「流石に私ひとりでは全員を移動させるのは無理だ」
『そういえば、他の使徒の子達は?』
セインの指示でみんなと一緒に私を探しに出たはずの天空の使徒の子達は部屋に戻ってきていない。
「それが、なんか……」
ねえ、とみんなが顔を見合わせている。
「なんか急にボッーとした様子でどっかに消えちゃって」
「私の方も、引き止める間もなくどこかに行ってしまってな」
「みんなが消えた?どういう事だ?」
みんなの話を聞きセインは訳が分からないと言う顔をした。
他の使徒の子達がどうなったかだいたい予測はつくが……。
『分かった。セインは使徒の子たちを探して。その代わり近道があれば教えて欲しい』
「ああ、それなら語り部の老人達が使う道がある」
そう言ってセインはこっちだ、と部屋を出ていく。
それを見てみんなもぞろぞろと後に続いて部屋をでる。
1番最後に出ようかと思っていれば、染岡も同じような考えか残っている。
「悪かったな、2人を助けろっての守らなくて」
『それは本当に怒ってるからね』
「けど、俺は多分、また同じことがあってもお前を優先するからな」
まっすぐそう言われてしまい、返す言葉に詰まる。
「だから、自分より誰かを助けて欲しいんなら、ひとりで危ないとこに行こうとすんなよな」
そう言い捨てて染岡は部屋を出ようとした。
「っ、!なんだよ?」
気がついたらユニフォームの裾を掴んで引き止めていた。
『多分また同じ事すると思う』
「するなよ!」
『……あのさ、私を先に迎えに来たことは怒ってるけど、嬉しくないわけじゃなかったからね』
顔は見れず、下を向いてそう呟いて、裾を掴んでいた手を離す。
『それだけ!』
そう言って染岡を抜いて先に扉を出ていく。
「あ、おい!」
引き止めるような声が聞こえたが無視して先いくみんなを追いかける。
「はあ、もう。……ずっりぃなあ……」
後ろのそんな声を聞きながら。
何度だってきっと
彼の想いに甘えすぎている。