世界への挑戦編②
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頬に当たった感触に驚いた隙に掴んでいたはずの手がするりと抜けて行った。
なんで、いつも行くなと言うのにアイツは、水津は行ってしまう。
茫然と立ち尽くす俺の背中を吹雪が叩いた。
「しっかりしてよ、染岡くん!水津さんに託されてたでしょ」
俺の手を握って水津は言った。
2人を助けて、と。
それに……、他には聞こえないようにマグニート山で待っていると言っていた。
その事を思い出してみんなに伝えれば、雷門夏未がやはりと呟き、水津達を連れ去ったのは天界と魔界の者たちだと考察する。
天界と魔界の者たちが住まうという伝承と水津の言葉を信じ、俺たちは3人を救うためマグニート山に向かった。
ライオコット島の中心にあるマグニート山の麓へ到着すればそこには同じフードに同じ怪しいメガネのまるで鏡写しのような姿の爺さん2人が待っていた。
塔子曰くこの爺さんたちが浦部に伝承の腕輪を渡した本人らしく、塔子が憤慨する中、爺さん達はそれぞれ道を示した。
上はヘブンズゲート、下はデモンズゲート。それぞれ天界と魔界の者が住む場所に別れているという事で、俺たちは練習試合をしようとしていた紅白のチームで別れることにした。
浦部と水津の捕らわれているであろうヘブンズゲートには円堂率いる紅組が、音無が捕らわれているであろうデモンズゲートには鬼道率いる白組が向かう事になった。
正直、先程のクジで紅組を引けていて良かったと思った。そうでなければ急ぐ最中誰かにチームの交代を願い出るところだった。
険しい山道を登り終えた先にあったのは天空の庭。
色とりどりの花が咲き、崖から下に見えるは雲。そんな場所に神殿のような建物がポツンと建っていた。
その建物に近づけば、2人を攫ったヤツともう2人同じ羽の生えた奴らが居た。
「何をしに来た。ここは下界の人間が来るところではない。すぐに立ち去るがいい」
2人を攫った奴が俺らを高いところから見下ろしそう言った。
「何がすぐに立ち去れだ!仲間を取られてこのまま黙って帰れるかよ!」
「水津たちを何処へやった!」
「そうだ!リカと梅雨を返してもらおうか!」
土方の言葉に大きく頷いて俺が叫べは、塔子も同じように返せと叫ぶが、それは鼻で笑い返された。
「それは出来ない。あの方々はライオコット島に平和をもたらす捧げ物」
「捧げ物?」
「何言ってるんだ」
捧げ物だと?ふざけた事言いやがって、と拳を握ったところで、離せっちゅーとるやろ!と方言が聞こえて来た。
建物の隣の棟の方から声がして、顔を上げれば高いことろに羽の生えた女二人に連れられる浦部の姿があった。
「リカだ!」
「リカー!!」
「円堂!塔子!みんな来てくれたん!?」
浦部は腕を掴まれた状態で身を乗り出した。
「水津は一緒じゃないのか!?」
こちらからでは浦部の側にいるかも見えず聞けば、浦部は驚いたような顔をした。
「梅雨?どういうことや、梅雨も攫われたん!?アンタらサイテーや!!」
どうやら浦部はあの時気を失ってからは水津には会っていないらしい。
「攫ってなどいない。器は自らの意思で来た」
器、またそれだ。コイツの言う通りそれを聞いて水津はついて行っちまった。
「そんなわけあらへん!みんな、早よ助けて!ウチ花嫁なんかなりたないー!!」
「花嫁……?」
「このお方には千年祭で復活する魔王の花嫁になっていただく」
魔王の花嫁!?と一同驚く中、天使は話を続けた。
「千年祭にて復活せし魔王。伝承により選ばれし者を娶り再び深き眠りにつく」
「コイツら魔王を封印するためにリカを花嫁にするつもりなのか!?」
「それじゃあ魔界の民が音無をさらっていったのも……!」
「否!奴らが求めているのは生贄だ!野蛮なる魔界の民は魔王に生贄を捧げることでその悪の力を巨大化させようとしている」
「野蛮って……、お前らがやってることも同じだろうが!それに、器ってなんなんだ!水津もその魔王に関係してんのか!!」
そう怒鳴れば、先程まで飄々としていた天使の眉がつり上がった。
「貴様らが知る必要はない!儀式の邪魔だ!すぐにこの地から立ち去れ!」
「だから帰らねえっつってんだろう!!帰れっつうんなら2人を返せってんだ!」
「そうだ!リカを魔王の花嫁なんかにさせはしないし、水津も返してもらうぞ!」
「はあーあ、これだから困るんだよな下界の人間は」
天使の1人がそうボヤいた。
「ならば仕方ない。我らの力で下界にたたき落とすまで」
そう言った天使は、下界の優劣を決める方法でとサッカーを勝負の方法に選んだ。
この試合、
何がなんでも勝つ
浦部を助けて、そして水津の居場所を吐かせる。