世界への挑戦編②
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アフロディやエイリア石の力で前にもテレポートをしたことがあるが、相変わらずどういう原理か全く分からないが一瞬で知らない場所に居て凄い。
『ここがヘブンズガーデン』
雲の上の大地に1面の花畑。その中央には古代遺跡のような建物が建っている。
「こっちだ、ついてこい」
そう言って薄水色の羽の少年が建物に入って行くのについて行くと10人の少年少女が待ち構えていた。
彼らは皆同じ白い服に薄水色の羽を背中から生やしていた。
「セイン、こちらが今回の?」
青髪の長身の少年が、セインと呼ばれた少年が腕に抱えるリカちゃんを見ながらそう訊ねる。
「ああ。部屋の用意は」
「万全だ」
「では、目が覚めるまではそちらへ寝かせておいてくれ」
そう言ってセインは青髪の少年にリカちゃんを預けた。
承知したとセインからリカちゃんを受け取り抱き抱えた少年は長い廊下の先へと消えてしまう。
「エノレルとサキネルは食事の準備を。アイエルとギュエールは衣装の用意を頼む」
名を呼ばれたそれぞれがこの場から散って行く。
「それじゃあ残りは式場の準備か」
タレ目の少年がそういえばセインは、ああと頷いた。
「私はこの者と話がある」
任せたぞとセインが言えば、残りの子達も居なくなってしまった。
私に対して誰もなんの反応を示さなかった通りセインのように皆何かしら私について知っているのだろう。
『器とはなんなの?』
待ちきれず口を開く。
「私が答えるよりも、神々にお聞きする方が早いだろう」
そう言ってセインが廊下の先を歩き始めので慌ててついて行く。
『お聞きするって……、
どうにか会おうと影山さんまで使ったのに……。
「こうじろ………?」
『私の事を神の子だとお告げを受けた人が、その神が
「ああ、神々が顕現された際の日本での名か」
日本名だからセインにはピンと来なかったってことか?
まあ、神の名前って言ったら天照大御神とか太陽神アポロとかそう言うイメージだし、もしかしたら神代は神様が自分で使ってる偽名みたいな物なのかも?
「で、どうやって神々に会うかだが………」
そう言ってセインは1つの扉の前で立ち止まった。
「ここはヘブンズゲート。もっとも天界に近い場だ。ここでならば依代を使わずとも神々が顕現する事が可能だ」
セインは扉を押し開けて、私に入れと促した。
私が中に入るとセインも中に入って扉を閉める。
そうすると部屋は真っ暗で、セインは部屋の隅にある蝋燭に火をつけて歩いた。
ぼんやりと見えてきた部屋の様子は、よくある教会の中ようで立ち並ぶ長椅子は部屋の奥の教壇の方を向いて座れるようになっている。
「ここで祈りを捧げれば神々はお答え下さる」
『祈りを捧げるって……』
「私は魔王封印の準備があるためこれで失礼する」
そう言ってセインはくるりと踵を返す。
『え、ちょっと、もう少し詳しく……!』
こちらの呼び掛けも虚しくセインは無視して部屋を出て行ってしまう。
『祈り、祈りねぇ……』
困ったなあと沢山ある椅子のひとつに腰掛ける。
『そもそも神様信じてないってアフロディにも言ったのになあ』
まあ、影山さんに声掛けてまで神代を探してた時点で、少なからず居るということは信じてはいるか。
神自体が信用に値するかは別として。
『参拝するみたいにすればいいのか?』
よいしょと立ち上がって、教壇の前に近寄り、お辞儀を2度する。それからパンパンと手を叩く。そしてもう1回お辞儀をする。
シーンとして何も起こらない。
『いや、流石に日本式過ぎたか』
「流石に日本式過ぎるね」
ククククク、と後ろから笑い声が聞こえて慌てて振り返る。
そこに居た姿を見て、驚きで口が塞がらない。
『え……?』
「この様式の場で、二拝二拍手一拝で呼び出されるとは思ってもみなかったよ」
依然笑いながらそう言うそいつは、金の長い髪と赤い目の見知った少年だった。
『アフロディ……!?』
「フフ、ハズレだよ。この姿を模した方がキミが神をイメージしやすいだろうと思ってね」
『模した………じゃあ、貴方が
「ああ、そうだとも」
アフロディの顔をした神代はコクリと頷いた後、怪しげな笑みを浮かべたかと思うと白いモヤへと姿を変えた。
「これで信じてもらえるかね?」
『……ええ。確実に人ならざるものなのは確かね』
「ああ、それで良いさ。そもそも神などというのは人間が付けた呼称に過ぎないのだから。さて、」
そう言って白いモヤは蛇のように細くなり、私の周りをぐるりと囲んだ。
「梅雨はこの体のことについて聞きたいんだよね」
『ええ。貴方が創ったって事は分かってる。だから今、消えかかってるこの状態を何とか出来るなら……』
「出来ないよ」
無慈悲にも食い気味にそう言われた。
『出来ないって、なんで……!貴方が創った体なら……!』
「ボクらが創った体だからさ!」
無邪気な声でそう返される。
「キミは色々考察していたみたいだけど違うよ」
『違うって……』
「この世界のシナリオを壊そうとしたから消えるって考えていたでしょう?そうじゃないんだよ。お前が消えるのは肉体と魂が結び付かなかったからだ」
『ど、どういうこと?』
「そのままの意味だけど……。そうだなぁ、アナタは何度か思ったよね。私はここにいるべきじゃないとか、本当は居ない存在だ、とか」
確かに、思った。だって、私はイナズマイレブンの住人ではないから。
「そう。それがダメだったんだ。魂が肉体を拒んだ。だから乖離が始まった」
それってつまり、私自身の思いが原因だったってこと………?
「本当は、もう少し緩やかに乖離していくはずだったんだけど、エイリア石。アレって肉体を活性化させる力があって、そのせいでキミの乖離も早まっちゃったよね」
『じゃあ、もうこの世界に残りたいって思っても……』
「今更遅いね」
『は、はは………』
その場に崩れ落ちるように座り込む。
「まあ、そんなに落ち込む事は無いよ。キミは説明もなかったのに立派にこの世界のバグ修正を行ってくれたし、きちんと私達の一部にしてあげる」
『……は?』
バグ修正と言うのは分かる。話が進まなかったりした時の事だろう。
だけど、私達の一部って何?
『肉体が消えたら魂は元の世界帰るんじゃないの……?』
そう呟けば私の周りにまとわりついていた白いモヤがひとつに集まって人の形を創った。
「いや、そんなことをしたら向こうの世界がおかしくなるだろう?」
『でも、それじゃあ、向こうの世界に私は居なくなるって事……?』
そう聞けば、人型のモヤはハテナを頭に付けたように首を傾げた。
「ああ!そうか!キミは知らなかったね!」
そう言って神代は無邪気に告げた。
「お前は我々が用意した肉体に、とある世界の水津梅雨という人間の記憶をコピーして入れたモノであり本人の意識が入っている訳ではないのだ。完全な模造品さ。だから向こうの水津梅雨は今も普通に生活してる」
『……なに、それ………』
「あ、分からなかった?ゲーマーのキミにも分かりやすく言えば、ゲームをやって最初にセーブしたデータが大元になった水津梅雨という人間で、その後別ルート遊ぶ時に最初のセーブデータをコピーした物で進めて別のスロットにセーブするだろ?その2個目や3個目のスロットにセーブされたのがキミって事さ」
別にそんな説明が聞きたかったわけじゃないのに、神代は揚々と語っている。
テセウスの船
ですらないなんて。得た物は絶望だけ。