世界への挑戦編②
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祝福の他に、テレスとエドガーからこれまでの態度のの謝罪もあり、最終的にはみんなで練習しないか、という事に話が落ち着いた。
エドガーの提案で2チームに別れての試合をやる事になり、リカちゃんが超特急で作ってくれたクジで紅白のチームに別れる。
紅組が、円堂、壁山、土方、木暮、塔子、風丸、吹雪、染岡、ヒロト、エドガー、フィディオの11人。
白組が、立向居、綱海、飛鷹、不動、佐久間、鬼道、虎丸、豪炎寺、ディラン、マーク、テレスの11人。
「なんだ、結局ドモンの彼女は参加しないのか?」
テレスが純粋な疑問というように呟いて私を見る。
それにイナズマジャパンの誰かから、えっ、という驚きの声が聞こえた。
そして、隣からそれよりも大きな黄色い声が上がった。
「ええ〜!アンタ土門と付きおうてたん!?ほんならコレも土門から!」
キラキラ、いや、ギラギラとした目で見つめてくるリカちゃんが私の手を取り手首に着けたミサンガを指す。
『違う違う』
慌てて否定して、そっと染岡の方を盗み見る。
なんというか、酷く悲しそうな顔をしていた。
「なんや違うかい!まあ、土門が送ったんなら日本代表カラーはおかしいもんな」
そうそうとリカちゃんに対して頷き、それからとテレスを見る。
『あの時も説明したけど彼女じゃなくてべスティーね?』
「そうか、悪かったな。で、結局参加しないのか?」
『もう11人ずついるしね。リカちゃんが参加するなら人数合わせに入ってもいいけど……』
世界の彼らが来る前は練習に参加したいと言っていたリカちゃんだったのだけれど……。
「ウチらは今からイケメン鑑賞会や!」
ウチら、って……ツッコム間もなくリカちゃんに肩に腕を回される。
『ってことなんで』
「お、おう?」
イケメン鑑賞会を理解出来てないようでテレスは曖昧な返事をくれる。
「イチノセが評価するプレイヤーだからオレも対戦して見たかったけどね」
そう言ってくれたマークにありがとうと返す。
『でもそれってフリースタイルでの話でサッカープレイヤーとしてのスキルは私にはないからさ。それにトレーナーの私が、選手の練習の場を奪う訳にはいかんよ』
「それもそうか」
分かったと頷いて彼らはそれぞれのチームに集まって、ポジションを決めてフィールドに並ぶ。
審判は、僭越ながらと手を挙げてくれた目金に任せ、こんな機会はないからと春奈ちゃんがビデオカメラを回す。
「さあ!決勝トーナメントに向けて気合い入れていくぞ!」
円堂の掛け声に、おう!と一同が返事をして、それでは試合開始、と目金がホイッスルを吹く。
ピィッーという音と共に、ピカっと空が光って少し離れた所で、ドーンと雷の落ちる音がした。
先程から雲が多くなってきた気がしていたが、いつの間にか空は黒い雲に覆われていた。
「急に変ね」
夏未ちゃんが空を見上げるとつられて春奈ちゃんも上を見た。
「今日はずっと晴れの予報でしたけど……」
「構うもんか!雨だろうがなんだろうが関係ねえ!練習だ練習!」
染岡がそう叫ぶと先程より激しく空が光雷が落ちた。
「今のヤバくない?」
頭を守るように抱えた木暮がそう呟く。
本来なら中止させる所だ。
それこそ少年サッカー部が雨の中試合して雷に打たれて意識不明になったり障害が残った事件もあるし……。
だけどこれは……。
「「キャアッ!」」
悩んでいると女の子達の悲鳴が聞こえた。
雷に対する悲鳴かと思ったが違った。
リカちゃんと春奈ちゃんのそれぞれの腕に着けた腕輪が光っていた。
「なんで、こんなんなってんの!?」
「なんなんですか……」
「どうなってるんだ……?」
試合を始めようとしていた選手達も様子のおかしいマネージャーたちの方を見て戸惑っている。
「これ、夏未さんの言ってた話の……」
「まさか、あれは伝説よ!?」
冬花ちゃんも夏未ちゃんもなんとなく良くないものだと察して青い顔をしている。
「あのじいさんたち怪しかったもん!絶対何かあるんだよ」
塔子ちゃんがそう言った直後だった。
ドーンと大きな音を立て、グラウンド内の証明器具に雷が落ちた。
激しい音と共に強い衝撃が起こり、皆土埃に目をつぶり各々防御姿勢を取る。
衝撃で起こった風が止み、恐る恐ると目を見開く。
「円堂さん、上!」
そう大きな声で立向居が叫んだ。
円堂の真後ろのゴールの上に足元まである長い髪を細い三つ編みに束ね、白い衣装を着てその背中には薄水色の羽の生えた少年が立っていた。その足元にはサッカーボールが踏みつけられていた。
「なっ!?」
「なんだアイツは……一体どこから……」
「随分妙な格好をしているね」
鬼道が一瞬で現れた事に驚き、ヒロトは彼の格好に目を付ける。
こんな時になんだけど、格好はエイリア学園だったヒロトは言えないんじゃ……。
「て、ててて、天使!?」
壁山は腰を抜かし、なんだよお前と綱海がメンチを切る。
背中に羽の生えた少年は何も言い返さず、ただ足元のボールを高く蹴り上げ、自身も飛び上がった。
未だ鳴り響く雷と同じようにそのボールを少年はたたき落とすように蹴った。
地に落ちたボールは地面を抉りながら猛スピードで飛んでいく。
それほどの威力のボールが生み出す衝撃波は大きく、フィールドにいた選手達を凪飛ばしてしまう。
フィールドにいない我々も余波でベンチから飛ばされる。
そんな中、羽の生えた少年はリカちゃんの前に飛び降りる。
「迎えに来た」
怯えて声も出ないリカちゃんの額に、少年がつん、と人差し指をやるとリカちゃんの目が虚ろになった。
その彼女の身体に手を伸ばす少年に、リカに何するんだ!と円堂が駆け寄ろうとした。
「人間、邪魔をするな!」
そう言って少年はボール円堂の腹に向けて蹴り吹き飛ばした。
「円堂!」
地に落ち倒れた円堂は腹を抑えて呻き声を上げている。
そんな彼の元に、少年は気を失ったリカちゃんを姫抱きにして近づいて見下ろす。
「これ以上の邪魔だては恐ろしい結末を招く事になるぞ」
互いに睨みを聞かせていると、後ろかきゃあ!と悲鳴が上がった。
なんだとそちらを見れば、地に倒れ込んだ春奈ちゃんの元に、黒い衣装に腰までの長い茶髪で、背には黒い羽が生えた少年がいた。
その少年を見るなり、薄水色の羽の少年はボールを蹴り飛ばした。
「フンッ!」
先程、円堂を吹き飛ばしたそのシュートを黒い衣装の少年は軽々とトラップして見せた。
「失せろ!ここはお前たちのような邪悪なもの達が来る場所ではない!」
「偉そうに言ってんじゃねえよ!お前こそ消えろ!世界は魔王と魔界軍団Zが支配するって決まってんだよ!」
「おいおい、魔界っていったぞ……」
突然現れた2人のやりとりに、吹き飛ばされいたみんなは身体を起こしながら唖然と見守るしかなかった。
「笑止!神は器を遣わした。これ即ち世界を統べるは天の輝きのみ。天空の使徒が今ここでお前を成敗してくれよう」
『………器?』
なんだそれ、と思っていたら黒い羽の方がこちらを見た。
「天空の使徒だって……」
「やっぱり、本物の天使と悪魔って事っスか!?」
「うるせぇんだよ!!人間ども!!ガタガタ抜かすとお前らの魂も食っちまうぞ!!」
その怒声と共に雷が落ち、壁山が目金に抱きついて悲鳴を上げる。
「黙れ不浄の者!」
「フンッ!」
白い羽の少年を無視して黒い羽の少年は春奈ちゃんの肩を強引に掴んだ。
「きゃあ!!」
「春奈ぁぁぁあ」
妹のピンチにお兄ちゃんである鬼道が誰よりも早く走った。
だが、先程円堂が白い方にされたように、黒い羽の彼もサッカーボールを鬼道の腹に蹴り飛ばしぶっ飛ばした。
「お兄ちゃん!!」
倒れた鬼道に駆け寄ろうとする春奈ちゃんの腕を掴み黒い羽の少年が引き止めた。
「お前は選ばれた。魔界にな」
少年が春奈ちゃんを見つめそう言えば、先程のリカちゃんのような虚ろの目になった後意識を失った。
「春奈!!」
ぐったりとした春奈ちゃんを少年が抱え上げるのに、鬼道が離せと手を伸ばす。
「しつこいぞ!」
そう言って少年はもう一度鬼道にボールをぶつけた。
『なんで……』
なんで帰らない。本来ならここで帰ったはず。
呆然とする私の前に黒い羽の少年が一瞬で移動した。
「なんでってわかってんだろ。お前が」
そう言ってニヤリと笑った少年は私の顔に手を伸ばしてくる。
「水津!」
染岡が走ってくる。このままでは円堂や鬼道の二の舞になるのでは、そう思う私の眼前スレスレにボールが飛んできて、黒い羽の少年の手を叩き落とした。
「お前のような不浄なものが触るな」
ボールを蹴ったのは白い服の少年で、黒い羽の少年を睨み付けていた。
「まあいい。どうせ壊れかけだろ」
『待って、どういう意味!』
彼は、この消えかけの身体の事を知っている?
「ハッ、さあな」
黒い羽の少年がそう言えば、彼に雷が落ちる。
まばゆさに目を閉じて、もう一度開けた時には春奈ちゃんを連れ消え去っていた。
「不浄の者め……」
そう呟いた白い服の少年を見る。彼はまだ帰っていない。
『器とはどういう意味』
「………。知りたくば我と共に来るがいい」
少年は少し悩んだようだったが、そう言って手を差し伸べて来た。
彼に着いていけば少なからず何か分かるかもしれない。
そう思った時には1歩前に出ていた。
「水津!どこ行く気だよ!!」
先ほど駆け寄って来てくれていた染岡が私の手を掴んだ。
『染岡……』
振り返って掴まれた手と反対の手で染岡の手を包み返す。
『お願いがあるの』
「っ……いやだ、行くな」
『絶対に春奈ちゃんとリカちゃんを助けて』
「お前はっ……!」
絶対に離さないといったように染岡の手を握る力が強くなる。
あんまり、こういうずるいことはしたくなかったんだけどな……。
重ねていた方の手を離し、染岡の肩に乗せる。
それから少し背伸びをする。
「水津?」
ほんの一瞬だけ、染岡の頬に唇を当てた。
「は………」
驚き目を見開く染岡の手を掴む力が少し弱まったのをみて手を振りほどく。
「お前っ、!」
『マグニート山で待ってる』
染岡にだけ聞こえるようにそう言って、私は白い服の少年に駆け寄った。
『連れてって』
「承知した」
その言葉と共に激しい雷がまたグラウンドに落ちるのだった。
迎えに来て
なんて可愛いことは言えないけれど