世界への挑戦編②
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春奈ちゃんが着けた腕輪が取れないと言い出して、まさかとリカちゃんも試してみたが、彼女の腕輪も腕から取れなくなってしまった。
「あのオッサン!取っ捕まえて文句言うたる!!」
「何が伝承の鍵だよ!とんだ不良品じゃん!」
怒るリカちゃんと塔子ちゃんの言葉を聞き、待って!と夏未ちゃんが駆け寄った。
「今なんて言ったの」
「え?だから、不良品って」
「じゃなくてなんとかの鍵って!」
「伝承の鍵。天と地の王がどうのこうのって言ってた」
「夏未知ってるのか?」
円堂の言葉に夏未ちゃんは顎に手を置いて考えている。
「……もしかするとそれは、ライオコット島に伝わる魔王伝説と関わりがあるのかも」
魔王伝説!?と驚くみんなに夏未ちゃんはライオコット島に伝わる昔話を始めた。
ライオコット島は天界と魔界の交わる場であり、天界と魔界の民は覇権を争い長い間戦いを繰り広げたが、決着はつかなかった。
不毛に続く戦いの中、人間の力の優劣を決める手段の1つであるサッカーを用いり始めた。
勝負の結果は天界の民が勝ち魔王は封印された。
魔王封印後、天界と魔界の民はライオコット島の中心にあるマグニート山に住み着いたとされている。
あくまで伝承ではあるが、マグニート山に住む先住民には不思議な力があるとか……。
そしてここから本題の、リカちゃんと春奈ちゃんがつけてしまった伝承の鍵。
夏未ちゃんが集めたライオコット島の資料の中に、魔王伝説の壁画があり、そこに書かれた天界の民と魔界の民の腕に、彼女らがつけているような腕はが書かれている。
なんの用途で用いられたかも分からないし、リカちゃんたちが付けているのも伝承の鍵を模したレプリカかもしれない。
結局のところ何も分からないし外せないままだが、2人は人が作ったものならそのうち外れるだろうし気にしないといい、2人がそういうのであれば……と皆練習を再開させることにした。
ベンチにマネージャーたちが集まる中、ちょっとと夏未ちゃんに誘われベンチから離れる。
「2人はああ言ってたけれど、アレ着けたままで大丈夫な代物なの?」
『……うーん、アレ自体に毒があるとか無理やり外すと爆発するとかはなかったはずだけど……』
「そう濁すってことは、そういうことじゃない問題があるってことね?」
『……うん。けど、みんなならきっと……』
2人を助け出してくれる。
このみんななら、とフィールドで練習しているみんなを眺める。
「なあ、梅雨!アンタが練習メニュー決めとんのやろ!」
『うん?』
何?と大声を上げたリカちゃんの方を見れば、彼女の隣で目金がオロオロとしている。
『監督と相談しながらだけどね?それがどうしたの?』
「ウチと塔子が練習に参加したいって言うたらアカンってこのメガネが!!」
「決勝トーナメント前できっちり練習メニュー組んでるからダメとか言い出してさあ。梅雨が組んでるんなら梅雨に相談しようぜって」
塔子ちゃんもムスッと目金を睨みながら言っていて、練習に混じりたいというのがひしひしと伝わってくる。
フィールドとボールが目の前にあるのにサッカープレイヤーの彼女らに見てるだけってのは耐え難いよな。
『色んな相手と対面するのは経験値になるし……、いいわよ』
「さっすが梅雨!話がわかる!」
やったー!と2人は飛び跳ねて喜ぶ。
可愛いなぁと眺めていれば、リカちゃんが駆け寄ってきて私の手を掴んだ。
「梅雨も一緒にやろうや!」
『え、いや、今日は監督居ないからねー。私は見とくよ』
「そう言えば居らんな、どこ行ってん?」
「お父さんは今日、響木さんと出かけるって」
みんなには秘密だが、久遠さんは響木さんの病院に付き添っている。
『そういうわけで、私は監督役で見守っておくよ』
「えー、つまらんなあ」
「そうね。私も久々に貴方のプレーが見られるかと思ったのに」
リカちゃんの言葉に頷いた夏未ちゃんが小さく呟く。
『えー、夏未ちゃんにそう言われると……。いや、でも私まで入ると奇数でバランス悪いし……』
「それならオレも入れてよ」
後ろから聞こえた声に、え?と振り返れば、いつの間にか茶髪の少年がそこに居た。
「あー!イタリアの白い流星!!」
彼の2つ名を塔子ちゃんが叫べは、練習中だったイナズマジャパンのみんなもプレーを止めてこちらを向いた。
「フィディオ!?」
「マモル!」
やあ、とフィディオは片手を上げて挨拶する。
「おいおい、敵情視察か?」
不動が茶化すようにそう言う中、フィディオはフィールドへ近づいて行く。
「マモル!ボールをくれ!」
フィディオの突然の要求に、円堂は分かったと手に持っていたボールを下に落として蹴り飛ばした。
高く上がったボールをフィディオは空中でトラップして、それをフィールドの中に戻すのではなく、何故かグラウンドの外、道路側へと蹴り飛ばした。
何をしてるんだ、とか危ないだろ、とか色々な思考が飛び交う中、ボールが道路の外に出る事はなかった。
「テレス!?」
円堂が驚きの声を上げたように、フィディオの蹴ったボールを止めたのは、アルゼンチン代表のテレス・トルーエ。
今度はテレスがボールを蹴るとアメリカ代表のマーク・クルーガーが飛び出してきて、ボールをヘディングで撃ち落とすと、ディラン・キースが現れてそのボールを遠くへ蹴り飛ばした。
そしてそのボールを前に水色の長髪の少年が立ち、彼は両腕を伸ばしてグルンと回転をかけて飛び上がった。
「エクスカリバー!」
足元から放たれた剣が、円堂のいるフィールド内のゴールへ向かって飛んでいく。
「エドガーまで!」
放たれた必殺技に円堂は目を光らせて、意気揚々と上に飛び上がった。
「イジゲン・ザ・ハンド改」
エクスカリバーは円堂の発動させたドーム状の障壁の上を滑って、ゴールネットの遙か上を飛んで行った。
「見事だ」
そう称賛するエドガーを中心に各国のプレイヤー達が集まり、それを見たリカちゃんの目がキラキラと輝いた。
「キャー!イケメン軍団や〜!!ダーリンを失ったウチにこんなイケメン授けてくれるやなんて早速ご利益あったわ」
そう言ってリカちゃんは腕に着けた伝承の腕輪に頬ずりする。
「別にリカさんの為に来たわけじゃ…………」
余計な事を小声で言う目金に、しーっと人差し指で合図する。
「みんなしてどうしたんだ?」
これだけのメンバーが何故やってきたのか分からず円堂が訊ねる。
「マモル、彼らはジャパンのみんなに言いたいことがあるそうだよ」
言いたいこと?とみんながクビを傾げる中、先陣を切って口を開いたのはエドガーだった。
「先ずは、イナズマジャパンの決勝トーナメント進出に、イギリスを代表してエールを送りたい。おめでとう」
そう言ってエドガーは手を差し出し握手を求めた。
栄子へのエール
その手を円堂がありがとうと握り返すのだった。