世界への挑戦編②
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
見事な必殺タクティクスからシュートを決めたオルフェウスの選手達は、ベンチの前に立つ影山の元へ走っていき、次の指示を得ている。
「影山が笑っている」
かつて同じサッカー部員だった響木さんが、信じられないものを見たと言うように驚いている。
今まで見たことのあるニヒルな笑いではない、心から笑っている顔。
フィールドに立ったままの鬼道もその様子を見て口元に弧を描いた。
「それが本当の貴方なのですね」
「ああ。私が勝つぞ鬼道。今度は本当のサッカーでな」
その場返事に鬼道は気を引き締めた顔になって踵を返しポジションに着く。
影山の指示を受けたオルフェウスの選手達もポジションに戻って、キックオフのホイッスルが鳴る。
「影山と選手達がひとつになった。あの少年たちがそうさせたというのか……」
『複雑ですか?元チームメイトとしては』
「そう、だな。……俺たちはアイツの闇に気づかず、あの事故により皆、サッカーから離れ、アイツを救う事もできなかった」
『まあ、こればっかりは普通のサッカーじゃ導き出せない答えでしたからね』
円堂達の見せる光眩しいサッカーでは、ただ影山の闇を深くさせるだけ。
本当に求めていたものが、もう見れないはずの影山東吾のプレーだなんてね。
『皮肉なものですね』
さて、とフィールドに目を移すとドリブルで上がる鬼道の前にフィディオが立ち塞がった。
フェイントを掛けた鬼道だったが、その動きはフィディオに読まれてボールを奪われてしまう。
「しまった!」
そう言って抜いて行ったフィディオを振り返った鬼道が固まった。
普通ならそのまま後を追うものだが……。
フリーになったフィディオはそのままそこからロングシュートを放った。
「イジゲン・ザ・ハンド!」
難なく円堂の必殺技でボールをゴールネットの後ろに流した。
「虎丸、行くぞ」
久遠監督がベンチに座る虎丸に声を掛け、選手交代を告げる。
虎丸の代わりにフィールドから出るのはヒロトで、その様子を見た影山がフィディオをベンチに呼んで指示を出している。
頻繁な指示出しに珍しいですね、と解説実況からも言われている。
「みんな!思い切って攻めろ!」
ゴールラインにボールを置いた円堂が思いっきり蹴り飛ばし、中盤にいる鬼道がトラップして次へパスを出そうとした。
「豪炎寺……!?」
前にいる豪炎寺にも、染岡にもぴっちりとマークが付けられている。
それを見て鬼道は自身の横を走る虎丸へとボールを回した。
「アンジェロ!ジャンルカ!ジョルジョ!互いの息を合わせろ!」
自らも走りながらフィディオは指示を飛ばして、虎丸前へと飛び出した。
「今だ!アントン!オットリーノ!」
豪炎寺と染岡のマークについていた2人がフィディオの方へと飛び出して、虎丸の行く手を塞ぐ。
そうして虎丸の足が止まったところで、アンジェロ、ジャンルカ、ジョルジョの3人に後ろからも囲われてしまう。
「くそっ、……突破してやる!」
フェイントでつっ切ろうとした虎丸に、ここだ!と先程も見せたターンで虎丸からボールを奪った。
「カテナチオカウンター!」
速攻でボールがゴール前へのラファエレへ飛んでくる。
そこへディフェンスとして待機していた吹雪が飛び出した。
それを見てラファエレは、ニヤリと笑ってボールの予測落下地点より数歩横にズレた。
足の速い吹雪が、ボールの着地点へ辿り着くと、ボールは目前でグイッとカーブしてみせた。
「しまった!」
曲がってきたボールをラファエレは足で踏みつけてゴールを見据えた。
「フリーズショット!」
ペナルティエリアから先が凍り始め、シュートが飛んで行く。
「止めて見せるッス!」
壁山と飛鷹がボールへ向かって走る。
「ザ・マウンテン!」
壁山が山を出現させ正面から受け止めるも打ち砕かれ後ろへ飛ばされる。
そこへすかさず飛鷹が回し蹴りを繰り出した。
「真空魔」
飛鷹の蹴りで生み出された風圧で威力が落ちたが、それでもゴールへ向かってくるボールへ円堂は拳を握って飛び上がり大きく振り下ろした。
「いかりのてっつい!」
バシンっと円堂の拳と地面に挟まれて、ボールはしっかりと止まった。
「危なかった……」
春奈ちゃんが一息ついて背もたれに背を預けた。
「急に連携がよくなりましたね」
「まるで別のチームみたい……」
立向居や秋ちゃんがそうつぶやき、皆が安堵している表情の中、膝を台に肘をついている不動だけが険しい顔をして攻略法を探っているようだった。
試合が再開し、何とか攻めに持ち込んだ鬼道からアンジェロのディフェンスを右サイドへと振り切った染岡へとパスが渡った。
「ブラージ!来るぞ!」
「轟け!ドラゴンスレイヤー」
染岡がシュートを放てば、彼の背後に立つ巨大なドラゴンがブレスを吐いた。
それを迎え撃つブラージは腕をクロスし拳を光らせた後大きく胸を開いた。
「コロッセオガード!」
左右から出てきたコロッセオが彼がバシッと両手でボールを挟むと同時に閉まってボールの威力をシャットアウトした。
「ふはははは!」
ボールを止めたブラージが片手にボールを掲げて笑う。
「俺のコロッセオガードはそう簡単に破れないぜ!」
「クソッ!」
円堂のイジゲン・ザ・ハンドと同じで360度ぐるりと囲う形だからサイドからのシュートでも守備が硬い。
円堂の衝撃波の壁で受け流すのとは違いがっしりと止めてくる技だから打ち破るにはかなりの威力が必要そうだ。
余裕そうなブラージがアンジェロへ向かってボールを蹴り飛ばす。
それを鬼道が奪い取ってセンターを走る豪炎寺へパスした。
ボールを受け取って進む豪炎寺の周りをやはりオルフェウスのメンバーがぐるりと囲う形で集まった。
そして豪炎寺の正面にフィディオが飛び出す。
これを攻略しない事には点は取れない、と豪炎寺が先程鬼道がやったようにフェイント混じりのステップで前へ進もうとした。
だがしかし、やはり先程の鬼道や虎丸と同じように目前でターンしたフィディオにボールを掻っ攫われて
しまう。
「この動きは……!」
「誰だろうと通しはしないっ!」
カテナチオカウンターでまたボールがラファエレに渡った。
だが流石に何度もやられればこちらも学習する。
風丸と佐久間が瞬時にラファエレを追いかける。
「舐めんじゃねえ!」
そこへ綱海も追加して3人でラファエレを左のコーナーまで追い詰めた。
「これ以上行かせねぇ!」
角へと追い詰めて、ラインの外へボールを蹴るしかないんじゃないか?と思わせたその時、ラファエレはつま先でボールを持ち上げてそこから後ろへループパスを出した。
驚く間もなくそのボールを上がって来ていたフィディオが空中で受け取り、飛び降りてすぐにシュート体制へ入った。
「行くぞ!」
「来い!」
「オーディンソード!!」
フィディオの足元に魔法陣が現れ、力を貯めて撃ったフィディオのシュートは長い
「イジゲン・ザ・ハンド!!」
うおおおっと円堂が雄叫びを上げるが、剣は衝撃波を貫いてゴールへと突き刺さった。
ピィッーーとホイッスルが鳴り響く。
《フィディオのオーディンソードが決まって2対1。ついにオルフェウスが逆転しました!》
「おい、水津」
『なに?』
名を呼ばれ振り向けば、先程と変わらず真剣な顔をした不動だった。
「アレは鬼道やデモーニオと同じ作りって事か?」
『作りって……』
アレってのはフィディオの事かな。
『まあ、鬼道とデモーニオは同じ作りだろうけど、フィディオの場合は自力で影山の求めているものを目指した結果だからね。というか、そもそも性質が似た子を無意識に影山が集めてるんだろうけど……』
不動も若干当てはまるし……。
「ハッ、気色悪ぃ」
『まあ、キミはそういう感想だろうね。で?攻略できそう』
「さあな。鬼道クン次第だろ」
そう言って不動は小さく笑った。
それを見てか、久遠監督が口を開いた。
「不動、行くぞ」
攻略の鍵は
影山チルドレンにある。