世界への挑戦編②
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本日、コンドルスタジアムにて行われる日本代表イナズマジャパン対イタリア代表オルフェウスの試合。
イナズマジャパンにとっては決勝トーナメント行きを決める大事な試合。そして、幾人かにとってはそれだけではなく、影山との因縁の対決でもある。
スターティングメンバーは、FWが豪炎寺、染岡、ヒロト。
MFが風丸、鬼道、佐久間。
DFが壁山、綱海、吹雪、飛鷹
そしてGKは円堂。
ココ最近は遅くまで鬼道、佐久間と共に練習をしていた不動からスターティングに選ばれなかった事に愚痴のひとつでもあるかと思えば、そんなことはなく、彼はすんなりとベンチに座った。
切り札としての自覚があるのか余裕そうにフィールドを見据える不動の目線の先に立つ鬼道は逆に遠目から見ても余裕が無さそうだ。
イタリア代表のベンチにいるミスターKこと影山零治を睨みつけ歯を食いしばっている。
そんな中、ホイッスルが鳴り響き試合開始を告げる。
イナズマジャパンのキックオフで、豪炎寺からヒロト、そして染岡へとボールが渡り、ドリブルで駆け上がる染岡は向かってきたオルフェウスの6番、アンジェロをフェイントで抜き去った。
それを見たフィディオが大きな声を上げた。
「カテナチオカウンターだ!」
何がくる、と警戒してフィディオを目前に染岡が立ち止まれば、フィディオを押しのけるように彼の後ろから8番のジョルジョが飛び出してきて染岡の足元からボールを奪い去った。
「なんだったんでしょうか今の……」
「何かをやりかけた気がするんだが……」
ベンチで見ていた立向居と土方が、何かを叫んだのに必殺技が出るでも、必殺タクティクスが始まるでも無かったことに首を傾げている。
一進一退、フィールドでは激しいボールの取り合いが行われる中、 オルフェウス側で明らかなフィディオハブりが始まった。
彼の周りががら空きでボールを求めても、チームメイトたちは誰もフィディオへボールを回さなかった。
そんな状態でボールを取った取られたを繰り返してはいるものの、流石はAリーグの現在トップ。フィディオを組み込まなくとも、ボールを持った鬼道を前に、ジャパンのFW3人をDFで完全にブロックしパスの道筋を消し、鬼道が何処にボールを繋ぐかと思考した好きに4番のアントンがスライディングで鬼道の足元からボールを弾いた。
だが、それを何とか風丸が走って追いつき蹴り返すが、反射的に蹴ったのはびっちりとマークされている染岡で、染岡についている2番のベントの胴に弾かれた。
今度はそのボールを佐久間がヘディングで拾い豪炎寺へとパスを出すが、それを3番のオットリーノの巨体で防がれた。
攻めへ転じれないFWとMFの様子を見て、ゴール前を固めて居たディフェンスの中から吹雪が飛び出した。
「佐久間くん!」
全速力で駆け上がりながら吹雪は、ボールを奪った佐久間に声を掛けた。
すぐさま佐久間から吹雪にボールが渡り、またフィディオが大声を上げた。
「カテナチオカウンターだ!」
さっきも言っていたがそれはなんなんだ、とイナズマジャパンの皆が警戒する中、ボールをドリブルする吹雪へと16番のジャンルカが飛び出して行った。
だが、吹雪は圧倒的スピードでジャンルカの横を通り過ぎる。
「だからなんなんだよ、カテなんとかって……」
得体の知れない技名を叫び続けるフィディオに土方がベンチで愚痴をこぼしている合間に豪炎寺のマークに付いていたオットリーノがボールを持った吹雪につられた好きに豪炎寺がゴール前と駆け出した。
「今だ、豪炎寺くん!」
「しまった!」
豪炎寺のマークから離れてしまった上、瞬足の吹雪に逃げられてオットリーノが振り返った時にはもう遅かった。
2人の炎と氷が交じり合いシュートが放たれた。
「「クロスファイア!!」」
それを前にオルフェウスのキーパー、ブラージは任せろと構えた。
「コロッセオ──うわっ!」
ブラージが胸の前で腕をクロスし溜めた力を解き放つより先に、彼の顔の横を炎と氷のシュートが横切ってゴールネットに突き刺さった。
ホイッスルが鳴り、ベンチでは得点したことに喜んだ春菜ちゃんがやった!と秋ちゃんに抱きついている。
「水津、アイツらチームKとの戦いの時のまま、仲間割れしてんのか?」
オルフェウスの明らかにおかしい様子に不動が、どうなんだと私を見た。
「仲間割れ?」
チームKとの戦いの事を詳しく知らない木暮や他の子たちは首を傾げている。
まあ、確かにチームKとの戦いの前に、怪我をさせられるのはごめんだと試合参加を辞退した子たちもチームに戻ってはいるが、今回フィディオを除け者にしようとしているのは彼らだけでなく、フィディオと共にチームKと戦った子たち全てなのだ。
『少なくともこの前のイタリア対イギリスの試合では普通に連携していたはずだけど』
「確かに……じゃあ、直近で仲違いっつーわけだ」
そう言って不動はニヤリと笑う。
こっちからすれば連携が相手の上手く行かないなら有難いわな。でも、フィディオを除いた連携でも上手くやって来てるからなぁ……。
『フィディオがちょっと可哀想だね』
彼らが仲違いしている理由はわかっているが、私がもし今のイタリア代表の選手だったら、フィディオと同じようにミスターKの指示に従おうとしただろうしね。
あの人、やってることが本当に最悪なんだけど、
指導者としては優秀
なんだよね。あんなことがなかったらきっともっと……