世界への挑戦編①
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飛鷹のお陰で翌日に虎丸は、みんなに態度を謝罪して、サプライズで日本から乃ノ美さんが来て虎丸のお母さん考案のお弁当を作ってくれた事により、虎丸のホームシックは落ち着いたようだ。
店を休む訳にもいかないし、旅費も安くないし、なにより身体が強くないというのもあって直接会いに来ることは出来ないけど、何か息子にしてあげたいと今回こちらに乃ノ美さんを寄越してくれたのは紛れもなく母の愛だろう。
会えずとも何かしてあげたい、か……。
私がこの世界に残れば、それすらも出来ないんだよなぁ……。
迷惑ばかりかけて、親孝行らしいことはなにも出来ていない。
そもそもこの世界に存在しない者が残りたいと思うことが間違いなんだろうな。
「…………………届いたんですけど………梅雨さん?大丈夫ですか?」
鈴の音のような声に、ハッとして顔を上げれば冬花ちゃんが心配そうな顔をして、私の手元を指さした。
手元を見れば手に持ったドリンクボトルから水道の水がドボドボと溢れていて、慌てて蛇口を捻った。
『ごめん!ボッーとしてた』
「まだ粉入れる前だから大丈夫ですよ」
ふふふと笑って冬花ちゃんは、私の手から水が擦り切れるほど入ったボトルを取って、次のボトルを差し出した。
『うわ、デカ』
「そうなんです。ついに届いたんですよ、壁山くん用のドリンクボトル!」
『そっかそっか。喜んでくれるといいね』
そう言えば冬花ちゃんは満面の笑みで、はい、と頷いた。
この大きなボトルは、他の子より何倍も大きな体の壁山には普通のサイズでは足りないのではと冬花ちゃんの提案により購入された。
彼女の気配りはこれだけではなく、誰のボトルかわかりやすいようにと選手それぞれのイメージに合わせたイラストを描いてステッカーにして貼る案を出てきた。と、いうか案を話してきた時には既にステッカーが作られていた。柄が豪炎寺は炎とか染岡がドラゴンとか必殺技からイメージしてるものもあれば円堂が丸で苗字の円から描かれてるのもあってなかなか面白い。
人によってスポーツドリンクの粉が多い方が好きとか少ない方がいいとか、体調によって中身を変えたりだとかもあるから正直たすかると、今日から採用となった。
「あの、」
『ん?どうしたの?』
今度は水を無駄にしないように、とボトルに入る水から視線をそらさずに冬花ちゃんに返事する。
「梅雨さんも、守くんが幼く見えたりしますか?」
『え?幼く?まあ、円堂丸顔だし、幼くは見えるけど……』
唐突な質問に驚きながら蛇口を閉める。
「あ、えっと、そうじゃなくって、なんて言うか……子供の姿に見えるっていうか………」
『うん?』
今も子供っちゃ子供なんだけど………ああ、そうか。
『冬花ちゃんはそう見える時があるの?』
「……はい。やっぱり変ですよね?」
やっぱり円堂といることで催眠療法で封じられた記憶が解けて来ているのかな。
『うーん、変というか……。ねぇ、それってどういう感じなの?』
「今までは寝てる時だけ、幼い守くんの夢を見てるって感じだったんですけど、最近起きてても守くんを見てたらなんだか夢と同じ幼い守くんに見えてきて……なんだか、私、怖くって…………」
冬花ちゃんの方へ視線を向ければ、カタカタと小さく震えている。
『怖い、か……』
まあ、知らないはずの記憶が見えたら怖いよなぁ。
『そうだなぁ。冬花ちゃん、今グラウンドで練習してる円堂はどんな顔だと思う?』
「え?えっと……笑顔、かな?守くん、サッカーしてる時はいつも楽しそうだから」
『だね。それに人のシュート見て、目キラッキラに輝かしてるかも』
「ふふ、確かに」
小さく笑った冬花ちゃんから震えは消えていた。
『もし、また怖いなって思ったら今の円堂を思い返したらいいよ』
あの太陽みたいな笑顔で、パッと世界を照らしてくれる。
『もし円堂だけじゃ足りなかったら、秋ちゃんとか春奈ちゃんとか、他の選手のみんなの事とか』
「確かに、みんなの事を思ったら怖くなくなりそう」
『まあ、根本的な解決にはなってないんだけど……』
「ううん、十分です。寧ろ変な話しちゃってごめんなさい」
『全然!他にも話したいことがあれば、いつでも言ってね』
「ありがとうございます」
そう言ってニッコリと笑ったあと冬花ちゃんは、あっ、と呟いた。
『どうしたの?』
「早速なんですけど、人参嫌いってどう克服させたらいいと思いますか?」
『ああ〜、綱海ね』
綱海の食事を終えたお膳の上にはいつも綺麗に人参が残されている。
「そうなんです。ほら、この間梅雨さんに借りた栄養学の本を読んだら、やっぱり栄養が偏るのは良くないって」
興味があると言った冬花ちゃんの元に、イナズマキャラバンの時に瞳子さんから渡された栄養学の本が行っているのである。
「でも、綱海さんはいつも残されるから……」
『まあ、青臭いから苦手な人はとことん苦手だよねぇ。グラッセとかにしても綱海食べないから、人参の形がまんまあるのもダメなんだろうね』
そうだなぁと考える。
『よく聞くのは人参ケーキだよね。でもケーキは糖分多いしなぁ』
選手に食べさすのは如何なものか……。
「人参ケーキって、人参どうやって使うんですか?」
『あれは確か……すりおろした人参かジュースを入れるはず。臭い消しにレモン汁とスパイスを使ったかな。粉にアーモンドプールを使うってのもあった気がする』
「やっぱり臭い消しが大事なんですね」
『うん。あ、人参オレンジジュースとかなら臭いは……いや、あれば舌触りが意外と無理か?』
「それなら、それを網で越してゼリーにするのはどうですか?」
『ああ、いいね!ゼリーなら少量でも作れるし』
「今日の夕飯の準備で試してもいいですか?」
『いいよいいよ。ただ、ゼラチンは買ってこないとないけど……』
「私がダッシュで行ってきます!」
そう言って冬花ちゃんは力強く拳を握って見せるのだった。
仲間思い
きっとその思いが、困った時に助けてくれるよ。