世界への挑戦編①
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過呼吸を起こした日の午後はみんなに休めと言われて大人しくしていた。
次の日は完全復活というわけで、いつも通りトレーナーとしての仕事に着手する。
今日の午前中は5対5のミニゲームをしていて、それを見るに皆イタリア戦に向けて調子が良さそうだった。
お昼休憩の時間となり、今日は天気がいいし外で食べようとマネージャーたちが持ってきたのは冬花ちゃん作のサンドウィッチだった。
みんなが喜んで食べている中、1人だけ様子のおかしい子がいた。
『虎丸?』
紙コップに入った飲み物をみんなに配る中、虎丸にもどうぞと差し出したのだが、無反応。
虎丸は口元にサンドウィッチを運んだままボッーとした様子出ある。
『虎丸?おーい、虎丸?熱でもある?』
そう言って横から彼の額に空いてる片手を伸ばして触れれば、やっと気がついたのか、うわっと驚いたように声を上げて少し後ろに仰け反った。
「び、びっくりしたぁ」
『ああ、ごめんね?何回呼んでも気づかないから熱でもあるじゃないかと思って』
そう言って紙コップを差し出せば、虎丸はああ、と小さく呟いて受け取って私の顔をじっと見つめて来た。
『今のとこ熱はなさそうだけど、具合が悪いのなら早く言いなさいね』
ぽんぽんと虎丸の頭に手を置く。
「もう!子供扱いしないでくださいって!ちょっと考え事してただけだから大丈夫です!」
そう言って私の手から逃れた虎丸は手に持っていたサンドウィッチをバクバクと一気に食べて、ごくごくと紙コップの中身を飲み干した。
「ごちそうさま!」
『こら、そんな風に一気に食べると体に悪いよ!』
「ハハハ!まるで親子みたいだな!」
こちらを見ていたのか綱海がそう言って笑うと、虎丸がムッとしたような顔になって違いますよ!と言い返す。
「あ、そうだ!今日は取っておきの差し入れがあるんですよ」
そう言って私とは反対側で飲み物を配っていた春奈ちゃんが声を上げる。
それを聞いて秋ちゃんがベンチに置いていた黄色い紙袋を持ち上げた。
「日本にいるみんなからの手紙よ!」
「みんなからの?」
「うわぁ、見せてください!」
驚く円堂の横に座っていた立向居が立ち上がって秋ちゃんに駆け寄る。
そうすれば他のみんなも、俺も俺もと秋ちゃんを取り囲んだ。
栗松や緑川からの近況を伝える手紙や、砂木沼からの巻物になったとてつもなく長い激励の手紙など沢山の手紙がみんなに渡る。
「梅雨ちゃんにも来てるよ」
『え?私に?』
はい、どうぞと秋ちゃんが渡してくれたのは、1枚のハガキと角1サイズの大きな封筒。
この世界に身よりもない私に手紙なんて、とまずハガキの方を見れば、なんとヨネさんからだった。
テレビでイナズマジャパンの活躍を見ていることと、私への心配が書かれていた。
こっちに来て数ヶ月だが、アパートの大家さんというだけでなく家族のように接してくれている。
まあ、ヨネさんは私の事を中学生だと思ってるからなんだろうけど……。
『返信書かないとなぁ。もうひとつは……』
封筒の裏を見て送り主を確認すれば瞳子さんからだった。
恐らく私の事について調べて貰った研究結果や資料だろう。
「それ、瞳子監督からですよね開けて見ないんですか?」
春奈ちゃんに声を掛けられ、ああ、笑って返す。
『これ、前に頼んだトレーナーの教本だから。お手紙ならイナズマジャパン宛にまとめて書いてると思うよ』
「そう言えばハガキも来てたような」
そう言って春奈ちゃんは秋ちゃんの元へハガキを見に行った。
内容が内容なだけにみんなの前で開ける訳にはいかないから春奈ちゃんがすぐに引いてくれてよかった。
他のみんなにも中身を見たがられたら困るので、汚れるのが嫌だからという理由を付けて、1度部屋に持って帰ることにした。
お昼休憩の後はまたいつも通り午後練が始まって、夕方まであっという間に過ぎた。
夕飯を済ませた後、部屋で瞳子さんから送られてきた封筒を見ようかと思っていたのだけれど、皆の食事が終わる頃にちょっとした問題が起きた。
練習も終わったし、パーッと波に乗りに行くかと立ち上がった綱海が、食事が進んでおらず表情も暗い虎丸にお前も行くかと明るく声を掛けた。
しかし、虎丸は行きたきゃ勝手に言ってくださいと、ほとんど手をつけていない食事の乗ったお盆を持って立ち上がった。
そんな虎丸の様子に、せっかく誘ってんのに、と綱海が愚痴を零せば、虎丸はキッと眉を吊り上げてオレたちは遊びに来てるんじゃないでしょうと声を張り上げた。
そんな虎丸を同じテーブルに付いていた土方や豪炎寺が宥め、どうしたんだと聞けば、なんでもありませんと言って虎丸はお膳をカウンターに下げてそのまま食堂から立ち去ってしまった。
静まり返った空気の中、話してくると1番に立ち上がったのはキャプテンである円堂だったが、それを意外な人物が止めた。
彼は俺に任せてもえませんか、と言って空になったお膳を下げて虎丸の後を追うように食堂を出ていったのだった。
「飛鷹さんに任せて大丈夫だったんでしょうか?」
皿洗いを終えた手を拭きながら春奈ちゃんがそう呟いた。
『大丈夫だと思うよ。飛鷹面倒見いいし』
選手のみんながいなくなった食堂のテーブルの上を拭きながらそう答える。
春奈ちゃんが面倒見?と首を傾げる傍で食器を棚に戻す冬花ちゃんも同じように首を傾げている。
『ほら、いつだったか予選の頃に、会場に向かう途中に不良に絡まれた事があったじゃない?』
「そういえば、そんなこともあったね。たしか決勝戦の日だったような……」
私と同じようにテーブルを拭いていた秋ちゃんが手を止めて思い出すように呟いた。
『そうそう。それで、そのピンチを飛鷹の舎弟の子たちが助けてくれたじゃない?』
そう言えば、そうだったという顔で秋ちゃんと春奈ちゃんが頷く中で、冬花ちゃんだけは未だに首を傾げていた。
「あ、そうだ。予選は私とお父さん、みんなとは別移動だったから……」
思い出したと冬花ちゃんが呟くのを聞いて、そうだったとこちらも思い返す。
『そういえば、響木さんも居なくて大人同乗しなくていいんかって思った記憶あるわ。それなら冬花ちゃんがピンと来ないのと納得だわ』
まあ、とにかく、と話を戻す。
『あの子達にあれだけ随分と慕われていたっていうのは、それだけ飛鷹がいい兄貴だったって事でしょ?』
「そう言われれば確かに面倒見がいいのかもしれませんね」
『そうそう。だからみんなは片付け終わったら上がっていいからね〜』
「みんなは、って……」
もう、と呆れたような顔をして秋ちゃんが見つめてきた。
「まだ仕事するつもりなの?」
『んー、まあ仕事っていうよりか、ほら、虎丸食事ほとんど食べずに出て行ったでしょ?お腹すいて戻ってきたら何か作ってあげようかと思って』
そう答えれば、それならいいけどと秋ちゃんは呟いた。
『まあただ待つの暇だから、何か明日の仕込みしといてって言われたらやるよ?』
「ダメよ、昨日の今日で!」
メッ、と秋ちゃんに叱られる。厳しさが段々夏未ちゃんと近くなってきたな。
「あ、そうだ。伝え忘れてたんですけど……」
冬花ちゃんは出入口の方を見たあと、ちょっとこっちにと私と秋ちゃんを手招きした。
何?と不思議に思いながら私と秋ちゃんが厨房に戻れば、春奈ちゃんも近くに呼んで冬花ちゃんは小さな声でヒソヒソとこれはサプライズなんですけど……と 話し出した。
『ははーん、なるほど』
伝えられた内容に、そういえばそういう展開だったと思い返す。
交差する思い
これで元気になってくれるといいねと女の子たちもこのチームの末っ子のことを思うのだった。