世界への挑戦編①
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不動の編み出した対ローリングサンダー用の作戦は、ボールを持った選手に木暮と土方が突っ込んで釣られたと相手に見せかけ、空いたサイドにパスを出して集まった一之瀬達がグランフェンリルを打つ瞬間に土方が木暮をぶん投げて上からボールをカットするものだった。
『2人同時に突っ込んで行くことで明確な隙ができ、相手がそこを狙うと分かっているからこそ、土方が確実にボールの方へ木暮を投げれるってことか』
「不動くん、なかなかやりますねぇ」
まあ、僕も気づいてましたが、なんて目金が虚勢を張る。
「まだ終わりではない」
監督が言うように、木暮がカットしたことで飛んで行ったボールは土門が拾いディランにパスされる。
ディフェンスを崩すぞ!と叫んだ一之瀬を見てニヤリと悪い顔して笑った不動は、吹雪や飛鷹に指示をだす。
「飛鷹!戻せ!」
ボールカットに成功した飛鷹に円堂がそう叫けば、指示通り蹴られたボールが円堂の足元で止まった。
「魔術のタネは見破ったぜ」
不動の策略により、ローリングサンダーは不発に終わった。
「お前たちは跳ね返りを計算して蹴っていた。そこへ先回りすればいいだけだ」
タネがバレた一之瀬は悔しそうに不動を睨んだ。
それを見た不動は更に口角を上げた。
「そして、この必殺タクティクスはカウンターに弱い!」
「円堂!」
不動が言い切るやいなや、最前線の豪炎寺が叫んだ。
おう、と返事をして円堂がペナルティエリア目前の豪炎寺へとボールを飛ばした。
行かせないと慌てて追いかける一之瀬だったが、途中で足をもつれさせ転んだ。
「ぐっ、」
一之瀬くん、と隣の秋ちゃんが小さく呟き、私の手を握る力が強まった。
一之瀬はすぐに起き上がれず、うぐ、と膝を着いてうずくまっている。
『………』
あの様子……、それに手術で命の危機もあるってことはやっぱり一之瀬も事故で神経系が………。
ボールの渡った豪炎寺の傍に虎丸とヒロトが駆け寄る。
「「「グランドファイア」」」
炎の障壁を纏ったボールがスターユニコーンのGKキッド事ゴールに突き刺さりホイッスルが鳴った。
3-3の同点に追いつき、試合は更に白熱する。
アメリカ側のボールで再開してすぐに鬼道がボールを奪うが、土門が真キラースライドで即座に取り返す。
ボールをキープしてドリブルで上がろうとする土門へヒロトと染岡が正面から立ち向かえば、土門の傍へマークが駆け寄ってきてそんな彼を土門は遠心力を使ってぶん回し上へ放り投げた。
「ジ・イカロス!」
羽の生えたマークの後ろの太陽が眩く光、ヒロトと染岡の目を潰し、その隙に彼らの後ろへ降り立ったマークは一之瀬へとボールをパスした。
ドリブルで進む一之瀬に木暮がつくが、フェイントで交わして先にいるディランへパスする。
だがディランはそのボールをすぐに一之瀬へ返し、戻された一之瀬は、え?と困惑したようにディランを見た。
「Youが決めるんだ!」
その言葉に強く頷いた一之瀬が、ゴールへと駆け出し、来い!と円堂が構える。
「ペガサスショット!」
「イジゲン・ザ・ハンド!」
一之瀬の決死のシュートが円堂の貼ったドームの障壁の真正面から貫いた。
だが、ボールは上向きにカーブし、ゴールポストへぶつかった。
重力に従い落ちるボールは、ゴールラインの手前に落ちてペナルティエリア側に跳ね、急いで円堂がボールを抱きしめて止めた。
「クソッ!」
一之瀬が心底悔しそうに上を向く。
ボールを持った円堂がペナルティエリア付近の吹雪へにボール渡そうと投げるが、それをディランがカットしてボールはコロコロと転がってサイドラインの外へ出た。
ピーと鳴るホイッスルに、皆ひと息つく。
そんな中、アメリカ側の選手交代の札が掲げられた。
電子版で点滅するのは7と16。
《ここでユニコーン、選手交代!一之瀬を下げるようです。一之瀬に代えてエディ・ハワードか》
事情を知らないフィールドの皆は、一之瀬調子良かったのにと困惑している様子で、一之瀬本人は監督に駆け寄り、必死で抗議をしている。
『偉いな、あの監督は……』
私は、今回の試合やめろって一之瀬に言えなかったもんな……。
本来なら私も止めてさっさと手術を受けろと言うべきだった。
これがプロの監督と、トレーナーの真似事やってる私との差かな。
物語を進めるの為なのもそうだけど、それをしなくて良くても私ならきっと最期まで戦わせただろうな……。
抗議をしていた一之瀬は監督に諭され、ガックシと諦めたように肩を落とし、震える足でゆっくりとフィールドから出ていく。
「一之瀬くん……」
私の手を握っていた秋ちゃんの手が解かれて、彼女ま胸の前でキュッと拳を握った。
それから試合が終わるまでは早かった。
一之瀬が抜けてもスターユニコーンの熱は下がらなかった。激しい攻防戦の中、豪炎寺がボールを奪って爆熱スクリューで一点をもぎ取りとればちょうど良く終わりを告げるホイッスルが鳴り響いた。
やったー!と喜びイナズマジャパンのメンバーがベンチへ帰ってくる。
その中で円堂だけが、戻って来ずアメリカのベンチから出て、フィールドを見つめている一之瀬の元へ向かっていた。
「守くん?」
その様子を冬花ちゃんが不思議そうに首を傾げて見ていると、秋ちゃんが実はね、と彼女に話始めた。
その顔にもう不安はなさそうだから大丈夫かな、と彼女らを置いて、戻ってきた皆にタオルを配るのだった。
皆、ジャージに着替え終えて控え室を出る頃にはすっかり空が赤く染っていた。
帰りのフェリーの時間まではもう少し時間があるということで、自由行動になって秋ちゃんは一之瀬に呼ばれて話に行った。
「梅雨ちゃん」
スタジアム内の廊下をひとりでブラブラしていると名前を呼ばれた。
振り返ると、土門がよっ、と片手を上げた。
『お疲れ様』
「ああ。勝ちたかったなぁー」
へら、と笑って土門は言うが、本心だろう。
おいでおいでと手招くと彼は不思議そうに首を傾げながら近づいた。
『ちょっとしゃがんで』
そう言えば土門は素直に腰を屈めた。
低くなった頭にそっと手を伸ばす。
『よく頑張ったね』
よしよしと撫でていれば、土門の両腕が伸びて私の背中に回された。
抱き寄せられて土門の顎が肩に乗る。
『え……』
「勝たせてやりたかった………」
耳の傍で聞こえる声は震えていて、そのまま頭を撫で続ける事に決めた。
数十秒、数分だろうか、そうしていれば、なっ!と大きな声が響いた。
声の方を振り向けば廊下の先に染岡が立っていた。
『あー、えーっと……』
随分と驚いた顔をした染岡は、声を掛けようとしたらそのまま走り去ってしまった。
「……今の、染岡?」
私から手を離して、姿勢を戻した土門が居なくなった廊下の先へ振り返った。土門の顔を見上げると若干目元が赤くなっていた。
『うん。困ったな……』
「困った?なんで?」
『いや、だって勘違いしたでしょ絶対』
そう言えば土門はキョトンとした。
「へぇ、意外。勘違いされると困るんだ」
土門は急にニヤニヤと笑いだした。
「それじゃあ、早く追っかけた方がいいんじゃない?」
俺はもう大丈夫だから
そう背中を押されて、私は走り出すのだった。
悔しいな、なんて土門が後ろで呟いた事は知る由もなかった。