世界への挑戦編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宿舎近くのビーチの砂浜ではなく草木が茂方へと足を踏み入れる。
綱海がサーフィンしてるビーチの周辺という記憶だったから正確な場所は分からないし見つかるか不安だったのだが、まあ、向こうも隠れようとしている訳ではないので、意外と早くにジャパンエリアの宿舎を遠くからぼんやりと見上げている一之瀬の姿を見つけることが出来た。
『何にも言わずに出てきたら土門が心配するよ』
そう声をかければ一之瀬は驚いてこちらを振り向いた。
「キミか……。俺が今日ここに来るって知ってたの?」
うん、と頷けば一之瀬は、ハハ、と乾いた笑い声を上げた。
「じゃあ、俺がどういう状態かもキミは知ってるんだね」
『うん。だから会いに来たんだ』
過去に私が接触しないと話が進まないということがあったし、それどころか1番最初の帝国学園との試合では円堂が必要以上にボコられてしまうという流れになった。
もし、私が一之瀬と会わなかったが為に、秋ちゃんが真実を知るタイミングがズレたり、最悪一之瀬の手術が上手くいかないなんて事もありえなくはないと思ったから今日、ここに来た。
「会いに来たって、手術結果を教えてくれるわけじゃないんだろ?」
『うん。ごめんね。前にも説明した通り、私がこの世界に関与した結果どうなるかわからないから』
「……ごめん。責めたかったわけじゃないんだ」
少ししゅんとした様子の一之瀬の頭をぽんぽんと撫でる。
『自分の知りたい未来を教えてもらえないんだもん。そりゃあイライラするさ』
うん、と頷いて一之瀬は大人しく撫でられている。
『それに一之瀬の不安な気持ちは私が1番わかるし』
「え?」
『だって、私は手術が失敗したキミそのものだったんだから』
一之瀬の頭から手を降ろして自分の腿に触れる。
「どういうこと?」
『私が昔怪我した話は知ってるよね?みんなはそれで怪我が治って今私がここに居るんだと思ってるだろうけど、違うんだよ。この身体は本当の私のモノじゃない。ここに来る前の私は、ボールを蹴る事が出来ない身体だった』
「……水津も死んだ方がマシだと思った?」
『ええ。リハビリしても脚に麻痺が残ったから後の生活も大変だったからね。それでも死ななかったのは、円堂を、キミ達を知ったからだよ』
「俺たちを?」
うん、と力強く頷いて見せる。
『向こう、見てごらん』
草木の隙間から見える先のビーチを指先せば、一之瀬は何?と小首を傾げてビーチの方を見た。
1本のヤシの木の枝にロープで大きなタイヤぶら下がっていて、その前に円堂が居た。
「円堂ー!」
そう彼の名を呼んだのは私でも一之瀬でもない。
声の主は水着姿でサーフボードを小脇に抱えて円堂の元に駆け寄ってきた。
「綱海!特訓か?」
「まあな!そういうお前こそ、だろ?」
綱海の言葉に円堂は力強く、ああ!と頷いた。
「一之瀬達とぶつかる時は最高のオレでいたいんだ!」
円堂の言葉に一之瀬が小さく、あっ、と呟いた。
「だから、やれることはなんでもやる!アイツらと最高の試合をするために!」
円堂らしいと、私が小さく笑うと一之瀬はこちらを振り返った。
「水津、キミは円堂を見て苦しくなかったの?サッカーが出来ないのに、サッカーをやってる俺たちを見て」
真っ直ぐとこちらの目を見た一之瀬は円堂達に小声で話す。
『そりゃあ、最初はね。特にキミは私とは違って事故から回復してボール蹴ってるし』
同じように小声で話返す。
『でもさ、最高の試合をするキミ達をもっとみたいと思っちゃったんだもん』
「水津……」
『ところで、一之瀬は何も知らずああ言ってる円堂に苦しくなったりしないの?』
「そうだね……むしろ嬉しかったよ。あそこまで俺たちとの試合を楽しみにしてくれてて。こんなチャンス二度とないかもしれないし、俺は……」
そこまで言って一之瀬は、言葉を飲み込んでひとりでに、うんと頷いた。
その顔は何処か先程までの不安そうな顔から一変して自信に溢れていた。
「分かったよ。俺が怖かったのはサッカーが出来なくなることじゃない。最高の相手と試合をする機会を失う事だ」
『そっか。じゃあ、急いで戻らないと行けないんじゃない?』
そう言えば一之瀬は、ああと頷いた。
最高の仲間たちの元へ
走り去る一之瀬とは反対に私も偶然を装って円堂たちの方へ歩き出すのだった。