世界への挑戦編①
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エントランスエリアのセントラルパークにある大きなサッカーボール像の前に立つ、黒い半袖のTシャツに深い緑のカーゴパンツ姿の細身の少年がこちらに気がついてこっちこっちと手を振った。
『ごめん、待たせた!』
「いやいや、オレも今来たところよ〜」
急いで駆け寄れば、彼はニコニコと人のいい笑みを浮かべた。
「てか、梅雨ちゃん、その格好めっちゃ可愛いじゃん!」
『ああ、コレね。土門の軽口に乗っかって、デートね、いいよ?って言ったの春奈ちゃんに聞かれてさぁ。おめかしされたのよ』
ナチュラルに褒め言葉が出てきた土門に対し、笑いながらそう返す。
「なるほど、音無のチョイスか」
『変?』
襟の形が可愛くて買ったシンプルなワンピースなのだが、春奈ちゃんが絶対これ!と言うので着たんだけど……。
「いや、可愛い。けど、梅雨ちゃんはオレと遊ぶのにそういうの着なさそうだと思ってたから音無が選んだのには納得だなって」
『あー、そうね。もっと動きやすいの選ぶかも』
「でしょ?ところで……」
そう言ってと土門はチラリと私の後ろを見た。
「梅雨ちゃん、アレ気づいてる?」
その言葉に思わず苦笑いを零す。
『うん。ごめんね、まさかここまでついてくるとは思わなくて』
私は後ろを見ずにそう答える。
土門の目には恐らく、隠れているつもりの春奈ちゃんと吹雪、それから染岡の姿が見えている事だろう。
私が気がついたのはここに来るまでの道中だったが、吹雪に無理やり引っ張られて来た染岡の抵抗する声が大きかったのと、それに静かに!と言った春奈ちゃんの声が大きかったので気づいた。
『いつもなら本当にデートして、あの子達おちょくる所なんだけど……』
「面白そうだしオレはそれでもいいぜ?」
ノリのいい土門ならそう来ると思った。でも、
『わざわざ、ジャパンでもアメリカでもないエリアで会いたいって、一之瀬のこと聞きたいんでしょ?』
このタイミングならば、十中八九その事だろうなと土門の顔を見上げれば、少し眉が下がった。
「お見通し、ってか、知ってるだろうからと連絡とったのはオレなんだけど、本気でデートとは思ってなかったわけね」
『そりゃそうでしょ。さっきも言ったけど、キミは軽口でそういうの言うじゃない?まあ、逆に本命にはそういうこと言わなそうよね』
偏見だけど、と付け足せば、土門は小さく笑った。
「本命相手には真剣そうって事?」
『うん』
「なるどね〜。まあ、真相は秘密にするとして、とにかく今はアイツらどうにかしないとな」
『そうね。でもどうやって撒くか……』
「そこはオレに任せてよ」
自信満々にそう言った土門の左手に右手を掴まれた。
『ん?』
「じゃあ、行こうぜ梅雨ちゃん!」
手を掴んだまま土門は走り出す。そうなると引っ張られる形で私も走るしかないんだけど……
『ええー!?撒く方法が物理的すぎる!』
チラッと後ろを見ればいきなり走り出した事に春奈ちゃん達も驚いたのか、慌てた様子が見て取れる。
『キミ仮にも元スパイでしょ!?人に紛れるとか、裏路地に逃げるとか!』
「ああ、なるほど!」
その手があったか!と言うように土門は呟いて、人が多い方へと進路を変えた。
観光客達の間をすり抜けるように走って数分、もういいんじゃない?と足を止めて息を整える。
『……やっぱり、動きやすい服で来るべきだった』
「ごめん、ごめん。走って逃げるのが手っ取り早いかなって」
『まあ、撒けたからいいけど……。結構適当に走ったけど、ここどこよ』
「一応、アメリカエリアと反対に走ってきたつもりなんだけど……」
キョロキョロと辺りを見回すと、少し先の広場に顔のある太陽の台座の上にサッカーをしている人の銅像が立っているのが見えた。
あの顔のある太陽には見覚えがある。
『アルゼンチンエリアか、ここ』
アルゼンチンの国旗の真ん中にある太陽によく似ている気がする。
「あー、そうかも?」
『とりあえずどっか落ち着いて話せるとこ探そう』
外にいると春奈ちゃん達がここまで来て見つかるかもしれないし。
ゲームの記憶だとこの辺お店があったはずだし、とにかく行こうと、いつの間にか離れていた手で土門の二の腕を叩く。
「ああ、そうだなって……」
歩き出そうとした土門が向かい側から来る人たちを見て動きを止めた。
「あれって……」
「あっ、おーい!ドモンじゃないか!」
こちらに気がついた、ブロンドの前髪を後ろに持って行って結んでいる青い変わった形のサングラスを掛けた少年が大きく手を振って近寄って来た。
そんな彼と共に、茶髪で綺麗な緑の目を持ったイケメンと、彼らより一回り大きいガタイで長いワカメのような髪と特徴的な割れた顎を持つ少年もやってきた。
「ディラン!マーク!それに……ジ・エンパイアの……」
『テレス・トルーエ!?』
なんでそこが一緒に居るの、と驚いていればテレスは知り合いか?とディランとマークの方を見た。
「ドモンはミーたちのチームメイトさ!」
「ああ、イチノセと同じジャパニーズか」
ふぅん、と品定めするように見つめるテレスに、土門はどうも気楽に挨拶をした。
「って、事はこっちの小さいのはアメリカのマネージャーか?」
「いや、知らない子だよ」
テレスの言葉に、私が小さいんじゃなくてお前がデケエんだよとキレそうになるが、落ち着けと心の中で唱える。
「分かった!ドモンのガールフレンドだ!」
人差し指を向けてきたディランに、ハハハと笑う。
『残念。べスティーだよ』
「ええー、そんな否定しなくても」
『べスティーだよ』
おちゃらけてきた土門に強い語気でそう返せば、小さく笑われた。
「まあ、親友でも嬉しいけどね?彼女は、イナズマジャパンでトレーナーをやってる梅雨ちゃん。よろしくね」
と、私の代わりに土門が3人に説明してくれる。
「ああ、君が!」
「カズヤから聞いてるよ!フリースタイルフットボールの凄い子!」
「へぇ、こんな子がトレーナー?って思ったが、あのイチノセが一目置いてるのか」
そう言って少し屈んで目線を合わせてくるテレスに、イラッとくるが微笑み返す。
『うるせぇな、こっちはお前の何倍も歳食ってんだよ』
「梅雨ちゃん梅雨ちゃん、本音出てる出てる」
『ああ、つい』
「え、何倍も……?アジア人が若く見えるとは聞いてたが、ここまでとは……」
テレスは目を丸くしてパチパチとさせている。
「梅雨ちゃんこれ説明どうすんの」
『いやもうめんどくさいからこのままでいいよ。それよりこの辺どっかお茶できるところない?』
あんたたちのホームでしょとテレスに聞く。
「カフェなら、向こうの通りにあるぞ」
『向こうか。ありがとう』
「いや、オレらこそデートの邪魔して悪かったな。ほらディラン、マーク、行くぞ」
そう言ってテレスは歩き出す。
「えっ!ドモンのガールフレンドともっと話したかったのに!」
「デートの邪魔だってテレスも言っただろう。ほら、行くぞディラン」
そう言ってマークがディランを引っ張ろうとする中、そうだと、テレスが足を止めて振り返った。
「ジャパンの最後の攻撃にはやられたよ」
それだけだ、とぶっきらぼうにそう言ってテレスはまた歩き始めた。
嫌な奴なら嫌なままいてくれよ
「あれ、よっぽど悔しかったのか、ミーたちにシュート打ってくれって言ってきたんだよ」
コソコソとディランが耳打ちしてきた。
『なんだよアイツ可愛いかよ』
「梅雨ちゃんって案外ちょろいよね」
うるさいぞ、土門とエルボーを食らわす。
「おい、ディランそろそろ」
「分かってるって!今度アメリカエリアにも遊びに来てねー!」
マークに引っ張られながらブンブンブンとディランが手を振った。
『あー、うん。気が向いたらねー』
「それ絶対行かないやつ」